遥かなる喜望峰山田さんのレビュー

ワーカープレイスメント×セットコレクション×エリアマジョリティゲーム。

個人的には好きなゲームなんだけど、相棒はイマイチだったらしく評価が分かれた作品。

プレイヤーは自分の船を動かして、物資を手に入れたり交易を繰り返しながら、港に「投資」をしたり勝利点を稼いでいく。港ごとに投資に必要な物資が決まっており、物資やお金を支払うことで「投資」ができる。プレイヤーごとに投資チップが8枚与えられており、プレイヤーは最大8回まで投資を行うことが出来る。（一つの港には最大3枚まで）

自分が投資した港は、以後貰える物資やお金の量が増えたり、より有利な取引が出来るようになる。また、港ごとにプレイヤーの中で最多投資者（および次点投資者）になれた人は、得点計算時に勝利点が加算される。

プレイヤーのうち1人が投資チップを使い切ったら、スタートプレイヤーの前の人まで手番を行いゲーム終了。手元の勝利点およびお金ボーナス、投資者ボーナスを換算して、1番勝利点の多いプレイヤーの勝利。

投資チップ以外は非公開情報のため、他プレイヤーがどのくらい勝利点を稼いでいるのか、物資をどれだけ持っているのかが分からない。自分が有利か不利かわからない状況の中でゲームを進めていく感じは、先の見えない航海を繰り返しているようなスリルのような感じがする。投資をすればするほど有利になる点も、拡大再生産的な要素で面白い。地味だけど、人数分の衝立が入っているのも嬉しいね。

船の進め方や距離にも制限があって、そこそこ戦略を練る必要もある。アブストラクトに近いから、どちらかと言えばガチンコ勝負。相手の状況が見えない中での投資とか交易も、どこまで強気にいくべきかを考えたりするのも楽しい。まだやってないけど、拡張が全部入りっていうのも良い。展開が変わって何度でも遊べそう。

ただ、難点を挙げるとするとゲームの収束性がやや悪い。これは相棒の意見だけど、プレイヤーが誰も投資をしなかった場合（勝ち筋を考えると良手ではないけど）ゲームの終了条件が満たされず、ずっとゲームが続いてしまう。戦略的にはあり得ない話ではないから、そのあたりは少し気になった。それに、基本的にやることは序盤と終盤でそこまで変わらないから、ゲームの展開が単調になりやすいかも。その辺りで評価が分かれるかな。

ゲーマー同士が遊ぶ分には十分面白いゲーム。値段もそこまで高くないし、アークライトさんから再販されているから、見かけたら手に入れても損しない作品だと思う。