- 2人~5人
- 5分~30分
- 12歳~
- 2024年~
黙談(もくだん)俊平太郎冠者さんのレビュー
これが新時代の協力・コミュニケーションパーティゲームだ!
ザ・クルーが2020年ドイツ年間ゲーム大賞エキスパート部門を取得してから、協力ゲームがブームとなっている。ちょうどコロナ禍に突入して我々の生活が変わってきたことも影響しているのかもしれない。
そのブームに乗って多くの協力ゲームが生まれ話題になっていった。しかしいざそれらのゲームをプレイしてみると疑問に思うことも多くなった。
「これは一人でもできるし、一人のほうが楽しいのではないか」
「そもそも協力ゲームである必要があったのか」
「ブームに乗るために、無理やり協力ゲーム風にしていないか」
そんな中、この黙談に出会った。
一見すると有名パズルゲーム「ウボンゴ!」を協力ゲームにしたように見える。
「ウボンゴを協力ゲームに?無理やり協力ゲームブームに乗せようとしているだけではないか?」
第一印象はまさにそんな感じだった。さらにプレイ中にしゃべれないゲームだって、「ザ・クルー」を筆頭に「HANABI」や「ザ・マインド」などすでに有名なゲームは多く存在するではないか。
黙談は、しゃべれない、ジェスチャーもできない、咳払いなどの合図も送ることができない。プレイ中は阿吽の呼吸とアイコンタクト、ピースを渡すことと不思議カードをオープンすることだけが自分の意思を伝える方法である。
その中で、ピースを組み合わせることで各人の目の前に決められた形を作っていかなくてはならない。さらに後半は「全員同じ形をそれぞれの手元に作る」という、決められた形すらみんなで探っていかなくてはならないのである。
協力してパズルを完成させることがゴールだが、実際いざやってみるとこのゲームの本質は「コミュニケーション」であることに気づく。
意志を伝達する手段が限られた中で、ステージを追うごとにお互いコミュニケーションの手段を作り上げていく。
この過程がものすごく楽しいくて歯がゆい。何度もコミュニケーションのすれ違いを起こしながら、すり合わせていくのである。
問題総数は180問。人数別に問題をまとめたとしても56問。ザ・クルーより問題数が多いのである。しかも難易度のステップ感もうまくできている。
さらに面白いことに、メンバーが変わると・人数が変わるとそこに全く今までと違う「コミュニケーション」が発生するのである。まさに一緒にプレイする人の数だけこのゲームを楽しむことができるのである。
協力ゲームを協力ゲームに昇華するための要素の一つは、プレーヤー同士の「コミュニケーション」だと思う。古くは「カタン」の交渉だったり、各ゲームのその一手が別のプレーヤーの戦略を変えさせたり、逆にアシストしたりすることだってコミュニケーションの一つだ。「パンデミック」のように「全員で話し合いながら進める」ことで共通のゴールを目指すゲームは、わかりやすく協力ゲームと言えるし、コミュニケーションが成否を決めるといっても間違いないだろう。その一方で奉行問題なども生み出してきた。
黙談のプレイを通して、「パズルが得意な人・苦手な人」「意思表示が得意な人・苦手な人」「コミュニケーションが得意な人・苦手な人」「メタ思考が得意な人・苦手な人」といった多くの人のコミュニケーションが発生する。そのなかで「誰も取り残さない」で、それでいて重量級ゲームをやりきったような充実感を体験できる。まるで体育系の部活の3年生最後の大会が終わったような爽快感・青春感のような気持ちになった。私は3年間文化部だったので知らないけど。
そういった観点で、これは真の協力ゲームと言えるのではないか。
また後から気づいたことだが、制作者がこのゲーム制作にあたってしっかり背景を考えていることが分かった。https://scrapbox.io/silentalk/
上記を読めば読むほど
〇協力ゲームでないといけない理由
〇コミュニケーションが重要な意味
を理解することができる。
こんなに単純なルールの中に、これほどの背景や深みを持たせることができるゲームは今まであっただろうか。ページトップに記載された、「新感覚すぎる協力パーティーゲーム」に二言はないと思う。
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