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  • 1人~6人
  • 120分前後
  • 13歳~
  • 2002年~

蒸気の時代maroさんのレビュー

1226名
13名
0
約3年前

Steamとの違いが中心の内容です。

2019年には蒸気の時代デラックス(AoSDX)も発売され、もう生誕から20年になろうというのに未だに根強い人気を持つ。重量級鉄道ゲームの代表的存在でもあり、18xx系のような株券がらみの複雑さはないが、ネットワークビルド、ピックアンドデリバリー、経営的要素に加え、強いプレイヤー間インタラクションを持つ、数々のフォロワーを生んでいる名作である。

近年、クラシック的名作のビッグボックスやデラックス版、リメイクなどが数多く発表されている。AoSも、直系のリメイクであるSteamがあり、ボード類を刷新していくつかの拡張マップを追加したDX版も発売された。AoSに限ったことではないが、個人的には豪華で高価なのもよいが(商業的には既得層へのアピールも必要なのだろうが)、むしろもっと手に入れやすい廉価版があっても良いのではないかと思う。さらにAoSであれば、厚紙でもよいからマップを大量に付属したバージョンがあるといいのだが。

AoSそのものについてのレビューは優れたものがいくつも投稿されているため、ここでは現在の視点から俯瞰したAoSの特徴を、主にSteamと比較して見ていきたいと思う。なお、Steamには基本ルール(基)と標準ルール(標)があり、基本ルールは随所に簡略化があるが標準ルールはAoSのルール(A)にかなり近くなっている。

手番順
 手番順が競りにより決定される(A、標)
 手番順は前ラウンドの選択により決定される(基)
 特定のアクションには固定の費用がかかる(基)

慣れないプレイヤーではせりの相場が分かりにくく、さらに借金が自由なこのシステムではゲームの早期に財政的な破綻をきたす恐れがある。かといって降りてばかりでは状況は悪化する一方である。また、手番を決定するために数分の時間を費やすことになり所要時間の長大化をもたらす。近年では手番順のメカニズムも進化しており、さまざまな決定方法が開発されている。最近の傾向としてはオークションの要素を避けたゲームが目出つ。基本ゲームの手番順の決定は、次のラウンドの順序も考慮に入れて選択していくこともできるため、考えをまとめやすい。竸りではこの点でやや不可抗力が生じることがある。

とはいっても逆もまた真であり、手馴れたプレイヤー同士の対戦でのせりは濃密な駆け引きを生み出すことができる。AoSのファンがSteam(の基本ルール)を物足りないと感じるのはこの部分によるところが多い。


株式の発行(借金)
 ラウンドの頭の株式発行フェイズ以外では株発行できない(A、標)
 株式発行フェイズはなく、いつでも株の発行ができる(基) 

特定のフェイズでのみ借金が可能というシステムもまた玄人向けである。次ラウンドまでにどれだけのお金が必要であるか、綿密に計画して計算しなければならない。ましてやこのルールでは次のフェイズに手番順のせりが控え、その後にメインのフェイズを迎える。下手をすればお金が足りずに予定していた行動が取れないこともありえる。
ゲームによってはところてん的のせりでも随時借金可というものもあるが、それらと比較すると相手の行動を推理しやすいという特徴があり、この点でも素晴らしいインタラクションを生み出している。
いつでも借金できるSteamの基本ルールの場合は、他者との鍔迫り合いより個人的な目的の遂行に重点が置かれているとも推察され、モダンなユーロゲームの傾向に沿ったものといえる。


収益
 一度に獲得できる収益に上限はない。代わりに一定の割合でラウンドごとに収入が低下するフェイズが存在する。発行株分の経費が毎ラウンド差し引かれる(A)
 勝利点と収入トラックが個別となり、収益低下フェイズはない。一度に獲得できる収入は10$が限度となる。株発行の際は収益トラック自体を下げる。(基、標)

AoSは逆転の難しいゲームである。これまでのせり、借金もそうだが路線敷設など各々のアクション行動も経験値がものをいう。また、資金の面で優位になったプレイヤーを止めるのは困難である。ある意味マルチっぽい要素も含むゲームであるが、複雑に絡み合った盤面で特定の路線(プレイヤー)を邪魔するのも厳しい。AoSでは累進課税のような収益低下フェイズがあるが、実際これでは不十分なのは大いに実感できるところだ。といってもここの数値をいじりすぎても爽快感のないものとなってしまう。
Steamのルールではトラックを勝利点と収入に分け、かつ収入額の上限を低めに設定することで異なった戦略性を示し、株発行時の見通しも立てやすくなっている。
プレイヤー同士の力量の差が必要以上に露呈しないような現代的なメカニクスが光っている。ただこれも好みの問題で、ダイナミックな展開を望むのであればAoSのルールの方が合っているともいえる。

商品キューブ
 アクションにより商品キューブはディスプレイに配され、商品補充フェイズにてランダムに都市に配置される(A)
 商品キューブはアクションにより恣意的に都市に配置される(基、標)

比較的潤沢にゾロゾロと補充されるAoSに対し、Steamでは辛い。商品の取り合いはもちろん、どのように商品を配置するかまでが戦略に含まれたSteamに、これまた現代的な一面を見ることができる。こう考えるとSteamの基本ルールはむしろAoSにあるゆらぎの要素をタイトに引き締めた感が垣間見られるが、金銭的な締め付けは弱い。あたかも、後年の作品で、生きていくので手一杯でインタラクションが強く手札のランダム性もある(アグリコラ)と、やりたいことをやって点数を稼ぐ公開要素多いゲーム(カヴェルナやアルル)という様な差が感じられる。

その他、機関車の経費がない(基)、路線配置コストの調整がなされているなどの違いもある。

 
コンポーネント種類についてはAoSもSteamも大きな違いはなく、ディスプレイボードの相違のほかは、Steamのアクションマーカー(これはAoSでもカード化している人も多い)、都市成長マーカーくらいのものである(AoSのサイコロもあるが)。その点さえ考慮すれば、相互にルールは変更可能だ。

AoSには多くのデザイナーやファンにより育まれた多数のマップが存在しており、それぞれに追加のルールがあるほど凝っているがこれも基本的にはSteamで使用可能である。

海外のレビューなどを見ても、AoS、Steamともに支持者がおり、まあ両方とも素晴らしいわけではあるが、多くのマップとの整合性という意味ではAoSのルールが合っているのかなと思う。とりわけSteamの基本ルールでは金銭的マゾ度が低い割にマップによってシビアさが前面にでてしまうこともある。でも初めて遊ぶ人や、AoSはちょっと・・・という人にSteamのほうが受け入れられる余地も十分あるだろう。

要約すると、キツい財政と拡大生産の伸びがあるインタラクションの強いAoS、脱落しにくくやや小さくまとまったsteam基本、財政的なキツさはそこそこでシビアな戦略性のsteam標準、といったところか。

要するに好きなルール、マップで好きなように楽しめばよいのであるが、現在若干ゲーム自体の価格が高いのが気になる。1年ほど前であればAoSの通常版もSteamもかなり安く売っていたと思うのだが・・・

Steamはアプリもある(基本ルールのみであるが)ので、気になる方は是非プレイしてみてほしい。

ネットワーク・ルートビルド、ピックアンドデリバリーを楽しむのであればSteamの基本ルールで十分であるが、それを超える資金繰りの苦しさやセリといった要素を求めるのであれば迷うことなくAoSのルールを試してみてほしい。

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