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  • 2人~5人
  • 75分~95分
  • 10歳~
  • 2011年~

ハワイダルニさんのレビュー

252名
3名
0
4年弱前

ボードゲームはコミュニケーションを促進する。

それは確かにそうなのだが、コミュニケーションの対象は他者とは限らない。

というのも、遊んでいると唐突に自分自身の知らなかった一面を発見できることがあるし、そういうゲームに遭遇したという経験によって「わ!面白い!これ超好きかも!」といった補正がはたらく。

ハワイは「そういうゲーム」の一つで、ずいぶんと前に遊ばせてもらった思い出が忘れられず、高値で和訳のないものを買ってしまった。抗えなかった。


買ったものを大阪行きの時に持っていった。

昭和町のデザート*スプーンで久しぶりに遊んだわけだが、スタートプレイヤーが初手でペレの祭壇を裏面で買い(ペレ=火山の女神。裏面で配置すると以後島の移動コストは常に1になる)、ボート&フルーツの両輪体制で圧勝した。

ひどい目にあったが仕方あるまい。全員でボートかフルーツを抑え込む必要があったし、それができる展開ではなかった。女神は気まぐれなものだ。


このゲームにおけるプレイヤーの目的は、自分の島を観光地化することにある。

近代化の波がすぐそばまで来ている。現状のままでは島の産業は衰退し、先細りになるのは火を見るより明らかだ。

ハワイ本島のように、この小さい島は生まれ変わらなくてはならない。コテージを立てて、フラダンサーやサーファーを集め、祭壇を整え、観光客に喜んでもらえる村づくりを目指すのだ。

お金(貝)をたくさん使うと「あそこは羽振りがいいらしいぞ」という評判が立つし、近隣の島に行って噂を流すのも良いだろう。

誰がいち早く島を「見世物」にできるのかを競う、そんなゲーム。

なんというか、とても世知辛い。


そして実際、ラウンドが進むにつれて収入も減る。

コテージや果樹は、配置できれば収入を増やしてくれる。よっしゃじゃあこれ拡大再生産系でしょ、と思いきや、先細りしていく収入の保険でしかない。

なので、拡大再生産のゲームでよくある「後半になればやれることがどんどん増えてきてうれしい!」といった感情は起こらない。どちらかといえば、足場がどんどん崩れていって立っているのがやっとのような状況に似てくる。つまり苦しい。後半になればなるほど苦しい。

苦しいのは全員一緒なので、次第に悲鳴が沸き起こる。


先ほどのデザート*スプーンでの卓でもやはり悲鳴は上がっていたし、なんなら私が一番やかましかったかもしれない。

しかし、そのために持ち込んだのだ。

遊びながら悶絶する仲間たちを眺め、自分もまた悶絶する。

それが実に痛快だということを、かつてこのゲームから発見した。

「みんなの悲鳴が聞きたい」という欲求を自分の心のうちにはっきりと見出したのだった。

ラウンド開始ごとに聞こえる「やばい少ない」という声、価格オーバーにより誰もティキが買えないという絶望の怨嗟、低く鳴り続ける「1足りない」という呻き。

書いているだけでうっとりしてくる。ハワイは明らかに私の中の変態を目覚めさせた。


もちろんゲーム自体も面白い。

槍を徹底して取るとか、ボートに全振りするとか、いずれかの得点要素に特化して何度もチャレンジしたくなる。

モジュラー式メインボードが組みあがった時点の、「今日はどの戦い方で行こう」と作戦を練る段階から、いきなりワクワクのピークが来る。

そして始まる、熾烈な観光地化競争。

欲しいものは大抵先手番に取られ、高いタイルばかりが残る。

最初の計画から路線変更を余儀なくされながら、血を吐くように貝を吐き出す。

酋長!一体全体どうしてこんなにしんどい思いをしてまでうちらの大事な島を見世物に改造しなければならんのですか!と叫ぶ島民の怒りが聞こえてきそうだ。

一生懸命箱庭を育てているのにどんどん後ろめたくなるし、他の酋長が憎くてたまらなくなる。

悲鳴が上がるのはそんな時だ。


(苦しいのは俺だけじゃなかった。そうだみんなで苦しもうぜ)と、私は安堵する。

そして同時に(くうっ、これこれ!これがハワイだ!)と散歩に出かける犬のように狂喜する。

実物のハワイにとっては「これがハワイだ、じゃねーよ」と言いたいところかもしれないが、私の好きなのはこのハワイであって、ここにこそ友人たちを連れてきたい。

そしてみんなで泣くのだ。

常夏の楽園などなかったと言って。

すると私はその嘆きに恍惚となり、ますますハワイに溺れるのだ。

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