- 1人~5人
- 60分~90分
- 14歳~
- 2023年~
エイピアリーSigma Siumaさんのレビュー
ワーカープレイスメント、と説明するとゲーム性を誤解される不思議なゲームだと思います。
主役は蜂。4か月ほど働いたら、長い冬眠生活に入ってしまう彼らを操り、その勤務を如何に充実したものにするか、というのが主題。
宇宙から資源を回収し、農地や技術者を育てることで拡大再生産を行い、記念碑や次世代の種子を撒くことで、勝利点を得ます。
プレイヤーの行動は大きく2種。1つは、働き蜂をワーカーとして、メインボードのアクションマスに配置することで、仕事をさせること。もう1つは、メインボードからワーカーを一斉に回収して、再稼働可能にすること。
このあたり、よくあるワーカープレイスメントっぽい雰囲気もあるのですが、違うところが特徴的です。
1つは、 アクションマスが他者に占有されていても、無条件に追い出して、自分のアクションに使用すことが出来ること。言い換えると、他人に行動を邪魔されることはありません。
2つ目は、ワーカーである働きバチは、アクションマスから追い出されたり、回収指示で帰還するたびに、レベルが上がり、更に効率よくアクションを取ることが出来ます。中でも、レベル4の働きバチは、レベル1-3の蜂が取れるアクションだけでなく、レベル4特有のアクションを取ることもできます。
このレベル4の働きバチにしか出来ないアクションというのものに、彫刻行動(ゲーム終了時の勝利点ボーナスをもたらす記念碑の建築) や、種子を撒く行動(ゲーム終了時の勝利点ボーナスの追加)など、勝利に大きく貢献する行動があります。とはいえ、必要なリソースを集めるために、レベル4の働きバチに期待をかけるのも、決して悪くありません。
ただ、レベル4まで育った働きバチは、次にアクションマスを追い出されるか、回収指示が出ると、活動時間限界を迎え、冬眠してしまいます。事実上、稼働開始から4回アクションを取った働きバチは、ゲーム終了まで冬眠し続けます。
ゲームは、冬眠してしまった働きバチが一定数を越えることで終わります。
このゲームの面白さですが、まず、メインボードにワーカーを派遣することでリソースを得て、プレイヤーマットにタイルを敷き詰めていく、というところで、箱庭感覚を楽しめます。また、プレイヤーマットの充実は、基本的に拡大再生産を示しており、ターンを重ねるごとに1プレイでのリターンが増えていくことに満足できます。
次に、「ワーカーをアクションマスに派遣する」というシンプルな行動でありながら、「他プレイヤーに邪魔されて、行動できない、ということがない」というストレスフリーな作りがあります。
では、マルチプレイソロの色が強いのか、と問われると、そうではありません。
農地や技術者、彫刻など、各種タイルは全てユニークで、入手は早い者勝ちで、行動自体は他人に邪魔されませんが、最終得点の獲得方針が違うプレイヤー同士でも、欲しいタイルが重なり、1手番差で他プレイヤーに持っていかれるということは、頻繁に起こります。
また、基本資源は、序盤は探索行動から、中盤以降は農地からの収入や、種子カードから、容易に入手できるものの、ろう/蜜という大量得点に関わる高級資源は安定確保が出来ず、各陣営は入手手段に頭を悩まされることになります。
そもそも、初期タイル、初期宇宙の段階で、各プレイヤーは特殊能力も周辺環境も異なっているので、どの行動が効率よく点数化できるかは、一般化しづらいところがあるのですが、「にも関わらず、タイル争奪戦が、激しい」「気づいたら、冬眠した蜂が多くなってて、ゲーム終了が近い」という点に面白さを感じます。
個人的には、大量のコンポーネントを効率よく収納できるゲーム付属の整理箱に感心しました。ソロプレイ用のオートマも最初から付属しています。
また、メインボードには各アクションマスに「ここにワーカーを置いたら何が出来る」ということを書いてありますし、カードやタイルで書ききれない説明は、付録冊子に補足しているのも、プレイアビリティが高いと言えましょう。
プレイ時間は60-90分、とありますが、ワーカープレイスメントの仕組みを利用しつつも「他プレイヤーの動向をそんなに気にしなくてもいい」という点で、ボードゲームの経験の浅い方が、ちょっと手の込んだゲームを遊んでみたいかも、という時に、紹介できる好ゲームだと感じます。
そういいつつも、1手番差で大差が出ることが少なくなく、「どの行動を先にするか」「新しく公開されたタイル、引いてきた種子カードに、即応するかどうか」という点で、ベテランプレイヤーの技巧が光るシーンも少なくなく、幅広いプレイヤーが楽しめるゲームと思います。
- 35興味あり
- 38経験あり
- 10お気に入り
- 45持ってる
Sigma Siumaさんの投稿
- ルール/インストテラミスティカ:革新の時代2024/9/24付で、3つの勢力の特殊能力に修正が入りました。詳細は...14日前の投稿
- レビューエクスペディション:世界を巡る冒険日本語版が出たことを喜ぶべきなのでしょうし、現時点の版権を持ってるのが...12ヶ月前の投稿
- レビューアフターアスサルがどうこう、というテーマは他のレヴューをみて頂くとして、ゲームエン...12ヶ月前の投稿
- レビューイスタンブール:選択と記録今度の親方は弟子がいない。だから、一緒に行くんだよ。 ボードゲーム「イ...約1年前の投稿
- レビュー四国1889キックスターター版を遊んでみてのレヴューです。四国1889は、鉄道経営...約1年前の投稿
- 戦略やコツテラノヴァ1ターン目 基本戦術:交易所は作らない テラミスティカシリーズに親しん...約1年前の投稿
- レビューテラミスティカ:革新の時代「もっと点数を取りやすく」「もっと街を作りやすく」「収入源も多様化させ...約1年前の投稿
- レビューギシンアンキノトウ2023年ゲームマーケットに「ギシンアンキの塔」として出展されていたの...1年以上前の投稿
- 戦略やコツ指輪戦争:カードゲームこのゲーム、カードプールを理解してないと、両軍の駆け引きが成立せずに...1年以上前の投稿
- レビューテラノヴァ「テラミスティカの簡易Ver」 と箱裏に書かれているのですが、ぶっちゃ...2年弱前の投稿
- レビュー厄介なゲストたち現代版「クルー」。クルー同様、殺人事件の犯人捜しが目的です。クルーが発...約2年前の投稿
- レビューリビングフォレスト森が攻撃を受けている。春夏秋冬の精霊達は、手柄を挙げる為に立ち上がった...約2年前の投稿
会員の新しい投稿
- レビュー世界の七不思議(2版)ゲーム内容は1版と変更なし。カードの進化先がマークで分かるようになった...20分前by きゃぷ
- レビューダイイングメッセージ誰が殺したんや…珍しいサイズ感の箱、VHSみたいでおしゃれです。血だま...約4時間前by はんぺん
- レビューチルタイムかなり楽しいゲームです!サイコロの出目に左右されるように感じますが、出...約4時間前by ニシオカ
- レビューミニミニシヴィライゼーション「ミニシヴィライゼーション」でカードと紙で文明発展を成し遂げたmor!...約4時間前by ぼーぐ
- レビューチルタイム戦略だけでは勝てず、運だけでも勝てない絶妙なバランスのゲームです!普段...約5時間前by はーい
- リプレイ美術絵画コレクター『美術絵画コレクター』のハウスルール「題名の無い美術館」で遊びました♪...約6時間前by あんちっく
- ルール/インストコスモロイル【ミニマム宇宙ゲーム】コスモロイル【10周年記念作】(サイト内下部に説...約7時間前by リョウスケ
- レビューイト レインボーボードゲームをやり始めた初期に購入したゲームですが、そんな初心者でもす...約10時間前by Junsuke Katagiri
- レビューフィクサーこちらはカードをプレイできるスペースがいくつかあり、2人共がプレイした...約10時間前by うらまこ
- レビューナインキーズ今日の思考力を体温計の様に測るゲーム?? なるほど、そんな感じする。...約12時間前by YouSayProject
- レビューツクル10テン8枚の数字タイルの数字合計が「10(テン)」になるようにする。数字は赤...約14時間前by うらまこ
- レビュートレンド6/10オインクゲームズ新作。トレンドを読んで、得点を稼ぐゲーム。最近...約15時間前by 白州