- 2人~4人
- 60分~120分
- 12歳~
- 2015年~
グランドオーストリアホテル下村ケイさんのレビュー
【評価8.3/10】気品漂う慌ただしさ。強烈な揺らぎを乗りこなして一流のホテルを目指そう。「グランドオーストリアホテル」レビュー

●感想
〇てんてこまいの悩ましさと尽きせぬ忙しさ
結論から述べると、グランドオーストリアホテルの本質は効率化のパズルだと思っています。そこそこ額の大きい目的カードや派手なぺナルディorボーナスを持つ皇帝トラックの存在感は無視できないほどではありますが、詰まるところ「お客を招き、要求を満たし、部屋に泊める」というシンプルな得点構造をもっており、いかにそれらを効率よく満たすか&その過程でいかに目的カードや皇帝トラックを遂行するか。というゲームなのです。
では何がグランドオーストリアホテルを面白いボドゲたらしめているか。
ずばり、それは悩ましさと忙しさです。
先ほど書いた通り「お客を招き、要求を満たし、部屋に泊める」と構造それ自体は単純であり、それがために簡単そうにすら見えますがそうは問屋がルチアーニ。詳しく書いていきましょう。
〇お客を招く――流動する盤面、多岐にわたる戦術の中からいかな起点をつくるか

お客を宿泊させることで得られる効果は、お金がもらえたりリソースがもらえたり。どれもうまく使えば大変ありがたいものばかりです。基本的に「宿泊に成功したときに発動する効果と現時点で自分がやろうとしている戦術との間にシナジーのあるお客」を招くことが大事ですが、自分のホテルのカフェでプールできるお客カードは3枚までであり、そして一度招いたお客はいかなる手段をもってしても破棄することができません。そのため、いくら戦術と合致していたとしても宿泊までいかなければやがて致命的な動脈梗塞を起こして何もできなくなります。おまけにゲーム終了時までカフェにお客カードが残っていると失点を食らいます。という訳で「お客カードがもたらす効果がどのくらい自分にとって有用か」という評価軸と「どのくらいスムーズに宿泊まで送り出せるか」という評価軸の合間でどのお客を招くかで延々悩み続けることになります。おまけにお招きするお客カードが並ぶメインボードは相手と共有であり、自分が欲しい便利なお客は大抵相手も欲しいことが多く、早取りのインタラクションもここへきていやってほど強調される。おまけにお客は新しく補充されたものほどお招きするのにコストがかかる始末。
〇要求を満たす――シンプルだが難しい意思決定を求められるリソースマネジメント

強めの効果を持っているお客ほど要求する食べ物や飲み物は多くなる傾向があります。という訳でただでさえ少ない手番をリソースの獲得に割く必要があるのですが、アクションの項目で説明した通りケーキやコーヒーなどの高級品は効果値が低いと圧倒的に不足しがちになります。1金を支払えば効果値がプラス1されたり、出目6のアクションが1金を支払えばワイルドアクションとして実行できたりと申し訳程度の安全装置はついていますが、お気づきですか。どれも1金が必要になります。そして、覚えていますか。あぶれて厨房にいったリソースを配膳するのにも1金がかかります。(正確に言うなら、1金で3つまで配膳できる) という訳で、何をするにしてもお金がかかります。ここで発生する悩ましさですが、出目1と2のアクションでもらったリソースはその場で(無料で)お客カードの上に乗せられるということ。先にお客を招いてから食べ物、飲み物をもらえば配膳にかかる1金が節約できるのです。なので理想は「需要を先に並べて、後から供給する」です。ただ、理想はあくまで理想であり原則ではありません。相手のダイスピックの影響で必要数を確保できなかったりもざらに発生します。どのタイミングでお客を招きするのか。どのタイミングで要求を満たすのか。どのような満たし方であれば無理なくゲームを進められるか。そんなことを延々考えねばすぐに困窮してしまいす。
〇部屋に泊める――フロアを舞台にコストとボーナスの取捨選択に悩む簡易パズルの趣
首尾良く注文を配膳し、対応する色の部屋も用意して、あとは送り出すだけ。その段階でもまだ悩ましさは続きます。
先ほども書いた通り、色のまとまりであるグループを埋めるとボーナスが得られます。青色のグループだと部屋数に応じた得点。黄色のグループだと部屋数に応じて皇帝トラックを進め、赤色のグループだと部屋数に応じてお金がもらえます。これがなかなかバカにならない! この手の「カツカツなゲーム」はいかにプラスアルファの恩恵を取りこぼさずに狙っていくかがとても大事なことが多いですが、本作もその例に漏れません。特に赤色や黄色はお金や皇帝トラックの進歩がもらえるのですから何もかも不足する序盤では計画的に利益を受け取れる態勢をつくりたいもの。という訳でどこに部屋をつくるか、どこの部屋に泊めるかもまた大事になります。ここで書き忘れていたルールですが、新しく配置する部屋タイルは既存の部屋タイルに隣接していないといけません。なんてこった。部屋タイルを上に並べるか右に並べるか。斜めは許されないのです。

例えば個人ボードがこんな感じになっているとしましょう。赤色のグループを埋めるとお金のボーナスがもらえることは既に書きましたが、上から2つめの赤い空室をうめると「2つの赤い部屋グループを埋めたのでボーナス」として3金がもらえます。おまけにそこは3点のフロアなので、ゲーム終了時にもらえる点数が3点増えます。
ただ、下から二番目のフロアに空いている赤色のスペース。このフロアに部屋を置く場合はコストが1で済みます。勝利点の上がり幅こそ2点と少しだけ目減りしますが、「4つの赤い部屋グループを埋めたのでボーナス」として10金がもらえます。
勝利点が1点だけ高く、新規に部屋を作る必要のない上の部屋を宿泊済みにするか。
勝利点は1点低いし、別途部屋を置くアクションを打つ必要こそがあるがボーナスとして大金がもらえる下の部屋を宿泊済みにするのか。
よし後者の選択肢でいこう、と思った矢先ダイスの出目で3(=部屋を作るアクション)が出ない! なんてことも起こりえます。そうしてなんだかんだといくうちにどちらのボーナスももらえなかったり……痺れますねぇ。
また、目的カードが以下のような状態だったとしましょう。

すべての黄色い部屋を宿泊済みにすると15点ももらえます。
さて、先程の個人ボードを見てみましょう。

新しい部屋は必ず既に配置された部屋と縦横で隣接していないといけません。
なので、黄色い部屋を埋めようとなったらコスト2のフロアに青い部屋を作るか、コスト1のフロアに赤い部屋を作るかして、いったん他の部屋を経由してから黄色い部屋を作る必要があります。今回のケースでは、赤い部屋を経由した方がコストも安いしグループ完成ボーナスがもらえるのでそこまで大きなジレンマにはなりません。
ただ、先程貼った目的カードの画像を見返してみてください。右側に「青い部屋が4つ、宿泊済みになっている」というアイコンが見切れていますよね。
ボーナスとしてもらえるお金を狙いに行くか。
目的カードの条件を満たして勝利点を狙いに行くか。
どちらを重視するかで、部屋の置き方ひとつとっても延々と悩んでしまう訳です。
そこに、お客カードの色という運要素が絡みます。果たして次に自分がピックできそうなお客カードの色は青なのか、赤なのか……。
と、散々脅かすようなこと書きましたが
うまくいくときはまるで無数の歯車が奇跡的な角度で上手に噛み合ったみたいにとんとん拍子で物事が進みます。いわゆるコンボ的な快感を秘めた苦しさとでも言いましょうか。ルチアーニさんが関わったボドゲで時たま見ることができる快感原則のひとつだと勝手に思っています。
〇揺らぎの介在によって変化し続ける戦術と、リスクヘッジという視点

こちらのカード、なかなか派手な効果です。普通にコストが発生しても部屋を確定で作れるってだけで十分有用ですが、それが無料なんですから。上のフロアに部屋を作ればおおきめの得点も見込めますし、前述の「部屋を埋めた時にもらえるボーナス」も加味するととても助かります。

こちらはスタッフカード。コストが2金しかかからないのにゲーム中ずっと「1の効果値と2の効果値を+1し続ける」という効果を及ぼします。
そしてそれらは山札から無造作に引かれるカードであり、出現する順番は完全なランダムです。
また本作はダイスを選択することでアクションを実行しますが、ワイルドである6を除いた5つのアクションがどれもまぁまぁ必須なものです。ただ出目を参照する都合上、「ここで部屋を作れないとかなり困る(=3の出目が出ないと困る)」という状況で3の出目が出なかったりします。
これはつまり「運要素がそこそこ大きい」とも言えます。
ボードゲームにおける運というファクターはなかなか難しいテーマだと思います。運が絡むからこそゲームごとに異なる揺らぎが発生し、それによるドラマが紡がれたり、思い通りにいかない要素が変数としてそこにあるからこそ適宜自分の戦術を修正してベストを尽くす楽しさがあります。ただ、運要素が強すぎたり、その影響が大きすぎると「詰まるところどれだけ努力しても悪運ひとつでどうしようもなくなる」という話になり、詰まるところボウズめくりに帰結するなら真剣に取り組む意味が薄れることにもなります。
どの程度の運要素なら「魅力」と捉えられるか、逆にどの程度の運要素を「ノイズ」と捉えるかは人それぞれかと思いますが、その上で、ダイスの出目やカードのめくれ運が多く介在するグランドオーストリアホテルはどういうボードゲームなのか。
私の主観的な印象で恐縮ですが、本作のもう一つの側面は「リスクヘッジ」にあると思っています。例えば先ほどの「3の出目が出ないと、、」と言う状況が遅かれ早かれ近付いていることを察知したなら「3の出目が出ないというリスク」に対して「お客カードの効果で部屋を作ろう」→「このお客はなんとしても自分のホテルに招こう」というリスクヘッジができます。或いは3の出目が出たタイミングで他の「やりたいこと」を保留にして部屋を作っておくと、どん詰まりのリスクは避けられます。
また、黄色い部屋を作っておくことでそこを埋めたときにもらえる「皇帝トラックの前進ボーナス」を見越した上で「ペナルティは回避できるから浮いた手番で他のことをしよう」という戦術は理解できますし、よほどの悪運が重ならない限りは有用でしょう。しかし、出目が荒ぶり黄色い部屋を作れないリスク、そもそも宿泊する黄色い客カードが出ないリスクを考えると、ボーナスありきの戦術はどこかで破綻する可能性があります。特に皇帝トラックによるペナルティはなかなか重たいので、万が一を考えると何かしらの対策はしておいたほうがいい。
運が強く絡む要素が多い故に存在それ自体が限りなく「不確定な可能性」に対し、どれだけ「具体的な行動や対策」を盛り込むかというグラデーション。それがグランドオーストリアホテルにおける意思決定の土台にあるように思えます。
このように、本作では思い通りにならない要素がとにかく多いです。それなのに、効率よく点数を伸ばすには部屋を作り、客を迎え、要求される商品を提供する、と言った「やらねばならないこと」もまた多い。そのため、細部を慎重に調整しながら長期的な戦略を少しずつ形にしてくというプレイではなく、都度都度変わり続ける状況の中でどれだけリスク対策にリソースを割くか、どれだけ好機を最大化できるか。強い揺らぎに対してどこまで柔軟に戦術を変化させるか。というゲームだとも言えます。運の要素が大きいゲームだからこそ選択と集中、リスクヘッジが大事なのです。
ロレンツォが専ら相手の動きを読みながら一手を考えるのに対し、グランドオーストリアホテルはゲームに対する不確定要素も計算の対象になる。奥深いゲームです。
〇ホテルマンたるもの慌ただしさのなかでも流麗に業務を回したい
本作は「あらゆるリソースが少しずつ不足する」タイプのゲームで、先述の通りやらねばならないことが多いためどこか一つに躓くとそこがボトルネックになって全体の流れがどこまでも滞ります。
ですが、アグリコラの「1手」の差で生きるか死ぬかを競るようなきりきりとした苦しさは(あくまで主観的な感想になってしまうが)あまり感じない。その理由は「プレイ感の軽さ」にあったりカードによってもたらされる「アッパーな能力」にあったりもするし、事実停滞を切り抜けた時にある種の連鎖にも似た反応で状況が好転したりもするが、私はむしろ「オーストリアのホテル」という世界観やテーマによるところが大きいと思います。
今まで散々書き連ねてきた「忙しさ」や「ままならなさ」ですが、言うなればそれらの「苦しさ」が「オーストリアのホテル」という華やかなテーマと結びついたとき、他の作品ではあまり感じることのない愉快なゲーム体験を生み出しています。
どれだけ忙しなくても、どこか優雅な空気が漂う。出目のせいで阿鼻叫喚でも、お客様の前では決して取り乱さず、洗練された所作で宿泊まで導く。それらは決して容易に数値化したりできる類の魅力ではないが、さりとてしかとそこに感じる類の魅力でもあります。現場というのは往々にしてカオスであり、業務に忙殺される中でどんな客が姿を現すかも不確定。出目に翻弄され続け、下手するとなにもできずに終わりかねない。それでも、自分の知恵と機転でお客様をもてなし宿泊させ、それがための点数をぐんと伸ばしたとき、得も言われぬ充足感のようなものを覚える。
それはオーストリアで、ホテルだからなのだと私は思う。
というわけで。好きです、グランドオーストリアホテル。
●レビューチェックリスト
1:深さ/複雑さ
「意思決定において、どれほどの困難≒楽しさが伴うか」
4.5点。つまるところ運だと言ってしまえばある部分まではその通りだが、さりとていたずらに翻弄されるだけのゲームでは決してない。出目やカードのめくれ運は基本的に良い方向にも悪い方向にもぶれるため、それに対してどこまでリスクヘッジするかの意思決定は「乱数」故に正解が存在せず、延々と悩むこと≒楽しむことができる。また、「やるべきことが多い≒やりたいと思えることが多い」上に多様な戦術を許容する懐の深さがあり、運要素を始めとした無数の揺らぎを乗りこなした上で自分の思い描いた戦術がうまくいったときの達成感や充足感は病みつきになるレベルである。
2:メカニズム
「ゲームの設計はどれほど美しいか」
3.5点。ダイスドラフトやお客を宿泊まで導くためのリソースマネジメントなど、本作を構成する各メカニズムそれ自体はとりたてて斬新という訳ではないが、本作の神髄はそれらの思い切ったバランス調整にあると思う。例えば肝心要のアクションの効果値や、そもそも狙っていたアクションを実行できるか否かの決定までをダイスロールに内包し、多少の理不尽はあれどその上でゲームを成立させているバランス感覚こそが本作のメカニズムとしての本質なのではないだろうか。その上で、皇帝トラックというノルマを課すことで全体を引き締めたり、無数のカード効果によってホテル経営に様々な搦め手を付与しているところも面白く、また個性的に思う。
3:相互作用
「他プレイヤーとの絡みの量、質」
3.5点。主にインタラクションと呼べるのはお客カードの早取りとピックするダイスの早取りだが、相手が得しすぎるのをカットするためだけに自分の手番を割く余裕は基本的にないため、「自分の利を優先するか」「相手の利をどこまで妥協するか」といった立体的なジレンマはそう多くはない。ただ、先述の二つの早取りは一歩歯車が食い違うとなかなか壊滅的な被害をもたらすこともザラであるため、いわゆるソロプレイ感はあまりない。ぞっとするほどくっきりとした早取りによって明暗が分かれるタイプのゲームと言える。
4:オリジナリティ
「戦略、メカニズム、テーマはどれほど新鮮でユニークか」
3.5点。かなり強力なカード効果を持っているのにそれらがめくれ運に依存するところや、アクションの効率がダイスの出目に左右されるところ、その上で皇帝トラックという強めのノルマが課せられているところなど、普通のボードゲームであれば破綻までいかなくても苦手とか好みじゃないと思わせる要素がたくさんあるか、それでも尚「面白い」と感じさせる個性がこのゲームにはあるように思える。そして、それらの要素を「オーストリアのホテル経営」というテーマの上で何の違和感もなく統合させた上で、どの要素も高い水準で調和している。その調和具合は美しいと言っても過言ではないだろう。
5:ムード
「テーマやアートワークはボドゲ体験をどれほど彩るか」
4.0点。とても忙しない上にタイトであるリソースマネジメントなどゲームを構成する要素を決してスポイルせず、それどころかテーマとの相乗効果で心地よい慌ただしさすら生み出している雰囲気が秀逸。イラストは決して貴族趣味に偏ることもなく、ボドゲ的なデフォルメが効いているため思考のノイズになることもない。これがもし違うテーマ、違うイラストであったなら、先程も書いた通り微妙な綱引きの上で「苦手」と判断していたかもしれないことを考えると、ムードは極めて理にかなっていると言える。
●主観的点数:4.5点(5点満点)
〇その理由
重ゲーにおける運要素にどちらかというと苦手意識があった。詰まるところ運が良い人が勝つのならエネルギーを使って考え事をしても意味がないのではないか、と言う短絡的な考えを持っていたのだ。だがゴーレムと言うボードゲームにおけるマーブルの使い方にとても面白さを感じた私は、同作者における似たような「揺らぎ」の構造に興味を持ち、また折良く再販の知らせを知ったためえいやと勢いに任せてぽちった訳である。結果、購入して大正解であった。
まず、こう言ってしまうと元も子もないが2人プレイだとそこまで重くない。この軽さであれば、多少の運要素が介在しても「とりあえず生で」くらいの気軽さで箱を開けることができる。本記事にて散々「悪運を乗りこなす楽しさ」みたいなものを述べたが、自分の落ち度以外の理由から苦境に立たされかねないゲームを2時間半続けるのはさすがに疲れてしまうからだ。
無論、軽いことがこのゲームの魅力の本質ではない。ホテル経営にはかなりの自由度がある。とりうる戦略は多様だ。
15点をもらえる目的タイルを重視するのか。
皇帝トラックを早々にあげきってしまうか。
そんなの考えずひたすらお金を稼ぎ得点の高いフロアに部屋を作りまくるか。
比較的簡単そうな客カードを回転率重視で部屋を埋めていくのか。
或いは量より質でどっしりとした客カードを誠心誠意宿泊させるのか。
そして、それを実現するための戦術は、適宜出目やお客カード、スタッフカード、そして相手の動きによって千差万別に変化するため、非常に考え応えがある。そしてそこそこ強力な効果を持つスタッフカードもその自由度に拍車をかけている。なにせ、そこそこ強力だから、せっかく場に出したスタッフを活用してやろうとその効果に応じた戦術をとってみたくなるのだ。
そして、本記事でもたくさん書き連ねてきたが、起こりえるリスクに対してどの程度備えるかを考えるジレンマそれ自体がなかなか楽しい。なぜならリスクとは不確定なものだからだ。思考の材料が全て確定的な事象ばかりであればそこから最適解めいたものに至るのは不可能ではないが、不確定な事象に対して「どれくらい備えるか」という思考にはどだい決定的なことが絡まないために正解がない。それ故に延々と悩むことができる。大半のボードゲーマーは延々と悩み続けたいものだと勝手に思っているから、これは歓迎すべき性質だろう。そして、1時間ちょっとと言う軽さでその「延々と悩むことができる」と言うジレンマを実現しているのだから、素晴らしいボードゲームと言うしかない。
●評価点の算出方法
チェックリストの平均点+主観的点数
●誰がこのゲームを好むだろう
変化する盤面の中でその都度その都度、よりよい選択肢を思案し続けアドリブで戦術を決めていくのが好きなプレイヤーはきっと夢中になると思う。反対に、ゲームを通じて長期的戦略を練り上げながら確実に勝利へとにじり寄っていきたい、と言うタイプのプレイヤーは少しだけ合わないかもしれない。
また、運要素それ自体に対して否定的なプレイヤーも本作は少し合わないだろう。
幸運だろうが悪運だろうが自分のアドリブ力と慎重且つ大胆なリスクヘッジで乗りこなしてやりたい、と考えるプレイヤーにはぴったりのゲームだ。是非、てんてこまいなホテル経営を堪能していただきたい。
画像つきのルール概説などは以下のサイトまでどうぞ。
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