- 1人~4人
- 60分~120分
- 14歳~
- 2021年~
ダーウィンズ・ジャーニーハナさんのレビュー
バラージやツォルキン等、重量級ゲームの名手ルチアーニ氏の新作です。
多分に漏れず今作も要素もりもりの重量級ワーカープレイスメント。プレイしたのでレビューします。
【テーマ、コンポーネント】
本作は「進化論」でお馴染みダーウィンのガラパゴス諸島探検をテーマにしています。プレイヤーは助手を使って島を探索し、動植物の標本を集め、博物館に提出することで「進化論」の研究が進んでいきます。ダーウィンの研究というテーマはとてもワクワクして大好きです。
テーマを表現するコンポーネントも十分なクオリティです。ボード、タイル、カードの雰囲気はシックで落ち着いており、とても素敵ですね。
箱はブラスサイズ。昨今のやたら箱が大きくてスカスカだったり無駄なインサートに占拠された物と違い、無駄なくぎっしりと内容物が詰まっていて好印象です。
【ゲーム内容】
基本的にはワーカープレイスメント。そこにレースやマジョリティ、セットコレクションといった様々な要素が盛られています。運要素がほとんどなく、直接攻撃はないもののワーカープレイスメントによる早取りが厳しいので、ゲームとしては結構シビアな部類です。
とても複雑で様々な要素があり、詳細の説明は難しいので、個人的に感じたこのゲームの大きな特徴を2点挙げたいと思います。
・専門性があり、強化できるワーカー
ワーカーはそれぞれ封蝋というトークンを、最初1つだけ所持しています。そして「探検」というアクションスペースには緑の封蝋を所持しているワーカー、「航海」には青を所持しているワーカーしか配置できない、、といった制限があります。このワーカーの配置制限がこのゲームを悩ましくしています。さらにワーカーに封蝋を追加するアクションもあり、強化されたワーカーは緑緑緑や赤赤黄黄といった条件が厳しい(そして強力な)スペースに配置できるようになります。自分の戦略に合わせてどうワーカーを強化するか、他のプレイヤーはどんなワーカーを残しているのか、非常に独特な駆け引きが楽しいです。
・複雑に絡み合い、連鎖するアクション
このゲームは5ラウンド制で、ワーカーは4体(増やしても5体)しかありません。なので20~25手番しかありません。手番でやることもワーカーを配置して該当アクションを実行するだけ。にもかかわらずこのゲームが非常に複雑で重いのは、1つのアクションを実行した結果、次々と複数のアクションが連鎖的に誘発していく点にあると思います。
例えば、、
ワーカーを「探検2」に配置し、実行する
→探検家駒を移動させてテントを設営
→個人ボードのテントが取り除かれたことで「航海2」が起動、テント設営効果で「交信2」が起動
→航海によって新たな島に探検家駒を配置、交信トークンがなくなったことで「探検2」が起動
→新しい島の探検家駒を移動させて標本を入手
→入手した標本により小目標を達成
→小目標達成効果でテントを再起動し「交信2」が起動
みたいな事が、1手番で発生します。この連鎖が非常に爽快で、このゲームの醍醐味だと感じました。探検、航海、交信といった複数の要素がお互いに絡み合い、非常に考えごたえがあるゲームになっています。
これらの特徴により、選択肢が豊富で非常に戦略性が高いです。得点ルートも多彩で、何度もプレイして色々と試したくなる魅力がこのゲームにはあると思います。
【気になる点】
とにかく複雑で重い事です。
要素が多く、大量のアイコンに埋め尽くされており、インストが非常に大変なゲームですね。せめてサマリーは人数分欲しかったと思います。
得点要素の多彩さ、戦略の多さも、裏を返せば「何から手をつけてよいのか分からない」になってしまいがち。そのために小目標や乗組員カードで当面の目標を提示してくれてはいるのですが、、、
全体で20~25手番しかないため1手1手が非常に重く、ゲーム上のほぼすべてが公開情報なこともあり、分析麻痺は発生しやすいです。長考しやすい仕組みになっており、待ち時間も長いですね。
また、ワーカーの配置やアクション起動にコインを要求されることが多く、定期収入がないので、コイン周りも非常にシビア。常にカツカツのプレイとなります。
総じて「重い」ゲームで、楽しいと感じられる所までたどり着くのに、いくつも高いハードルを乗り越える必要がある、人を選ぶゲームだと思いました。
あと、重ゲーの宿命でセットアップは大変です。
【まとめ】
個人的には運要素が少ないシビアなゲームが苦手なのですが、ダーウィンズ・ジャーニーはテーマと雰囲気が好みなので乗り越えられた気がします。(同じ作者のバラージは脱落しました)
戦略性がかなり高く、様々な勝ち筋があるので、慣れればとてもやり込み甲斐があるゲームだと感じました。
コンポーネント、ゲーム内容、どちらも一流の名作なので、後は重さや複雑さ、シビアさが好みに合うかどうか。重ゲー好きならきっとはまると思います!
【追記】
ソロモードがありますが、ゲーム1つ分くらいのルール量があるのが難点でした。かなりいやらしい挙動をするので慣れればやりがいがあるのですが、、、
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