- 2人用
- 30分前後
- 10歳~
- 2015年~
世界の七不思議:デュエル18toyaさんのレビュー
必殺技?もアリアリの2人専用ゲーム大傑作!
【評価9/10 お気に入り度10/10】
中量級・2人専用
ロチェスタードラフト×リソース管理×タブロービルド×特殊勝利!
ドラフト系ゲームの火付け役となり,ドイツ年間ゲーム大賞受賞のほか世界でさまざまなゲームの賞を受賞した名作「世界の七不思議(7wonders)」。その2人専用エディションがこの「世界の七不思議デュエル」です。
作者は「世界の七不思議」「花火」「ドラフトサウルス」等でお馴染みのアントワーヌ・ボウザと,「キングドミノ」「スカラビア」「イマジナリウム」等のデザイナーであるブルーノ・カタラ。ただし,本家とは似た要素もありながら全くの別ゲームへと昇華しています 笑 BGGでは2人専用ながら全ゲーム中17位という驚異の順位。
ただしこのゲーム,ハマる人とハマらない人が極端に分かれるゲームだと思います。私はドハマリした側ですが 笑
なぜハマる人とハマらない人が分かれるかというと,様々な要素が複雑に絡み合って,目を配らなければならない先が多いから。ここを乗り越えられるかどうかで評価は大きく変わってきます。
【ゲームの基本】
自分の行動自体は「世界の七不思議」同様,
1) 選択したカードをプレイし,建築物を建てる
2) 選択したカードを七不思議に埋め,七不思議の効果を発動する
3) 選択したカードを捨て,お金を得る
のたった3つです。基本は1)のカードプレイが中心となりますが,2),3)も常に意識しておく必要はあります。
本家七不思議と同様,カードのセットは第1~第3世代という世代ごとに分かれており,第1世代は資源が比較的多く,第2世代では好きな資源を1つ選んで使用できる商業建造物等も登場し,第3世代では大きな得点が得られるカードが数多く含まれます。
勝利のためには第3世代で高得点カードをなるべく建てたいので,そういう時に「資源が足りない,お金も足りない,捨てるしか無い」という悲劇が起きないように,序盤は資源を産出する茶色や灰色のカードをしっかり取っておくことが重要です。
とはいえ,カードの取り方はロチェスタードラフト(見えているカードの中から交互に1枚ずつ取っていくシステム)という方式で,両プレイヤーにとって欲しいカードが何枚か見えている中から交互に1枚ずつ取っていく仕組みのため,自分が欲しいものばかり取り続けられる訳ではありません。
このロチェスターのディスプレイ方式もポイントで,これを取ると相手があれを取れるようになる…等,「欲しいカードを取る取らない」だけでなく,取った後のディスプレイの形もなるべく自分に有利になるように考える必要があるのです。
↑第1世代のディスプレイ。上にカードが載っていないカードであれば、好きなカードを取ることができる(このディスプレイだと上にカードが載っていないのは最下段のみ)
【一筋縄ではいかないゲーム】
更にこのゲームには一筋縄で行かない特徴がいくつもあり,
・<特殊勝利> 最後にお互いが得た勝利点を比較して点数が高い方が勝つというノーマルな「市民勝利」のほか,条件を満たしたらその時点でいきなりゲームが終わる「軍事的優位」と「科学的優位」がある
・<必殺技その1> お互い,4枚ずつ持っている「不思議」が強力で,ゲームの流れを変える「ゲームチェンジャー」になりうる。ただし,お互い「不思議」を4枚ずつ持っていて場には計8枚の不思議があるのに「七不思議」の言葉通り,場には7つまでしか不思議を建造できない
・<必殺技その2> 同一の科学シンボルを集めることで入手できる「進歩トークン」が強力。これもゲームチェンジャーになりうる
・<お金がかなりシビア> 結構お金がカツカツなので,建てたい建築物を必ず建てられるとは限らず,そのせいで勝負のアヤが変わることがある。また,軍事で押し込まれるとお金を捨てなければならない場面があり,予定が狂うことがある
などなど気を抜けない要素がいくつも複合的にあるため,途中まで順調と思っても油断したり意味の薄い一手を打ってしまったら,そこからガタガタッと崩れてしまうことも少なからずあります。
↑必殺技とロマンの塊。不思議(wonder)
従って,このゲームで勝つためには自分の手元の資源とお金を見て,相手の資源とお金も見て,科学の取り具合,軍事の綱引き具合,進歩トークンの出方とお互いの取り方,七不思議の建造度合いにまで目を配り,相手の狙う勝ち方を考えながら,それをはねのけて自分がどのように勝つか,その方法を捻り出す必要がある。なかなかに忙しいゲームなのです 笑
【総論】
このように考慮すべき要素が多い上に,ロチェスタードラフトによるディスプレイからのカード交互取得はややアブストラクト的な面もあるため,技量に差がありすぎる場合,初心者は技量の高い相手には恐らく100%に近い確率で勝てません。
ただ,12枚ある不思議のうちゲームには8枚しか現れず,ゲームのたびにどのような不思議がどういう順番で現れるかという点や,各世代のカードディスプレイでどこに何が置かれるかという点,裏面のカードは何かという点,先行決めなど,運の影響もそこそこあるため,ある程度技量が近くなってくると運の介在度合いもなかなかのものと感じるかと思います。
ある程度このゲームに慣れてくると,今度はこのゲームの特徴である「展開の派手さ」が見えてきます 笑
先ほど「一筋縄ではいかない点」として書いたことですが,「不思議」や進歩トークンには局面を大きく動かす力を持っているものがあります。こうした不思議を,うまくいけば4回,少なくとも3回は使えることで,本家「世界の七不思議」より必殺技を多く使える感覚があり,爽快感とカタルシスがあります!(無論,自分が使われる側にもなるんですけどね 笑)
また進歩トークンも展開を派手にしてくれ,軍事的優位や科学的優位が起こりやすくなったり,普通にプレイしているとカツカツのはずのお金がジャブジャブと潤ったり,不思議全てに再行動が付いたりと「うへーそんなんありかよ!」って言いたくなる場面もあります。
↑ゲームチェンジャーになり得る強力トークン達
ただ,こうした不思議や進歩トークンの強さは適切な局面で使ってこそ,という面があるため,初心者に「不思議の効果やトークンの効果が派手で面白いよ!」と言ったとしても最初はうまく理解できないかもしれません。
中量級,重量級のゲームに触れたことの無い方が「2人用の傑作」という言葉のみに誘われてこのゲームに触れた場合,恐らく要素の多さに戸惑い,勝敗の要因分析すら難しく「なんかよく分からないゲームだね…全く何して良いか分からないうちに終わっちゃった…」「何で勝ったのか(負けたのか)分からん…」等,「見通しが悪いゲーム」「勝ち筋が見えないゲーム」と思ってしまうかもしれません。
よって,もし経験者が初心者を誘ってあげて遊ぶのであれば,ぜひ感想戦をしてあげて欲しいと思います。そうすることで,「ああ,その要素で負けたのか。じゃあ次はそこに気を付けよう!」と目の付け所がだんだん分かってくるのではないかと。
ゲームの根本的な仕組みが徐々に腑に落ちていけば,次に不思議や進歩トークンの強力さ,派手な展開の面白み等,このゲームの勘所,面白みのポイントが分かるようになり,少しずつこのゲームにハマっていけるのではないかと思います。
また,このゲームの前に本家「世界の七不思議」をやっておく事も有効な導入だと思います。もちろん本家をやった事がなくてもこのゲームを遊ぶことは出来ますが,本家を先に遊んでおくことで説明はだいぶん楽になります^^
【7wonders Duelの面白みは格ゲーに通じる?】
最後になりますが,なぜ自分が「世界の七不思議デュエル」にハマっているのか考えてみたところ,自分が格闘ゲーム創生期にストⅡやガロスペ,龍虎2やKOF等,往年の名作格ゲーにハマったことと関係があるのかもしれない,と思いました。つまり,結構このゲームは格ゲーに似た面があるのではないかと。
格ゲーで言えば,お互いに少しでも優位を作ろうと間合いを微妙に調整したり,しばらく鍔迫り合いが続く。相手の長所を消して,良い動きを一つもさせないように丁寧に芽を摘み取る戦い方もあれば,強引にジャンプ攻撃や判定の強い技で押し込んだり,逆にカウンター主体で戦うタイプも居たり。自分が選んだキャラクター,相手が選んだキャラクターによって得意不得意が違うので相性もあり,戦い方は変わってくる。場合によってはワンチャンスに賭けるしかないような対戦カードもあったり。
そう考えると,自分の不思議の特徴に応じた戦い方を進めて,チャンスと見るや不思議の発動や進歩トークンの取得という必殺技で盤面的優位を築いたり手番順ずらしを行い,自分の都合の良いようにゲームを動かそうする。そういうお互いの意図と意図がぶつかり合うこのゲームはまさしく「ボードとカードを使った格闘ゲーム」と言えるのかもしれません。モチーフは全く格闘とは違うのですが,根底には通じるものがあるのではないかと 笑
詰め将棋や囲碁等のアブストラクトとは一線を画す点がまさにここで,「不思議」や「進歩トークン」という必殺技の存在が世界の七不思議デュエルを格ゲーたらしめているのだと思います(これはあくまで一個人の偏った意見です!!笑)
【結びに】
このゲームは2人用の大傑作であることは間違いありません。しかし,こうした売り文句だけで購入を考えている方は,「このゲームがとても面白いゲームであることは間違いないにしても,その前に要素の多さという一山を乗り越える必要がある」ことを認識した上で,購入を検討していただければと思います(そこが評価を9点とした理由です)。
パーティーゲームや小箱系などを中心に遊んできた方がいきなりこのゲームに触れたら,要素の多さに驚くことでしょう。明確に,このゲームの間口は広くはありません。しかし,要素の多さを乗り越えてハマった人にとっては絶大な存在感とパワーがある作品です。
要素が多く複雑であることは,裏返せばこのゲームの奥深さにも繋がります。何度遊んでも違った展開,違った顔を見せてくれるので,私はリアルとBGAを含めて80戦ほど遊んでいますが全く飽きていません 笑
山を乗り越えた先にある,深く楽しい至高のひととき。
世界の七不思議デュエルはそんなひとときをくれる,敷居は少し高いけど間違いなく傑作と言える,二人専用ゲーム決定版の一つです。
長文を最後まで読んでいただき,ありがとうございました。皆様の良きボドゲライフに貢献できれば幸いです♪
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↑第1世代のディスプレイ。上にカードが載っていないカードであれば、好きなカードを取ることができる(このディスプレイだと上にカードが載っていないのは最下段のみ)
↑必殺技とロマンの塊。不思議(wonder)
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