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  • 1人~4人
  • 60分~120分
  • 12歳~
  • 2017年~

リスボア / リスボンmaroさんのレビュー

929名
8名
0
約4年前

以前イチロー氏が、「出る杭は打たれる」ようにならないためにはどうすれば良いか、という問いに対し、突き抜けてしまえばいい、と答えていました。

BGGのウェイト4.6弱であるこのリズボアは、重さという点において、「出る杭」となることを目指してデザインされていると感じます。いや、むしろ突き抜けることを狙っているのかもしれません。それはまるで難解といわれる文学作品や、装飾音のやたらと多い音楽のようで、どうだ、すごいだろ!的なあざとさとも見えてしまいますが、逆に、そこがまた良い所でもあります。

このゲーム、手番ではカードを1枚プレイするだけです。っていうのは2010年代中ごろからの重量級ゲームにおいてよく見られてきた手法です。

リズボアでは、これにより基本的に2つのアクションが立ち上がってきます。この2つのアクションは特定の組み合わせを形成しており、大きく分けて6通り、さらにそこから20強のパターンに細分化されます。1つ1つのアクションは貴族の力を借りたり、カード自体の能力を発現したり、ボード上のボーナスを獲得したりして様々なパラメーターや資源の増減をもたらします。

序盤のきつめのリソースまわりも特徴的です。4種の商品、お金、影響力、商店、役人、船、公共施設・・・これらは各アクションを軸として循環するような相補的な関係を形成しています。初期のいくばくかの商品、お金、影響力を元に、わらしべ長者のように拡大を試みていきます。

特に序盤に関しては純粋なアクションそのもので得られるリソースは微々たるもので、アクションの組み合わせの不自由さとも相まって締め付けられるような感覚を味わえます。ここは、アクションに伴う各種のボーナスや、政治カードについている追加アクションや特殊効果、他プレイヤーの追随アクションなどを有効に利用することが前提となっているといえます。ただ、重要なリソースが枯渇してしまうといき詰まってしまうのでは?ということが頭をよぎることもありますが、意外とアクションは繋がっていきます。

中盤以降は、聖職者タイルや政令カードが今後の展開の良い指針となり得ますが、収束性は高いため、早め早めに獲得していかないと、持ち腐れとなる可能性もあります。序盤の苦しいスロースタートが嘘のように、終盤は勝利点をきっちり取っていく必要があります。逆に言うと、どれだけ早い段階で勝利点も意識した細かい積み重ねが行えるかが分かれ目になるといえます。とはいっても、政治カード、聖職者タイル、政令カードなど影響力の強いものたちはめくり要素もあり、適宜方針の修正を迫られることもあります。複雑でありながら、適度なゆらぎもあり、かつ思考性の高さを兼ね備えている、このあたりがBGGでも上位に食い込んでいる所以なのかも知れません。

インタラクションは直接攻撃などはないものの、各種ボーナスやカードの早取り、貴族訪問の追随アクションと、近代ユーロとしては標準的な部類でしょう。面白いと思ったのは、商店、公共施設関連のマジョリティはゲーム中/終了時のボーナス、勝利点に関わってきますが、同時に瓦礫を取ることで商店の建築コストが安くなるという、相手を利する(特に追随アクションの可能性がある場合は)面もあること。あるいはテーマからすれば、共同作業と言えるのかもしれません。

冒頭で、突き抜けた、という話を持ち出しましたが、いわゆる「見通しの悪さ」に関しては天下一品といえます。むしろ初めのうちは、勝利点って何?となることは請け合いですが、逆にゲームの流れが見渡せるようになった時に霧が晴れるような充実感が味わえるといえます。また、理不尽なペナルティなどはないため、純粋にゲームを楽しむことができます。

基本的に言語依存はなく、アイコン化や、ボード上のリマインダーが存在しますが、これらだけですんなり流れを把握するのは普通の人間には難しいのではないでしょうか。プレイヤーエイドが付属していますが、こちらはプレイ中必須と言っても良いところです。

数あるラセルダ作品の中でも、オンマーズと並ひ歯応えのあるゲームであり、プレイしがいのある名作です。


評価9/10  重さ9/10

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