項羽と劉邦 楚漢大戦りんさんのレビュー

2人用のボードゲームです。

ゲームシステムとしては、特殊能力を持つカードを用いるピラミッド・カードゲームです。強いカードほど少なくなる大富豪ですね。

カードには、項羽と劉邦の時代の王、武将、軍師、寵妃などが描かれ、それぞれにランクと特殊能力が設定されています。しかし、プレイ感としては、本格的な戦争シミュレーションというよりは、カードの能力を駆使した戦略的な駆け引きが中心となります。

勝利条件は手札をいち早くなくすことですが、自分の手番の開始時にあえて手札を増やすという選択肢がある点が特徴的です。

特殊能力の効果は、テキストだけでは理解しづらい部分もありますが、ゲーム全体のバランスは良く、2人で遊ぶ「大富豪」よりも奥深い面白さがあります。

キャンペーンモードでは、初期手札や各ゲームで使用するイベントカードが固定されています。さらに、各戦の勝敗によって次のゲームの初期手札が変動するため、戦略性が高まります。
ランダムに配られる手札で勝負する通常のゲームとは異なり、キャンペーンモードでは、キーとなるカードがどちらの陣営に最初からあるかを把握した上でプレイするため、より深く考える必要があります。

キャンペーンモードこそがこのゲームのメイン要素と言えるかもしれませんが、ゲームの根幹はピラミッド型のカードゲームであるため、どこまで深くやり込めるかは対戦相手が遊んでくれるかどいうかというところが大きいでしょう。

キャンペーンモード自体は楽しめるものの、プレイ開始時にカードを準備する手間があり、ゲームのテンポがやや悪くなるのは否めません。
また、ルールブックの記述も改善の余地があると感じます。前のキャンペーンの終了処理と新しいキャンペーンの開始処理の両方にカードの出し入れに関する記述があり、注意深く読めば理解できるものの、直感的に分かりにくい点があります。