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  • 1人~8人
  • 120分~240分
  • 14歳~
  • 2014年~

エルドリッチホラーCepter JBのリプレイ日記(2026年8月12日)

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約1時間前

私は私が調べ上げたこの記録を書き残すのは、自分が正気であると自分に言い聞かせるためだという認識が少なからずある。私は自分が決して狂ってなどいないのだと信じているが、これを読むあなたが、私の正気を疑い、哀れな精神病患者の誇大妄想だ、あるいは出来の悪い怪異小説の下書きだと断じて、この記録を火に投じたとしても不思議だとは思わない。だが、私の書斎の机を占拠しているこれらの資料を前にして、私は震える手でペンを握り、この事実を書き残さざるを得ない。これらを整理している今この瞬間も、私は名状しがたき宇宙的な恐怖に侵食され、正気を保つことが日に日に難しくなっているのだから。

調査の結果、私はすべての始まりは1920年の秋であったと結論づけた

偶然手に入れたレオ・アンダースンの日誌と、その検証過程で手に入れた、同時期に書かれたと思しきジャクリーン・ファインの手記を足がかりに進めた調査の結果として行き着いた私の推論は、その年、宇宙の中心で人類の想像を絶する不浄の厄災の覚醒が、最後の猶予を残すのみという、絶望的な位置に達していたのだというものだった。

彼らの残した記録を辿ることで、当時、地球の別々の場所にいた2人の男女は、お互いの存在すら知らず、迫りくる終末の影を機敏に察知し、それぞれの方法で対抗していたのだということが明らかになった。しかし、それが事実だとはにわかには信じがたく、私はそれが導く推論を否定したいがために、この調査に更にのめり込んだのだ。

1920年当時、レオ・アンダースンはアルゼンチンのブエノスアイレスの港付近に滞在していた。彼が残した日誌そのものは、軍人の報告書のように短く素っ気ないものであったが、私はその日誌を元に彼の足跡を追い、いくつかの証言を集めた。結果、彼が探検隊を指揮する中で迎えた、いくつかの悲劇の存在を知ることになった。

彼は幾多の善良な仲間を未開の深淵で失った。ある者は熱病に倒れ、ある者は野獣の餌食となった。彼は自らを死へと導く疫病神だと呪いながら生きていた。当時ユカタン半島での破滅的な冒険から生還した彼は、それでもなお自身の仕事が終わっていないことを悟り、この港町で荒事に向いた用心棒の男を雇い入れていた。彼はこれまでの経験から世界の異変を感じ取り、絶望的な冒険へ向け、静かに牙を研いでいたのだ。

当時のブエノスアイレスの商船組合の帳簿から、大西洋を縦断して遥か東へと向かう大型の貨物船の出航が予定されていたことが分かっている。彼の日誌にはその船に乗船するための根回しが必要だという記述が残っていた。具体的な目的地は記されていなかったが、彼がこの町を出て東に向かおうとしてた可能性は高い。

さらに彼の日誌には冒険の資金調達のために現地の投資家からの融資を受けたことが記されていた。彼がその資金の一部を利用して工業用ダイナマイトを入手したことも記録されていたことから、この先の冒険が相当に不穏であろうことを予測していたものと思われる。

北米大陸の中西部、ミネアポリスの寒村に残されていたジャクリーン・ファインの手記を手に入れた当初、私はそこに綴られた「炎と破壊の悪夢」や「地平線を覆う大いなる闇」といった記述を、哀れな精神病患者の誇大妄想の類だと片付けようとした。しかし、彼女の足跡を丹念に追ううちに、彼女のその脳髄を焼く悪夢は、彼方にある真実を詳細にわたって観察する、一種の恐るべき超知覚として機能していたのではないかという推論に至った。にわかには信じがたいが、生じた事象と手記の時系列を俯瞰できる今だからこそ、そう結論づけざるを得ないのだ。

手記によれば、彼女はボストンで夢で見た通りの廃倉庫を探索し、そこでカルトが不穏な儀式を行っていた確たる証拠を手に入れていた。この事をきっかけに、彼女が自分の能力で世界を良い方向へと導くことができると確信を持ったこと、さらに自らの肉体を護るための、私のような合理主義者には到底理解できない『秘術』までもが、奇妙な符号と共に書き残されていた。

手記の記述を追う限り、この時期、彼女はミネアポリスから鉄道を乗り継ぎ、マサチューセッツ州の古めかしい街、アーカムへと向かっている。この調査を進める中で、私がレオ・アンダースンの日誌と彼女の手記を並べ、その時系列を検証したとき、一つの符合に直面することとなった。彼女が残した11月5日の手記に、その日に視た夢の記憶として一文が残されている。

「11月5日。夢のなかで強い初夏の陽射しと、熱を帯びた潮風を感じた。どこか険しく、悲痛な表情の独特の重圧を放つ一人の男が、投資家と思しき人物と交渉している。男はその投資家に、チチェン・イツァー遺跡で遭遇した困難と、その遺跡発掘がもたらした未知の叡智について静かに語っている。その話を知覚した私の脳裏に知識の放流が迸った。理解を超越する幾何学的な格子状の言語が構成する呪文が私の中に宿るのを感じた。」

ジャクリーン・ファイン


この手記が記された日付は、レオ・アンダースンが融資の交渉を行なった日誌の日付と一致している。確実な裏付けがない以上、私は依然としてこの符合をただの偶然ではないかと疑っている。しかし、一方で一つの推論を捨てきれずにいるのだ。彼女はこの時すでに、同じ破滅に抗おうとしていたレオの存在を、その超知覚によって微かに感知していた可能性があるのではないか、と。

11月の後半、船便の出港を待つためにブエノスアイレスに滞在していたレオ・アンダースンの日誌には、私の理性ではにわかには信じがたい、不可解な「発見」が書き残されていた。

日誌の記述をそのまま信じるならば、彼は港湾地区の地下で鉄道延伸工事に伴って発掘された、人類の歴史から完全に隠蔽されていた古代の地下室へと足を踏み入れたのだという。

そこに遺されていたのは、数万年前に地球を支配していたという古代の知的種族──彼の日誌には『ヘビ人間』という言葉が使われていた──が用いたとされる、科学とも魔術ともつかぬ奇怪な装置であったという。レオはその装置を調べ、ある種の知見によって操作に成功したと主張していた。日誌には、装置が起動した瞬間の様子がこう綴られている。

「地下室の装置が駆動し、私の全身を温かい光が包み込んだ。長年の探検で蓄積した身体の軋みが癒え、五感がかつてないほど研ぎ澄まされるのを感じる。この先、たとえ過酷な試練が待ち受けていたとしても、今の私ならば、成功へと導くことができるだろう」

レオ・アンダースン

言うまでもないが、私はこの記録を読んだとき、レオがありふれた地下施設で工事用の設備装置か何かに触れて感電でもして一時的な高揚感を得たか、あるいは単なる自己暗示であると疑わざるを得なかった。しかし、この時点ではその真偽を確かめる客観的な方法など何ひとつなく、ただ彼の日誌には、その日を境に驚異的な活力を得たという主観的な記録だけが残されていた。

同時期、11月の後半に北米東海岸の古都アーカムに到着していたジャクリーン・ファインの手記には、レオの疑わしい高揚体験とは真逆の、冷徹な現実が記録されていた。手記を紐解く限り、彼女はアーカムに到着して間もなく、この街の奇妙な歴史を管理している「アーカム歴史協会」の重い扉を叩いていた。彼女の目的は、アメリカ大陸を離れる前に、この不気味な古都の書庫に眠っているはずの、彼女が憂うところの世界崩壊の可能性に関わる歴史的文献を閲覧するためだったとされている。

しかし、歴史協会の管理者たちの対応は冷淡であり、貴重な古文書を彼女に開示することに同意しなかった。手記のその夜の記録には、管理者たちから提示された、ある条件に関する淡々とした事実だけが残されている。


「歴史協会の司書たちは、私が書庫へ立ち入ることを拒んだ。しかし、彼らの言うところの、私の『うわ言』に興味を持ったのか、もし、この街に数週間ほど留まり、彼らの研究を手伝うのであれば、見返りとして、常人には到達し得ぬ、ある種の『秘技の断片』を譲ってもいい、と持ちかけてきた」

ジャクリーン・ファイン


それ自体は、悪い取引ではなかったはずだが、彼女は強力な知識を手に入れる機会を敢えて捨て、世界を救うための時間を優先した。即座に立ち去った彼女が、いかに焦燥感に駆られていたかを、この日の手記の一文が克明に物語っている。


「私は彼らの誘いを拒絶し、時間の感覚が些細で不条理なこの場所を立ち去ることにした。私は、止まるわけにはいかないのだ」

ジャクリーン・ファイン


レオ・アンダースンの日誌の、11月の末に差し掛かろうかというページをめくったとき、私はそこに残された短く、ぶっきらぼうな一行の記述に目を留めた。


「取引は破棄された。調達した道具も失った。すべては私の責任だ」

レオ・アンダースン


おそらく、現地の投資家側との間で何らかの現実的なビジネス上のトラブルや不信感が生じ、差し押さえのような事態が生じたのだろうと推察するほかない。

さらに、その翌日の日誌には、前月に地下室の古い装置に触れて得たというあの劇的な万能感が、嘘のように綺麗に消え去った、という旨が短く書き残されていた。やはり、あの体調の回復は、レオの一時的な興奮状態、あるいは自己暗示がもたらした、束の間の幻覚に過ぎなかったのだろうと私は考えた。

それでも、何かレオを落ち込ませる原因となるような事態が起こっていた可能性もあると考えた私は、彼が滞在していたブエノスアイレスの港湾地区の当時の新聞記事をつぶさに調べた。結果、レオの日誌の内容以上に信じがたい、不吉な噂話を知ることになったのだった。

現地の地方紙の非常に小さな三面記事には、その夜、港の海面が不自然に上昇し、現地の水夫たちが「二足歩行をする巨大な魚類のような、忌まわしい未確認生物の影」を目撃してパニックに陥った、という荒唐無稽なニュースが残されていた。勿論私は、そんなものはただの集団幻覚か、あるいは夜の海の怪談話に過ぎないと、頭から疑ってかかったのだが、レオもこの噂話は現地で耳にしたであろう。未知の秘境に挑む探検家である彼が、このような噂話に興味を持つであろう事は、私でも容易に想像ができたのである。

同じ時期、北米東海岸のアーカムに滞在していたジャクリーン・ファインの手記には、特筆すべき記述は見当たらない。彼女は大西洋を渡るための準備しながら、船便の機会を待ち続けていたことがその手記から読み取れるのみである。

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