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  • 2人~6人
  • 90分~210分
  • 14歳~
  • 2004年~

四国1889Sigma Siumaさんのレビュー

645名
6名
0
約1年前

キックスターター版を遊んでみてのレヴューです。
四国1889は、鉄道経営ゲーム 18xxシリーズの入門編に位置付けられる名作と称されていましたが、この度、キックスターターにて豪華版が出た、という形になります。
 
プレイヤーは資本家として、四国の鉄道株式会社7社の各社の株券を購入し、鉄道会社から配当を受けて資産を増やす、というゲームです。
ただ、ゲーム開始時は鉄道7社とも起業前、複数の非上場企業が存在するだけの「地方都市ごとの近郊電車しか存在しない」という状態ですので、それぞれが「四国の未来の為に鉄道会社を立ち上げるわ! 俺、社長な! ガッチリ配当するから、みんなも我が社の株を買ってくれ!」というところから始めることになります。つまり、プレイヤーは資本家でありながら、創業者=筆頭株主=鉄道会社社長、という立場になります。
 
ゲームは、株式ラウンドと経営ラウンドから成り立っています。
株式ラウンドは、資本家の立場として、各社の株式を取引します。筆頭株主が社長となります。
各社は50%の株式が市場に出る(誰かが買う)ことで、上場を果たし、株価100%分の資本金を銀行から得て、活動を始めます。(株券公募50%+同額の銀行借入での起業、ということでしょう)。
 
経営ラウンドでは、各社の社長の立場で、「線路タイル設置orアップグレード」「拠点駅建設」「列車運行」「配当」「列車購入」「非上場企業買収」という経営ステップを行っていきます。
線路タイルは有限である為、「ここ、三叉路を敷きたいのだけれど」「その向きのタイルは、もう売り切れた」ということが頻発します。また、吉野川や四国山地越え、金毘羅周辺は線路を敷設に追加コストを要求します。
また、列車の移り変わりは時間経過を示しています。列車は、2列車(2つの収益地点を結ぶ路線しか運行できない)・3列車(3つまでの収益地点を結ぶ路線が運行できる。以下同)・4列車・5列車・6列車・ディーゼル機関車(路線が一筆書きで、他社の駅にブロックされていない限り、全ての収益地点を結ぶ路線を運行してもよい)の6種類がありますが、基本的に、数字のより小さい列車が売り切れるまでは、次の数字の列車を購入することは出来ません。また、後の時代の列車ほど高価です。
 
列車を運行して得られた収益は、社長によって、「配当」「無配当」が決められます。配当を選ぶと、株券を持ってる資本家たちに収益は分配され、株価は上がりますが、会社には基本的に利益が残りません。無配当だと、収益は全て会社に入りますが、株価は下がります。
なお、資本家の資産と、会社の資産は明確に区別され、会社の運用資金を社長が立て替えることは、例外を除き、出来ません。
(「無配当で」「それで株主が納得すると思うてか!」「列車の買い替え時期が迫ってるので我慢して頂きたい。次はそっちの会社の手番だが」「無配当で」「どの口が言うたか!」)
 
ゲームは、銀行から7000円の資金が持ち出されるか、鉄道会社が全ての列車を失った時(列車は時代経過で経年劣化を起こします)、社長が私財をはたいても新しい列車を購入できない時に終わります。
7000円、と聞くと、序盤に5円・10円の配当を受け取っている頃は、一体いつになったら終わるのか? という気がしてきますが、ディーゼル機関車の時代になると、1社が1ラウンドで800円の収益を弾き出す、ということも出てきますので、かなりのハイペースで終了フラグに到達します。
ゲーム時間の7~8割は、ディーゼル機関車の時代で大儲けする為の布石でしかない、とも言えましょう。
 
ゲーム自体は、身近な四国を舞台にしている為、
「夢の、四国縦断・高知-新居浜路線」「住友様のおかげじゃ(非上場企業の住友別子鉄道を子会社にした鉄道会社は、山地の線路敷設追加コストを無視する)」
「剣山はどこ行ったんだ、これ?」「徳島平野が誇張されてるだけで、マップ上は牟岐から池田に直通ルートが引けるけど、実際は剣山周辺を避けて、徳島周辺に迂回してるっぽい」
「宇野-高松フェリーは、5列車の時代になっても閉鎖しない唯一の非上場企業です」「さすが宇高国道フェリー、瀬戸大橋が出来るまで、びくともしないな」
「5列車で、坂出(=岡山)と今治(=広島)を結んで、収益これこれ」「瀬戸大橋も、しまなみ海道もない時代に、誰がその路線を利用しているのか?」「山陽本線に何かあったんか」
「金毘羅参り始めます(金毘羅は高収益地点)」「他県の会社が金毘羅様の目の前に駅を立てるとは不遜極まりない(各社は自社の拠点駅が関わる路線しか運行できない)」「讃岐や高松は、本拠地が近すぎて、金毘羅に駅を立てようとしないからなぁ(各社の拠点駅の数は厳しく制限されている)」
「なんやねん、この、金毘羅の手前の小さいとこ(ディーゼル機関車以外は、通過できる収益地点の数が限られてるので、収益の安い駅は通りたくない)」「栗林公園」「…おまえなんか、くりばやしだ(りつりんこうえん、が正しい読み)」
…などというローカルネタが多数でてくるのが、シリーズの中でも特別なところではないでしょうか。
 
初プレイは1人1時間ほどのプレイ時間になる重ゲーですが、日本のボードゲーマー向けのゲームですので、腰を落ち着けてプレイしてみては如何でしょうか。
 
なお、初プレイ向けのプレイエイドとして。
このゲーム、自主的に列車を廃棄・売却することが出来ません。各社の列車保有数制限に引っ掛かると、購入自体が出来ません。
何を言ってるかと言うと、列車5の時代から列車6の時代に移行するには、列車3・4・5の列車が全て買われた上で、最初の列車6が買われなければならないのですが。
列車3~5は合計12台存在し、列車5の時代は各社の列車保有数制限は2の為、6つ以下の株式会社だけでは物理的に列車6の時代には入れません。必然的に列車5の時代で、7社全ての立ち上げが必須です。
基本的に、配当を繰り返していれば株価は上がっていきますので、大きな損が出ることはありませんから、手持ちに余裕があって、まだ企業されていない会社があったら、他プレイヤー(の資金)とも相談しつつ、積極的に立ち上げていくといいでしょう。
そうしないと、ゲームの中盤に停滞が発生しますので、ご注意ください

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