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  • 1人~4人
  • 60分~150分
  • 14歳~
  • 2022年~

ウェザー・マシーンwinterkoninkskeさんのレビュー

596名
7名
0
1年以上前

二人プレイ時の感想を書きます。

ウェザーマシンは、重大な副作用が発覚した気候コントロールマシンを改善すべく科学者となり、実験や研究などの複雑なアクションを重ねて論文を発表し、地球規模の危機を救う重量級ゲームです。

筆者はヴィタル・ラセルダ氏の作品は本作のプレイが初めてであり、他の作品との比較レビューは行えませんので予めご了承ください。

本作の基本となるのは、4つのエリアで構成された各アクションスペースに、自分の科学者コマを移動させて行える幾つかのアクションです。

「政府」「実験」「研究」のスペースでは2種類のアクションが、「供給」のスペースでは数種類の資材の補充アクションが行えます。

プレイヤーは1ラウンドで自分の科学者コマを一回だけ動かし、置いたスペースで対応するアクションを実行します。これを全員が行ったら、「ウェザーマシンの起動判定」というフェーズを挟んで、次のラウンドに移ります。大まかに言うとこれを終了フラグが立つまで繰り返して、最後に勝利点の合計が最も高いプレイヤーが勝ちというルールで、根幹の構造自体はとてもシンプルな作りと言えます。

では何をすると勝利点になるの?という部分で、複雑な行程を辿らなければなりません。

まず「論文」という3種類で1セットのアイテムを入手する所から始まります。各論文は「政府」「実験」「研究」でそれぞれ一回ずつアクションする必要があり、その条件を満たすまでに多くの資源を払ってから入手します。

ようやく3種揃ったら、それを「発表」するまでに1アクション。更に発表した論文で「試作機を起動する」までに1アクション。

勝利点は論文を発表したタイミングと、試作機を起動したタイミングなどで入手します。

さて、勝利点への道筋が見えて来たところで、問題はこれらのアクションについて、馬鹿正直に対応する資源を集めても圧倒的に「資源」や「時間」が足らないことです。

なのでプレイヤーは、各アクション実行時に付随するボーナスや、手番の開始時に追加アクションをもたらすボーナスタイルや、ゲームの至る所に仕込まれた細かいボーナスを鑑みながら作戦を練っていくことになります。

これも難しい所で、例えば「政府のアクション」をひとつ実行したい時に、先に「研究のアクション」を実行して政府アクションに必要な許可証(リソース)を得なければなりません。しかもアクションにはボットやパーツ(歯車)といった資源も必要になるため、「供給」のアクションも先にしておきたい。

「あれをするためにこれが必要」というアクションが四すくみになっていて、簡単に実行できないようになっているのです。

この難しい状況で前進するために、プレイヤーは次のアクションで行き詰まらないよう常に数手先を意識する必要があります。

やはり全体的にとても重たいアクションの繰り返しで、色んな所にとっ散らかったボーナスを意識できないとすぐに必要なリソースを欠くことになります。逆に言えば、ボーナスで次のボーナスをゲットする、歯車のような回転が噛み合えば、驚くほど有効なアクションがトントン拍子に進むこともあります。

また、ラティーブ博士というNPCが、勝手に自分のボットを動かして実験を始めます。実験の予定はラティーブ博士が決めていると言っていいので、プレイヤーたちは彼の動きに合わせてボットを配置しておく必要があります。博士自身はアクションマスをぐるぐる回り、同じエリアに入るとリソースをくれたり、定期収入(給料)をもたらしたりします。逆に自分の止まりたいマスを占拠してしまうなんて事も。つまり時期によってアクションが高い効果になったり、低い出力にとどまる瞬間があったりして、このタイミングが合う時に都合をつける事にも難しさがあります。

他にもプレイヤーのひとつひとつの選択を惑わすギミックが至る所に配置されていて、脳が沸騰して湯気を出すような、悩ましい体験が止まることなく続きます。

終盤になると少しリソースに余裕が出て来る反面、残り時間が本当に少なくなっているのにも気づきます。大詰めで最大効率のアクションを打つための采配は、とても大変ですが刺激的で夢中になれます。

こういった「アクション同士の相関を上手く理解して利用していく緻密なゲーム性」と言いますか、壮大な機械を組み立てていくようなプレイ感がたまらなくスリリングで、挑戦しがいがあります。あらゆるアクションやボーナスを手繰り寄せてひとつの目的に向かっていく、「アクションのパズル」のようなゲーム性。これがラセルダ氏の得意とするボードゲームの作り方なのかなぁと思いました。

問題はやっぱり、初見では全く見通しが立たず、何が正解なのか分からない難解さにあると思われます。処理漏れも多く、完全にゲームを理解できている人が一人いないと高い確率で間違ってしまうことも憂慮されます。

そんな困難を乗り越えた先にある、パズルが解けた時の爽快感。ウェザーマシンの問題を解決すれば、ゲーム内でノーベル賞を受賞できます。

ベスト人数は三人かなと思います。けっこうインタラクションが強く、人数が増えるほどゲームの回転も加速するルールですが、処理の時間や見通しの立てやすさ、遊びやすさを考えると三人が最も盛り上がる気がします。

二人だとアクションマスが封鎖されたり、インタラクションが減ったり、NPCに追加のアクションがあったりしますが、作家が一番体験して欲しいであろうアクションとボーナスのパズルは存分に楽しめるため、本当に面白いゲームだと感じました。

コンポーネントは文句なしです。

イアン・オトゥール氏の複雑繊細なアートワークが盤面いっぱいに表現され、パケ買いして飾っとくだけで最高の気分に浸れます。

大量の木駒は一部に複色のプリントまで入っていてかわいいし、歯車パーツも渋くてたいへん見栄えがよろしいです。

言語依存もなくて、最初はその多さに面食らったアイコン群も、見るべきポイントが分かってくるとテキストを見ずアイコンだけ追っていれば理解できるレイアウトになっていて、かなり親切な作りになっていることに気が付きました。

「こんなイケてるコンポーネントで複雑難解なゲームに興じてる自分カッコいいだろ」を腹いっぱい堪能できる、素晴らしいゲームだと思います。


ラセルダのゲーム、噂通り本当に面白くって、ボドゲやってて良かった…をつくづく感じられる体験になりました。

依然として敷居が高い作家のゲームではありますが、他作品も積極的に遊んでみたくなりました。

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