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  • 2人用
  • 120分前後
  • 12歳~
  • 1976年~

宇宙の戦士Bluebearさんのレビュー

508名
5名
0
4年弱前

SF小説界の巨匠、ロバート・A・ハインライン氏が1959年に書いた傑作『宇宙の戦士(Starship Troopers)』を基にした、旧アバロンヒル社製のシミュレーション・ウォーゲームです。

当時ホビージャパンから、詳細な日本語ルール付きで発売されておりました。

この作品は、奇怪な昆虫型の異星人と全面戦争になった未来世界を舞台に、軍隊組織内で成長する若者の姿を描いたものですが、どちらかというと登場する戦闘強化服《パワードスーツ》のほうが日本では有名になってしまいました。(宮武一貴氏デザイン、加藤直之氏画のパワードスーツは惚れ惚れするくらいカッコよく、あの有名なガ〇ダムのベースになったことでも有名です。)

※家にある製品は古すぎてもはや箱がボロボロです(泣)。

■地上と地下の2面で進行する立体作戦を再現

「サブマリン」のような潜水艦のゲームだと、《海面上》と《水中》の2面で展開される戦力の相関が魅力ですが、この作品は《地上》と《地下》で展開するという、ちょっと他に比較例が思いつかない、変則的な構成となっています。

人類側は、パワードスーツ小隊を中心に、軌道降下により登場したり、着陸船から展開したりして、主に地上面から進軍します。(戦術級の歩兵戦ゲームを想像してもらえば問題なし)

対してバグズ(蜘蛛状なのでアレクニドと言う)の勢力は、地下に《頭脳》に相当する親(女王)があって、そこから張り巡らされた地下通路で構成された《巣》があって、基本的にそこを移動する戦闘体が地上への《突破口》を作ることで地上にうじゃうじゃ展開してくるという構図。

人類側は基本的に普通のゲームのように、コマをボード上に配置して、移動させたり戦闘させたりします。

しかし、アレクニド側は、この《巣》を記録用紙(A4に縮小したマップ図)上に密かに記録。少しづつトンネルを広げていきます。人類側はこの位置関係を、ソナーのような《地中聴音機》や、ESPでアレクニドを感知する《特殊才能者》を利用して探りつつ、巣の中心の《頭脳》を、戦術核爆弾で吹き飛ばしたり、重神経ガスで抹殺したりするわけです。

バグズは、突然意外な方向から突破口を作り、いきなり強力な大群が湧いてくるので、人類側は強力な《パワードスーツ》を装備していても非常に脅威であり、ここに互いの腹のさぐりあいがスリルたっぷりに進むことになるわけです。

さらにアレクニド側には、あらかじめ仕掛けて置いて、移動してきたらドカン!といく地雷(HEタイプだけでなくこちらにも核地雷があるという強烈さ。)まであります。

このスリルはけっこう特筆ものです。


■多彩な兵器群が魅力

まずは何と言ってもこの主役《パワードスーツ》がカッコいい!(断言!)

ただし念のため申し添えておくと、このアバロンヒル版のボックスアートは、スリットの入った金魚鉢のようなヘルメットをかぶった潜水服のような古めかしいダサさ!(笑)。これがカッコよく思えてくるのには、ひとえに日本版イラストの美しさで脳内変換されていたせいでしょう。今の時代ならイラストをすべて差し替えての日本語版となっていたことでしょう。(発表された時代が違っていれば…)

この《装甲強化服》がカプセルに入って軌道上に展開、降下するイメージに我々はしびれてしまったのです(笑)。

肩に装着されたロケットランチャー(榴弾であるHE弾や核弾頭が発射できる)、弾数に限りがある高性能な遅発性爆薬、戦闘工兵が使う戦術核爆弾やエアカー、アレクニドの巣を探るのに必携の《聴音機》など。これらをすべて小隊に振り分け、専用の記入シートに秘密に書き込んでいきます。配備数に限りがあるので、この必殺の切り札をどう運用するかもスリリングだったりするのですね。(アレクニドからすれば最強の核弾頭は絶対に潰したいところですからね。)

対するアレクニド側も決して負けてはいません!その名も《重火器光線砲》という強力な長射程兵器があり、いかにも古き良きSF的なツボを刺激してくれます。(こいつが小隊のすぐ後ろに突然開いた穴から、大量のアレクニド兵戦闘体とともに出現する光景を思い描いてみるといいです。ゾクゾクしませんか♪)

しかしうかつに突破口を開きまくると、その位置関係から《巣》の位置を推測されてしまうというジレンマに悩まされます。

非常に楽しいです♪

■ステップアップ方式で全7章のシナリオ構成

上記のように、ちょっと変則的な戦闘形態に当たるため、シンプルな第1章から少しづつルールを追加していけるような構成に工夫されており、シミュレーションゲーム初心者にも(当時高校生だった私たちにも)無理なくルール習得ができました。

第1章では残念ながら蜘蛛野郎のアレクニドは出てきません。第3勢力の痩せっぽち異星人の《ヒューマノイド》と戦います。(地下ルールがないので非常に簡単。これによって主役の《パワードスーツ》の運用を学ぶのですね。これ自体もけっこう楽しくて、しばらくこればっかりやってたのも良い思い出です。

第2章からいよいよメインのアレクニドの登場です。

ここから小説のストーリーに沿うかたちでシナリオが本格的になっていきます。(パワードスーツによるトンネル突入やアレクニド頭脳の捕獲などもできるようになります。)、

最終的には互いにポイント制で強力な部隊を編成し、地球軍とアレクニドを複数人で担当するというスケールの大決戦シナリオまでいけます。(さすがに我々もここまではチャレンジできておりません。いつかやりたいなあ…)

シナリオタイトルを紹介するので、雰囲気だけでも読み取って下さい。

①「ヒューマノイドへの牽制攻撃」
②「オペレーション・バグハウス(虫の巣)」
③「スキニー5への侵攻」
④「反撃!」
⑤A「シーオウル(地獄)オペレーション・コークスクリュー」
⑤B「シーオウル―退却そして撤退」
⑥「オペレーション・ロイヤルティ(王族)」
⑦「クレンダツウ:決戦」

ちなみに各シナリオは、全ルール適用でプレイするための補足事項もちゃんと盛り込まれています。


このように全く形態が異なる2つの強力な軍事戦力が派手に激突するゲームは、当時の私にも斬新で、惚れ込んでプレイしておりました。

ゲームとしては今でも十分通用する傑作だと思っていますので、どこかで見かけることがあったらぜひ体験して欲しいと思います。(慣れた人がインストしてくれるのと、原作『宇宙の戦士』を読んでいることが条件なのがちょっと厳しいかな…。映画『Starship Troopers』でもいいのですが、あの映画は予算の都合上なのか肝心の《パワードスーツ》が全く出てこないんですよね。いい作品なんですが…。)

新人たちへの紹介用に、ボックスのイラストを本気で張り替えようかと思案中です。

ちなみにインストやゲーム進行を円滑にするため、記録用紙やチャート類はすべて日本語版に作り直しました。これでプレイはばっちりです♪

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