- 3人~5人
- 150分前後
- 12歳~
- 2006年~
将軍maroさんのレビュー
日本人でいうところの三国志的なテーマなんでしょうか、外人から見た日本といえば、このような戦国時代もののゲームが目につきます。
この将軍はカードプロット型のエリアマジョリティ争いという形式で、戦国武将の陣取りを表現したゲームです。
個人ボードに10のアクションが印刷されており、そこに自分が支配している国のカードをプロットする。その後、ラウンドごとにランダムに決められた順番で解決していきます。
アクションは金や食料の徴収、軍隊コマの移動、配置、攻撃、などとても一般的な内容です。
金は各アクションに必要になります。全8ラウンド中の4、8ラウンド目に決算があり、食料はこのとき、イベントカードに示された数+領地数分だけ差し引かれます。
これらのリソース管理はシンプルにまとめられていますが、常に気にかけておかなければならないところです。
徴収アクションは農民の反感を買うため、行った国に一揆トークンが配置されます。この一揆という概念も面白いところで、二つ目以上の一揆トークンが置かれた際や、食料が足りないときに一揆がおこり、農民との闘いが発生します。
軍隊コマはキューブで表わされていて、戦闘時はダイスタワーのような、中で引っかかりのある塔にキューブを入れて、出てきた数で勝敗を決定します。時の運というか、結構ランダム性を感じるところで、多勢が寡勢に負けることもときどきあります。
その他アクションには、城、能舞台、神社の建設があり、それぞれエリアごとに勝利点を得る源となります。
アクションの実行順、手番順もかなり重要ですが、ここは競り方式でラウンド初めに順番が決定されます。
2006年発の作品でBGGのウェイトは約3.3。
キューブ数の多少による領地の獲得、カードのプロット、オークションというエルグランデのようなシステムを軸に、ウォーゲームライクな侵攻型の領地支配、リソースマネージなどを加え、戦国時代の陣取りゲームとしてはうまくまとまっていると思います。流れも分かりやすく、覚えなければいけないことは多くないため、個人的にはBGG的なウェイトとしては2点台後半くらいに感じます。
一方、内容はマルチ的なガチ陣取りであるため、結構厳しい一面があります。コマの配置、移動などはかなりの悩みどころとなります。ただ、その割には戦闘にかなりの運が関与してくるのは何ともいえないバランスであり、このゲームを印象的なものにしています。
前身であるワレンシュタインはヨーロッパを舞台としていましたが、本作で用いられている日本マップは結構本物に近い形になっています。国同士の位置関係による軍隊コマの配置調整も重要なため、ここは嬉しいところです。
ただ、個人的には、もうちょっといろいろな要素が付加されていても良かったかなと思います(一応拡張もでていますが)。
たとえば、将軍は5人(毛利、徳川、武田、羽柴、織田)用意されていますが、それらに特徴づけをしてみたり(このゲームがでた時代はユーロにはまだ非対称という概念はあまりなかったですが)、ほぼ単なる得点源である城、神社、能舞台にイベント関連以外の能力を付加したり、他国からの援軍的な要素をつけたり、アイテム的なものを用意したり、と色々考えられます。
もしもリメイクされることがあるとするならば、いろいろ手を加えられる余地が残っているような気もしますし、ハウスルールを考えるのも楽しいかもしれません。
もう1つ、順番が重要で、競りで決定されるといいましたが、実際には競りで勝つとスペシャルカードを選択する権限があたえられ、手番は取ったカードの位置により決まります。言い方を変えると、競りで勝った順にスペシャルカードを選べ、手番順はカードにより決まる、というシステムは何か本末転倒に見えます。
そういう意味においては、やはり少し古さを感じさせる部分はありますが、ガチなようでガチではない、そしてシステムによる制御は緩めという、面白い特徴を持った作品です。勝つためにはただ領地を拡げるだけではなく、城などの建造物の存在が重要になってくるところもナイスです。
テーマもなじみ深く理解しやすいという長所もあります。通販などでも時折見かけます。中量級と重量級の中間くらいのプレイ感の陣取りゲームを探している方にはお勧めです。
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