ヘルパゴスダイアンさんのレビュー

一緒にプレイする人たちの個性（ノリの良さ・その場の空気を読める度合いなど）によって、その楽しみが大きく変わってしまうゲームだと思います。

気心の知れた仲間内でのプレイや、屈託のない子供同士、ノリの良い人たちが酔ってプレイするのなら、楽しいゲームだと思います。

しかし、まったく見ず知らずの初見同士や、プレイヤー全員がGTO（ゲーム理論に基づく最適戦略）に従うプレイをするとき、または引っ込み思案同士でプレイするときなど、かなりの確率でなんとも言えない気まずいような、寒々しい雰囲気になると思います。

『囚人のジレンマ』の要素をゲームに取り込んで楽しもうとしたように思いますが、（そうであれば）その意図どおりに楽しむためには、参加者の理解とノリの良さがあってこそですし、それを前提にしているところは好みが分かれると思います。

そもそもこのゲームで自分の脱出を優先するのなら、ゲーム開始早々に銃と弾を偶然持っていたプレイヤーがいるとするなら、そのプレイヤーはランダムに誰かを殺して口減しをした方が撃ったプレイヤーも生き残った他のプレイヤーも生存確率はあがる気がします（食料などの消費の方が作業を進めることより早く、そして確実に進行するので口減してそのアイテムを奪うことは合理的な選択です）。でも、このようにすればそのプレイヤーは当然サイコパス扱いになってしまうでしょうし、大した理由もなく誰か他のプレイヤーを選んで殺すのは（いかに合理的ではあれ）できればしたくないことです。

全員で脱出できても「なんか違う‥」感が漂ってしまい、これはこれで興醒め。合理的に動いても興醒め、合理的な動きでなくても白々しくて興醒め。

最終的に裏切ることがわかってるのに、途中までいかにも協力している風を装うのがほんとうに寒々しかったです…

裏切り行為が嫌とかブラックジョークが理解できないという問題ではなく（むしろ個人的にはそういう要素があった方がゲームは面白くなると思っています）、ただただこのゲームのプレイ感が『寒々しく、白々しい』のです。

作者にその意図はないのでしょうが、「予定調和の面白さを押し付けられている」感が至るところでにじみ出ているような気がします。

遊ふメンツを選ぶゲームだと思いました。