- 2人~4人
- 30分~60分
- 10歳~
- 2018年~
ライズ・オブ・トライブズchacoさんのレビュー
Breaking Gamesの『Rise of Tribes』は拡張の『Beasts & Bronze』を追加すれば、20万年前に登場したホモ・サピエンスが村落を形成し、冶金を始める時代【具体的には後期更新世(126,000〜11,700年前)から中期完新世(8,236〜4,200年前)まで】を扱った抽象的な【例えばヨーロッパからアジア南西部にかけて生息し、24,000年前に絶滅したとされるホラアナグマと、10,000年前に絶滅したとされているものの南北アメリカ大陸でしか化石の見つかっていないスミロドンが登場するため、舞台となる場所を特定できない】多人数戦争ゲームですが、さまざまな工夫によって‘ユーロゲーム’に近づくことができた傑作です。最大プレイヤー数となる4人でプレイする場合、15枚のヘクスタイルを1パターンしかない指示通りの形に並べてゲーム盤を作るのですが、全ての拡張を含めると合計28枚となる地形タイルは全部で15種類(+イベントで追加配置される火山ヘクスの合計16種類)にも及ぶため、同じ地形が全く存在しないゲーム盤を設定することも可能です【プレイ中に最終氷期(70,000〜10,000年前が終了することで山ヘクスに交換される氷河ヘクスが存在するので、ゲーム終了時には少なくとも1種類は同じ地形のタイルが存在します】。各プレイヤーの部族を表す21個のミープルは、スタック制限に影響を及ぼさない‘年長者’と呼ばれる特殊な1駒以外は全く区別がありません。戦争ゲームてありがちな戦闘力や移動力と言った概念もなく、イベントでプレイヤーの1人だけが利用可能となる‘獣道’、あるいは永続使用可能な‘カヌー’による長距離移動を別にすれば、移動距離が2ヘクスになるゴールカードの‘馬’を取得しない限り、隣接ヘクスにしか移動できません。ヘクス毎のスタック制限は基本値が5駒となっており、一部の地形や‘群狼’、あるいはイベントの‘干ばつ’によってのみ。僅かに変動するにすぎません。しかも、このゲームにおけるスタック制限はプレイヤー毎に課せられるものではないので、ミープルの合計数が制限値いないでありさえすれば、複数のプレイヤーが同じヘクス内に共存できるのです。そして、プレイヤーが成長や移動のアクションを実行したり、イベントで強制的に移動させられることによって、ミープルの総数がスタック制限を超えたヘクスでのみ、即座に戦闘を解決することにおなっています。戦闘解決は実に簡単で、ヘクス内にいる全ての部族から1ユニットずつを同時に除去していき、スタック制限を満たした時点(=上限値より少なくなっている場合もある)で、自動的に戦闘は終了します。これだけではあまりにも味気ないので、戦闘の引き金となったプレイヤーを攻撃側として、ゴールカードで取得できる‘弓’や‘壁’、あるいは湖タイプのヘクス地形となる‘島’や‘タールピット’、‘群狼’の生息圏、イベントで設置できる‘祭壇’などの効果によって。微妙な差が生じるようになっています。とは言え、戦闘が発生した時点で結果は確定しているので、そこに運の要素が介在する余地は全くありません。このような戦闘システムなので、他部族のミープルを当該ヘクスから完全に駆逐しようと考えた場合、防御側が1部族のみで5個のミープルを配置していたとするなら、防御側に‘壁’がなく、攻撃側に‘弓’があったとしても、9個のミープルを当該ヘクスへ侵入させねばならないのですが、このゲームでは1ターンに同じアクションを実行できず、一度に移動できるミープルの最大数は、ゴールカードの‘荷車’を取得していたとしても8個が上限となるので、本気で守りを固めている敵部族を全滅させるには、イベントによる偶然をあてにするしかないのです。そのため、資源確保の小競り合いは頻繁に発生するものの、相手を排除しようとするような状況にまで至ることはまず無いでしょう。専用ダイスは付属していますが、戦闘で使用することはなく、イベント発生の有無や、アクション実行時に得られる資源の数や対象となるミープルの数を決定するだけのものなので、‘ユーロゲーム’の主要条件はほぼ満たしていると考えられます。プレイヤーが自分の手番に実行可能なアクションはミープルを2〜4個増やす‘成長’、ミープルを2〜6個動かす‘移動’、資源を2〜6個入手できる‘収穫’、ゴールカードを1〜3枚引ける‘指導’の4種類から異なる2つだけですが、フリーアクション的なものとして、文明【文字、冶金、通商の3種類に区別されている】の段階クリアや、発生中のイベントに対応しつつ、部族毎に異なる資源【木材、食糧、石材の3種類】が要求される村落の建設に、ゴールカードの条件達成など、自分の手番中にできることは多いのです。中でも、手番開始時に振った2個の専用ダイスを、自分が実行する2種類のアクションに割り当てるのですが、その内容が次のプレイヤーにも影響を及ぼすため、自分にとってのベストな選択と、次のプレイヤーへの嫌がらせを天秤にかけて、自分の実行すべきアクションを選択しなければならない点はかなりユニークです。
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