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  • 2人~5人
  • 45分~210分
  • 14歳~
  • 2015年~

デッド・オブ・ウィンターBluebearさんのレビュー

831名
7名
0
5年以上前

極寒の地でゾンビに囲まれた極限状態を生き延びる人々を描く重量級ゲームの傑作!

巷での評判のあまりの高さに、以前から興味を持ちつつも、何となく難しそうでためらっていましたが、誘惑に負けてついに手を出してしまいました。そして仲間を招集して5人でプレイしてみて、私が気に入った点をまとめてみます。

設定が凝っていて没入できる!

ゾンビに襲われて壊滅した世界で、極地に取り残された生存者たちの群像ドラマです。ゾンビに襲われるのは分かるとして、別に極寒の地である必要はないじゃないですか。ところがこの雪と冷気に閉ざされた地という設定が、ものすごい『閉塞感』『孤立感』を演出していて、すごいと思いました。

このおかげで、例えばブリザードがひどくて孤立した砦だから外部に救援を求めるのが困難だったり、燃料などの物資が食料に匹敵するくらい超重要だったり、欠乏物資の捜索でちょっと外へ出るだけでも「凍傷」の危険性があったり、このように生存者が置かれているシビアな状況をルール的に納得いく形で表現されているところはすごい発想です。

このように設定とルールがきちんと連動しているというのは、ゲームのデザインとしてとても重要だと思います。

アートワークが美しい!

最近のボードゲームは印刷技術の向上で、美しいイラストに力を入れている作品が多くみられるようになりました。その中でもこの作品は徹底してリアルなイラストがふんだんに盛り込まれており、雰囲気の向上に大きく貢献しております。

設定が非常にシリアスなので、イラストタッチも海外風のリアルなものになっており、まるでハリウッド映画のような非常に好みのデザインとなっています。(これを下手に日本人的なマンガ風アニメ風でやられたら、この重厚で厳しいシリアスムードが台無しになっていたかもしれません。このへんは好みなんでしょうけれど。)

コマはフィギュアではなく厚紙製!

大量のキャラクターと、大量のゾンビを扱うゲームなので、最近の流行からいけば精密なフィギュアがたっぷり入っていそうなものですが、このゲームに関してはフィギュアではなく全て厚紙のコマをプラスチックのパーツで立てるようになっています。

それぞれ好みはあると思いますが、ペイントの手間もなくフルカラー印刷で完成されており、並べた時のリアルさは、フィギュアに決して劣るものではありません。このおかげでおそらくかなりコストが下がっているはずなので、私的には非常にありがたいです。

できれば他のゲームもこうして欲しいのですが…。フィギュアだらけにしたおかげでゲーム1個で1万越えが普通の現状は、ちょっとツライです…。ペイントもしたいけれど時間がないし、そんな暇があるならゲームそのものをプレイしたいと個人的には思ったりしちゃいます。

「運まかせ」の部分をちょっと工夫!

ボードゲームなのですから当然ですが、行動の判定をダイスで決定したり、物資の捜索でカードを引いたりします。なので普通なら「ゾンビを攻撃したけど、ダイスの目が悪くて倒せなかった~!」とか、「物資の山からカードを引いたけど、運が悪くて食料が出な~い!」といった状況が起きそうだと思いますよね。これって運次第じゃないですか。

でもここにひと工夫がしてあります。(今回私が最も評価している部分です。)

何とダイスはアクションのたびに判定するのではなく、なんと先に一定数(自分の担当しているキャラクター人数+1個ぶん)振っちゃいます!

このダイスの数がアクション数の制限になるのと同時に、先にダイス目が分かるので「成功するかどうか」は先にわかっちゃうわけです。だからダイス目を見て、キャラクターの能力を見比べ、「可能な」アクションだけやればいいわけです。

もちろん出目の運にある程度左右されるものの、基本的にアクションの無駄がないようにデザインされているのです。

これけっこう新しい方法だなと感心しました。また物資のカードも、捜索する場所によって、どんなカードが出やすいかがきちんとアイコンで明示してあって、やっぱり「燃料」が出やすいのは「ガソリンスタンド」だったり、「保存食料」が出やすいのは「雑貨屋」だったりするのが事前にわかります。また、「ゾンビを呼び寄せるリスクを冒して複数枚引く」なんていう選択肢を選ぶこともできるようになっているのです。ゲームとしていい工夫だと思います。

協力ゲームなのに疑心暗鬼!

生存者が協力して生き延びることが前提のドラマなのですが、実は各プレイヤーの勝利条件(密命)はそれぞれ違うのです!

それの達成ができたかどうかで勝利者がちゃんと決まります。必ずしも「全員勝利!」「全員敗北!」じゃないんですよ。

しかも砦の使命を妨害する役目をもつ「裏切者」が紛れ込んでいるかもしれません。(この「いるかもしれない」ってとこがミソですね。いないかもしれません!笑)

なので、それぞれが取る行動が微妙に「???」となるケースが頻発し、「もしかしたらアイツは裏切者なんじゃないか…?」なんていうスリルがたっぷりと味わえます。

加えてこの裏切者は、全員の投票で「追放」することもできて、そうしたらまた別の勝利条件をもらったり、ちゃんとそこまでルールになっているんですよ。(だから裏切者なのがバレてもゲームオーバーじゃない)

イベントの発生もスリリング!

このゲームには膨大な数のイベントカードが入っています。ターン最初にカードをめくって自分のイベントを判定…じゃないんですよ!(これ私が2番目に大きく評価しているところです。)

イベントカードは、ターンプレイヤーの右隣の人がめくって《密かに確認》します。カードにはイベントの発生条件が書いてあるので、もしプレイヤーがその行動を取ったら「発動!」となって、カードの内容を適用するのです。例えば、移動に燃料を消費して(車を利用したことを表します)ゾンビに襲われるリスクを避けて安全に移動することができるのですが、これが条件として書いてあって、その結果《事故》を起こしてしまう!とかの結果になるわけですね。

これ凄いですよ。まず、自分の手番じゃないのに暇にならないんですよ。相手の行動をちゃんと見ていないといけないんですから。しかもこれがメチャメチャ楽しい♥

何かアクションをしようとすると「え?…いいの?(ニヤニヤ)」なんてわざと意味ありげなリアクションをしてみたり(笑)。このおかげでアクションがすごくスリリングです。ね、すごいでしょ?

このように「スリリング」だらけになるようにデザインされているので、このようなゲームをお望みならかなりおススメです!買ってよかった!(5人でもできるし)

ただし、ちょっとルール量が多いので、インストはかなりしっかりやった方がいいです。(私は別に自作の「ルールサマリー」と「アクション一覧」を作ってみましたが、おかげでかなり好評でしたよ

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