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  • 2人~4人
  • 100分前後
  • 12歳~
  • 2014年~

アクアスフィアダルニさんのレビュー

626名
10名
0
5年弱前

最近、自宅の近所にボードゲームカフェ「kita cafe」がオープンした。

歩いていける。実にけしからんことである。

スキマ時間ができると行きたくて仕方がない。

お財布にも厳しい。

辛い(うれしい)。


お店の暇そうな時間に2人で「アクアスフィア」を遊ぼうとマスターと約束した。

しかし、過去三度失敗している。

コンポーネントを準備し、さあ1ラウンド目開始だ!というタイミングでカフェ入り口扉の鈴が鳴る。来店客だ。

広げたアクアスフィアは、ある時はその来店者と遊ぶのにそのまま用いられ、はたまたある時は箱の中に粛々と戻された。

このように私の持ち込むアクアスフィア(注:お店にはありません。念のため)は、客寄せラッキーアイテムとしてkita cafeの売り上げ増にちょっとだけ貢献している。

そんな効能があったとは正直驚きであった。

お店を応援する立場上これは非常に喜ばしい。お手柄である。

その一方で、初心者でもカジュアルにボードゲームを楽しめるはずの小綺麗なカフェが、ド変態フェルト狂いによる熱血アクアスフィア道場みたいな事に一瞬なってしまって、なんだか申し訳なくも思ったりする。


アクアスフィアはシュテファン・フェルトの最高到達点だ。

先手番・後手番ともに有利不利があり、特殊能力カードが個々に強力ながらもバランスが取れている。

やりたいアクションがすべては実行できない/順番すら制限されるという二重の不自由さの中で、他プレイヤーの思惑動向にも対処する必要がある。

そんな中にタイルやカードのめくり運もある。この「見えない情報」と「見えている情報」の配合も絶妙だ。

さらに

・アクション実行前に「仕込みのアクション」が必要

・点数トラックに障壁が設けられ、突破するための特定のリソースを持っていないと加点がままならない

・スタート時よりリソースや特殊能力を持てる数には制限がかけられており、いきなり特化プレイには走れないよう制動がかかっている。

といったほぼ独自と言って良いような要素もすっきりと破綻なく組み込まれ、もちろんフェルトお得意の減点要素(タコ)も忘れない。


まさに完璧と呼ぶにふさわしい中~重量級のアクアスフィア君だが弱点もある。

「モチーフがピンとこない」

これだ。


いや、わかる。

システムが独特すぎるのだ。

じゃあタコ退治(ほんとはタコ退治じゃないんだけど)の他に何を乗っければ良いのかと聞かれても、なかなか思いつかない。

でも、SFで攻めるなら海底ではなく、宇宙に話を持っていった方がよくはなかったか。

宇宙を舞台にしちゃうとボットのポンコツ感が出なくなるとか、タコ襲撃が洒落で済まなくなるとか、そういった懸念であろうか。

なんにせよこの「乗り切れない感」をどうにかして欲しかった。

ただそういった不満に対して、アクアスフィアのシステムを、ルールを、ひたすら賛美したい気持ちは遥かに上回る。

いかにもフェルトらしい、珍奇でひねくれたゲームだが、ルールひとつひとつにはきちんとそうなる理由があるし、新しいインタラクションを創出してもいる。

勝っても負けても「美しいものを見た」という感動が残る。

「それ以上に価値の大きいものはないよね。だってあんたゲーマーだろ」という想像上の製作者は私に囁きかける。

私はよだれを垂らしながら頷くしかない。

美しいし、面白いのだ。


しかし、普遍的に通用する美しさかというと、私はフェルト贔屓が過ぎるので、安易に断ずることはできないとも思っている。

誰にも合う合わないはあるし、長々と開陳した(私が思う)上記の美点もド変態フェルト狂いによる病的アクアスフィア幻想として片付けられても致し方ない。

他のフェルト作品に触れ、少しでも魅力を感じたことのある方には是非一度(遊んだことがあるならもう一度)遊んでみてほしい、もっと言うなら私と遊んでほしい、というのがこの稿の大元の願いだったりする。


「kita cafe」のマスターとのアクアスフィア対戦は四度目にしてやっと実現した。

圧勝した。単純に経験の差が出た。

次回こそ本番であろう。

しかし、ここまでの道のりを考えると、次回は当分先になる。

何しろアクアスフィアは客寄せラッキーアイテムである。

セットアップするだけで邪魔が、もといお客さんがどんどん入ってくる。


この効能は普遍でもないし、もっと言うなら事実でさえない。

幻想に基づいた、私とkita cafeとの間でのみ成立する冗談だ。

とは言え。

アクアスフィアのシステムに、またその美点に何らかの仰々しい価値を見出すのならば、こんな他愛無い冗談にも同等の価値はあるだろう。

何しろ

「また今度遊びましょう」

という約束を、他の何にも替えがたい希望のようなものを、私たちは四度結んだのだ。

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