- 1人~6人
- 30分~90分
- 12歳~
- 2017年~
デックスケープ:実験の時Bluebearさんのレビュー
2017年からシリーズとして展開され、現在では10作程がリリースされているくらい人気の、謎解き・脱出系の作品です。
これはその第1作に当たります。
カードの山(Deck)から提示される謎を解き、自分たちの置かれた危機から脱出(Escape)する、ということでDeckscapeシリーズだそうです。
これが今回GPさんから完全日本語版として発売されました。
こういうカード情報が重要なゲームは、日本語版かどうかでプレイしやすさが格段に変わるので、これを機に手を出してみることにしました。
ネタバレなしで、感じたことを書いてみます。
■内容は非常にコンパクト
箱の大きさはいわゆる小箱サイズ。
持ち運びにも困らないコンパクト仕様です。
価格も定価で税込み1500円程度(海外でも$10ちょっと)なので、この手のシリーズとしては非常にありがたいと言えましょう。
特筆したいのは、カードサイズが大きいこと!
通常のカードゲームサイズではなく、箱いっぱいの大判カードとなっているため、複数人でプレイした時に複数人で参照しやすいというメリットがあります。(これ実はけっこう大切だと思っています。見習って欲しかったなあ、『○ィテクティ○』…)
そのため60枚のカードが箱いっぱいに入っているので、全部スリーブに入れないと気が済まない人は、サイズ規格的にも、箱の容量的にも困るかもしれません。
カードサイズの表記を探したのですが見当たらないのでモノサシで測ってみました。
結果はだいたいですが…、縦111.5mm、横87.0mmってところです。
カード数は前述したように全60枚ですが、よくあるパターンで、ネタバレ防止のため1番上と1番下のカードは注意書きになっているので、本編のカードは実質58枚ということになります。
このカード類以外のコンポーネントはありません。
それでもこの内容で、この価格は、かなりお得だと思いますよ!
■ゲーム内容で特筆すべきことは2つ
①ルール説明書がない!
箱を開けるとカードの束と、メーカーのアンケートはがき…しか入っていません。
よし事前にまずルールを確認しよう…と前日に箱を開けたらどこにもルール説明書がないことに唖然。
必要ないんですね、これ。
カードの山(Deck)から順番に引いてくるカードの指示に、順番に従っていけばいいように作られているわけです。(まあカード②③が解説みたいなもんですが、さすがに最初に見たときは戸惑いました。)
②カード類の消耗・破損がない!
これけっこう私的には高評価です。
EXITシリーズやMovieRockシリーズをやると(すみませんUnrockシリーズは未経験です)かなり派手にコンポーネントを折ったり切ったりしなければならないものがあり、それはそれで緊迫感を伴うプレイの1つとしてアリだとは思うのですが、長年のアナログゲーマーとしては、どうしてもコンポーネントの破壊に心理的な抵抗があり、また私のように複数の機会でゲームを広げる事が多いユーザーとしては、別の機会に使えないというのもまたツライものがあります。(面白かった作品ならなおさらですよね。メーカー的には1回限りの使い切りゲームって、ありがたい存在なんでしょうけど)
この作品はそれが無かったので、シリーズ通してこれが徹底されているなら、これからも追いかけてみようかなと思いました。(一部スコアカードというものがあって、時間や失敗回数を記録するためのカードがありますが、手元のメモ用紙で問題なく代用できます。ここに直接書き込んでしまうツワモノはなかなかいないのでは…?笑)
■ゲームの内容
今作の設定は、ある教授の実験に参加したメンバーがアクシデントによって研究室に閉鎖されてしまい、そこから時間内に脱出しなければならない!という王道的内容です。
各謎カードにはそれぞれ解かねばならない謎とヒントらしきものが書いてあって
①各カードの表の指示をよく読む。
②何が正解かを相談する。
③カードの裏面を見て正解かどうかを確認する。
という流れで進行します。
中には手元に置いておいて利用できる《アイテムカード》というものもあって、全員が見えるように置いておいて、複数回使用することもできます。謎解き時に必要なアイテムがないと、ペナルティが追加になったりするので気を付けなければなりません。
謎は途中で大きく4つの山に分けられて、いくつか同時に提示されたりしますので、手分けをしてもいいですし、全員で1つずつ集中して考えてもいいです。(ただし、他の謎を解かないと、《鍵》に当たる重要なアイテムが手に入らなかったりするので、これは無理そうだと思ったら、とりあえずいったん保留にして、他の謎に当たったほうがいいです。)
これによって複数人プレイが同時にしっかりできるようになっているので、まるで1人用謎解きをみんなで考えているような…という印象は特にありませんでした。この構造は非常に評価したいです。
こうしてどんどんカードが進んでいって、最後にエンディングを迎える事になります。(カード枚数に限りがあるので、収束性は高いです。)
■感想
プレイ可能人数は1~6人となっていますが、BGGとかを調べてみるとBestは2人で、あまり5人6人は評価が良くないようです。(1人でプレイすることもシステム上問題なくできますが、EXITシリーズやTimeStorysシリーズのように、1人の頭で考えることはやはり限界があるので、文殊の知恵を出し合ったほうが効率的ですね)
例によってネタバレ厳禁の謎解きゲームですから、内容の詳細に触れる事ができませんが、ざっくり感想をいくつか。
我々は5人でプレイ。
けっこう歯ごたえのある謎も多く、全員で悩む事もしばしば。なかなかな歯ごたえです。(その状況だけ見せられて、「何をしますか?」と聞かれても、どうすりゃいいのよ!となりますが、そこはみんなで知恵を絞るのです。笑。答えを見ると「なんだそれでいいんかい」という結果になることも多いです。我々が考えすぎなのかも。笑)
この手の謎解きに抜群の切れ味を見せる女性陣のおかげで比較的スムーズにエンディングを迎える事ができました。(ギリギリですが「ミッション成功!」でした♪○○○ちゃんありがとう~)
所要時間はぴったり80分くらいでしょうか。(途中あーだこーだと議論する時間がけっこうあってこの時間です)→この所要時間が「結果判定」に影響します。
やはり発想の異なる複数の頭があったほうがいいのと、共通の謎に向かってあれこれ議論するのが非常に楽しい。これはやはり謎解きや脱出ゲームの醍醐味でしょうね。
この手の謎解きゲームは、ともすると明かされても無理やり感で納得いかない謎があったりすることがありますが、今作は特にそんな印象はありませんでした。
※いちおう《ヒントカード》が別にあって、悩んだらそれを参照することもできます。(わざとちょっと読みにくい仕掛けになっています)それほど劇的なヒントが出てくるわけではありませんでした。
■注意点としては…、
という流れでだいたい進むので、裏を見るかどうかの決心がけっこう大きく重いです。つまり各謎に解答するチャンスは1回しかないのです。(これが失敗だったら《ミス》として回数をカウントする仕掛けです。この数が最後に減点対象になるので気を付けて下さい。ちなみにいくつ失敗したらゲームオーバーとかはありませんのでご安心下さい。)
つまり謎が解けないので全然進まずに手詰まりになる、ということが基本的にありません。(これ初心者に勧めるには大事ですね。)
これをあっさり次々見ちゃうか、「いやーまだまだ」と議論するかでプレイ感はだいぶ変わるかもしれません。「いやぁ~もうわかんねーや」、ってどんどん見ちゃうと、プレイは早くなりますが味気なくなっちゃいますので気を付けましょう。我々は逆に「いや待てよ、そうとは限らないかも…」と悩みすぎるくらいでした。
もうひとつ。これはカードの宿命ですが、手に取ってカードをじっくり見ようとすると、どうしても向かいに座ったプレイヤーに裏面が見えてしまいます。これ気を付けましょう。
3つめとして、結構難しい謎も含まれています。
連続して謎解きすることで、かなり脳みそを絞ったのでみんなぐったり疲れてしまいました(楽しかったけど)。なのでいきなりゲーム会の最初にやるのは避けた方がいいでしょう。(我々はいきなり最初にやってしまったので、その後の重ゲー予定を、急遽軽ゲーに変更することになりました。)
メンバーの評価も上々でしたので、さっそくシリーズ2作目「ベニスの怪盗」を購入しましたので、近いうちにチャレンジしましょう。
このまま日本語版シリーズの展開を続けてくれることを祈っています。
- 36興味あり
- 129経験あり
- 10お気に入り
- 150持ってる
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