- 2人~4人
- 60分前後
- 10歳~
- 2006年~
ブルームーンシティーBluebearさんのレビュー
2006年に、かの有名なデザイナーであるクニツィア氏によってリリースされた作品で、作者がデザインした別の『BlueMoon』という作品(日本では『ブルームーン・レジェンド』として発売)と共通した世界観を持っているそうです。(あいにくとそちらの作品は入手し損ねたので未体験ですが…。)
ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされたらしいです。(残念ながら受賞は逃しましたが。ちなみに調べてみると、その年の大賞受賞作は『郵便馬車』でした。))
元の作品がデッキ型のカードゲームだったのに対し、今作はタイル組み換え式の陣取り(エリアマジョリティ)となっています。ゲームの内容的に直接の関連はなく、両者を混ぜることもできないので注意が必要です。(タイトルだけだと紛らわしいですよね)
今回ホビージャパンから《完全日本語版》としてリリースされたのは旧COSMOS社版ではなく、デザインを一新したCMON Limited社版です。ちょっとイラストが暗いイメージになり、コマの造形がカッコよく?なっています。
■テーマは、荒廃した都市の再建です。
セットアップでは、ボードの代わりに21枚のタイルを敷き詰めて、中央に自分のコマ(1つだけ)を置きます。
各手番では、このコマを、そのタイル上に移動させていくスタイルです。(各プレイヤーはタイル2枚ぶんまで移動することができます。)
各タイルは、失われた古代都市の廃墟のイラストが描かれていて、この各タイルを精霊の力で再建していくわけです。
無事に再建できると裏返し、彩色された美しい建物のイラストに変わります。
こうしてだんだんと荒廃したブルームーンの都市が再興していくのですね。
■勝利条件はクリスタルを捧げること
よりたくさんの建物を再建したプレイヤーが勝利…ではありません。(クニツィアせんせいですからね)
建物を頑張って再建すると、その貢献度に応じてクリスタル(のトークン)がもらえ、これをたくさん集めたら中央に急いで戻り『オベリスク』(神様を祭ってある塔のようなもの)に捧げる必要があるのです。
これを、プレイ人数によって決められた規定回数だけ達成すると勝利となります。
そして予想通り、ここに意地悪な仕掛けが!
なんと後から捧げる人ほど、必要なクリスタルの数が多くなるようになっているのです。
なので、のんびりクリスタルを集めていると先を越され、余分なクリスタルを支払う羽目になるので、必然的に先を争う展開になるわけです。
しかも、各自が持っているクリスタルの数は伏せてあり、わざと正確な数が読めないようになっているという意地の悪さ。
ここがけっこう熱かった!
「きゃー!そこでオベリスク行かれた!向かおうとしてたのに」
「せっかく貯めたのにね」
「ちゃっかり持ってたのね。見逃した!」
「あ、やべ。俺もおかげで1個足りなくなった(笑)」
「私もー!」
「〇〇ちゃんも結構貯めてるからヤバいかも!?」
「くそ、間に合わねー」
と言った感じ。
■都市の再建は計画的にカードをやりくり
じゃあどうやって都市タイルを再建するかというと、手札には精霊たちの種類に応じた色と、パワーの強さが描かれたカードがあり、これを各タイルの場所まで行って、必要な色と合計パワーぶんのカードを捨てることで、自分の色のマーカーを1つ置けます。(これが再建した証ですね。)
ところが各タイルはこれをだいたい3回程度やらないと再建できないようになっていて、けっこう手間がかかります。なかなか自分一人ではスムーズに再建することが難しいのです。
全部の再建枠が埋まって無事に再建が達成できると、再建マーカーを置いていた(再建に貢献した)プレイヤーたちはクリスタルがもらえる仕掛けです。
ところがここも意地悪で、マーカーを置いた数や、数字の大小によってもらえるクリスタルの数が違うんですねー。
■後半になるほどけっこう焦るプレイ感
とにかく、どの都市を再建したかではなく、クリスタルが集まらないと勝てない!
なので、できるだけ早く各タイルにマーカーを置きたい!
できるだけ相手よりも多くのマーカーが置けるようにしたい!
でもカードの色や数字はなかなかうまくそろわない!(ここはカード運ですね)
中途半端にマーカーだけおいても、都市タイルが完全に再建されない限りクリスタルはもらえない。
だから、数字は小さくてもちょっとだけ貢献しておこうかと悩む。
コマは2歩しか歩けないけど、上下左右動けるので、どっちへ進もうか考える。
誰かが再建しているタイルにちょっと加わってもいいし、だれも手を付けていないタイルを目指してもいい。
とにかくクリスタルが集まったら、相手よりも早くオベリスクに戻りたい。
こんな感じで、ゲームが進むと、全体の状況が見えてくるので、「ああこれは急がないとやばいな」という感覚が強くなり、終盤はかなりのデッドヒート感があります。
メンバーの評価も非常に高く、いい作品でした。
タイルの配置が毎回全然違うので、固定した戦略になりにくく、リプレイ性も高いと思います。(といっても我々チームはまだ2回しかやってませんが)
■その他
割愛しましたが、他にもボーナス(黄金のウロコ)をくれるドラゴンが3体いて、この位置関係によってお得なタイルの位置がコロコロ変わったり、
完全に再建されたタイルの隣を再建すると、隣接ボーナスがもらえたり、
手札のカードには、それぞれ特殊な効果もあって(ドラゴンを動かしたり、自分のコマをジャンプさせたり)それをどう使うかも考える必要があったり、
けっこう考えどころは多いです。
とは言ってもルールの基本はシンプルで、例外処理がほぼないので、インストは難しくなく、15分くらいで済んだでしょうか?
プレイ時間も4人でやって1時間ちょっとくらいの軽量級ですね。
適度に考えながら先を争う中級クラスのゲームとしては中々の良作ですよ。(その割にあまり評判を聞かないのは何でだろう?)
■注意点
やっぱりこれだけは言っとかないと不公平ですよね。
全員から文句が出た重大な欠点が一つだけあります!
カードの色区分は全部で8色あるのですが、とにかく見分けにくい!!
特に赤と茶色と黒(そして見えかたによっては灰色も)とか、よーく見比べないと分からないくらい。
青とか黄色とかもくすんだ渋い色になっていて、とても見分けにくい。
アートワークのデザインを決めた奴呼んで来い!というレベル。
視力が弱っている中年ゲーマーに優しくない!って思ってたら、若手女子メンバーたちも全員見づらいと文句を言ってました。
ゲーム自体は非常に面白かったので、終了後の評価は悪くないのですが、唯一この点で大きく損をしてるゲームだなあ…という印象です。
一応ご承知ください。
追伸
本家の「ブルームーン・レジェンド」が欲しいけど、プレミア付きばかりで売ってないです。(泣)
- 81興味あり
- 143経験あり
- 19お気に入り
- 130持ってる
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