公道自動車レースchacoさんのレビュー

　Dietz Foundationの『Supercharged』は、Lionel Gamesから1992年に出版された『Grand Prix Manager』を大幅に改訂したもので、1930年代における公道自動車レースと言う漠然とした括りのゲームです(コースは付属のタイルを繋げて自分で設定します)。当時の自動車業界は最高速度の更新を第一とする技術競争の時代でした。例えば、最も歴史のある公道自動車レースであるタルガ・フローリオ(1906〜77)において、アルファ・ロメオが1930年から６連覇した後、1年あけて1937年からはマセラティが４連覇と言ったように、車の性能差が勝敗に大きく影響していた時代です。『Supercharged』でもドライバーの運転技能や、出場クラスの違いなどは全くルール化されていません。ゲームに登場する自動車は速度の違いのみを表す３つのランクでのみ区別されており、Aクラスがドイツ/フランス/イタリア/イギリス、Bクラスがアメリカ/日本/シャム、Cクラスがオランダ/ベルギー/エジプトの合計10ヶ国です。最大プレイヤー数である5人でプレイして、全員がAクラスを希望したとします。この場合、Aクラス3ヶ国とBクラス2ヶ国のグループと、それ以外の５ヶ国に分けた上で、各プレイヤーは両方のグループから1ヶ国ずつを無作為に選び、それぞれ2台ずつの車を走らせることになります。勝敗は自分の担当する4台の車のレーサー達に支払われる報奨金の合計で決まるのです。例えば、Aクラスの国が１位と2位を取るよりも、Cクラスの国で1台が６位になっており、もう1台も完走していると言う方が報償機の総額は大きかったりするのです。そのため、単に着順だけを競うのとは違った駆け引きの要求されるレースゲームになっています。