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  • 2人~4人
  • 45分前後
  • 10歳~
  • 2022年~

オールドロンドンブリッジSato39さんのレビュー

397名
8名
0
約2年前

《どんどん賑やかになるロンドン橋が面白い!》

コンポーネントの仕掛けが面白いオールドユーロテイストの新作をレビューしたい。


【ロンドン橋の歴史】

<ローマ橋>

西暦80年、後にロンドンとなる地に侵入したローマ人がサザークの開拓地を北側の土地と接続するために木造の橋を建設した。これが史上初のロンドン橋である。

北の地は「ロンディニウム」という町として発展し、後にロンドンとして知られることになる。しかし、5世紀初め頃になるとローマ帝国は衰退し軍隊は撤退して、橋は荒廃していく。

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<サクソン橋とノルマン橋>

代わりに大陸から渡ってきたアングロ・サクソン人が橋を管理することになる。小王国が乱立し川が国境となると橋は攻撃対象となることもあったようだが、927年アングロ・サクソン七王国が統一され、イングランド王国となった。

この頃、イングランド王国は度重なるヴァイキングの侵略に悩まされていた。
1014年、エゼルレッド王は侵入してきたデーン人(デンマークのヴァイキング)を分断するために、ロンドン橋を破壊した。

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1017年、デンマーク王クヌートによりアングロ・サクソン王が追放され、ノルマン人によるデーン朝が成立するとロンドンはさらに発展。
橋は架け直されるが、1091年に嵐により崩落。
木造で建て直されるも、1133年に火事で焼け落ちた。


<中世初期のロンドン橋: ピーター・デ・コールチャーチ橋>

1163年、橋の管理者であるピーター・デ・コールチャーチ司祭は木造の橋を再建するも、度重なる崩落を憂慮して石造の橋に建て替えることを提案した。

1173年、ヘンリー2世が即位すると羊毛への課税と慈善団体ブリッジ・ハウス・エステーツからの寄付を使用して、ピーター・デ・コールチャーチ司祭監督の下、工事が開始された。

橋上には住宅、商店、礼拝堂のほか、より大きな船が通過できる跳ね橋や、ゲートハウスなどが壮大に計画され、橋を維持するための資金を調達するために住宅の区画も貸し出されることになった。

残念ながらピーター・デ・コールチャーチ司祭は橋の完成を見ることは出来なかったが、33年後に橋はついに完成。

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橋はすぐにロンドンの生活の中心地となった。20 のゴシック様式のアーチが急峻にカーブし、長さ 300 ヤード、幅 20 フィート(約6m)の道路が自慢であったが、数階建ての家屋や店が所狭しと並び非常に多くの人でごった返すようになり、皮肉なことに橋の通行が困難になったという。

何度か修理は行われたものの、この古い中世のロンドン橋(Old London Bridge)の構造は 600 年以上もの間、存在することとなる。

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ロンドン橋のこの後の歴史については長くなるので、興味ある方は以下の記事を参照してください。

参考:
London Bridge Museum & Educational Trust
ロンドン橋 - ウィキペディア



【テーマはもちろん中世オールド・ロンドン・ブリッジ!】

1136年ロンドン。大火によりテムズ川に架かる大きな木製の橋が破壊された。再建を任された聖職者ピーター・デ・コールチャーチは新しい橋を建設するだけでなく、橋自体に建物を建てることが出来る特別な石橋の建設を提案した。

プレイヤーは建築家となり美しい橋をめぐる競争に参加しなければならない。礼拝堂、橋門、宿屋、商店などを適切に建設し、最も裕福な建築家となるのだ。

デザイナーは、ガブリエル・ブボラ(Gabriele Bubola)と、レオ・コロヴィーニ(Leo Colovini)の共作となっている。コロヴィーニはイタリアのゲームデザイナーで、その代表作として「カール大帝」や「カルタヘナ」などがある。


【まさにオールド・ロンドン・ブリッジなタイル置き場!】

このゲームで最も特徴的なのは、ロンドン橋をイメージした非常に珍しい形のタイル置き場だろう。カードボード(厚紙)を折り曲げて組み上げた2つのロンドン橋にはそれぞれ6つの横穴が開いており、そこにメインボードから獲得した建物タイルを毎ラウンド1枚ずつ差し込んで建てていく。

プレイヤーは毎ラウンド1回だけワーカーを使用して、メインボード上の6種類ある建物タイルを1枚獲得する。このとき中央のロンデルには1〜3£(ポンド)が示されており、その金額とタイル1枚がもらえる。

他プレイヤーのワーカーが置いてあるスペースには置けないのだが、2£を支払って中央のスペースに置けば好きなタイルを1枚獲得することができる。

獲得した建物タイルは即座に自分の橋の上に建てるのだが、建物には数字が表記されており、必ず降順になる(右側に行くほど数字が小さくなる)ようにタイルを置かなければならない。


そして、徐々に数字が小さくなってしまうと建物が建てられなくなってしまうのだが、公園を建設することで数字はリセットされるため、また大きな数字の建物を建てることが出来るようになる。

またどうしても数字の大きな建物を建設したい場合には、既存の建物を壊すことでその場所に建ててもよい。ただし、この場合も数字の並びが降順になるように正しく配置する必要がある。

そして12ラウンドが経過するとゲーム終了。最終得点計算を行い、最も所持金の多いプレイヤーの勝利となる。


【手番順は入札で決まる!】

毎ラウンド初めに手札のカードから1枚(2人プレイなら2枚)を場に出し、数字の大きいプレイヤーから手番を行う。いわゆる入札方式だ。

場に並んでいる建物タイルの数字は全て見えており、他プレイヤーの橋に並んでいる建物の数字も全て公開情報となっているため、おのずと誰が何を狙ってくるのか予想はつく。

それが自分の狙いと被らないのであれば敢えて先手を取らなくても良いのだが、明らかに被っている場合はより大きな数字の手札を出して先手を取る必要が出てくる。しかし、一度使用したカードは捨て札とされてしまうため、どこで勝負に出るかが非常に悩ましい。

ここに駆け引きのインタラクション戦略性が要求されていて面白い!


【建物タイルは悩ましいパズル!】

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建物は6種類あり、それぞれ固有のアクションに対応していて、橋の上に建てたときにその種類に応じたアクションを行う。面白いのは、そのタイルに示された紋章の数だけアクションが強くなる仕組みだ。

例えば上図で右端に18の商店を建てたとき、商店のアクションとしてお金をもらうことが出来るが、緑の紋章は公園の紋章と合わせて2個になるので、2金をもらうことが出来る。最初は1金や2金程度だが、ゲーム終了時には6~8金ほど獲得できるため非常に気持ちが良い。

これが全てのアクションにおいて強化されるのだから凄い!
このため出来るだけ、
・建物は破壊せず降順になるように、
・同じ紋章で揃えながら、
・行いたいアクションの建物を建てる、

ことが必要になる。まさにパズル!

ただし、以上のことが出来るかどうかはタイルの捲り運によるところも大きいので、なかなか思うようにはいかない。このあたりは好き嫌いもあるだろう。


【最終得点タイルがリプレイ性を高める】

ボード上には12ラウンド終了後に計算する得点方式が印刷されている。印刷されているものは非常にオーソドックスなもので、建物タイルの数や礼拝堂トラックの順位、橋門トラックの順位、手札の数値の合計だ。

しかし上級ルールとして新たな得点タイルが用意されており、これを用いることで非常にバリエーションの豊かな最終得点計算を楽しめる。これが実際に使用してみたところ、初期得点タイルと違って4種類のうち1つに特化することで大量得点することもでき、非常に面白かった。ゲーム展開がかなり変わるので2回目以降ならおすすめだ。


【感想】

個人的には、とても好きな作品だ。
まさに「古き良きユーロゲーム」を目指して作られたと感じさせる素直なアートワークとコンポーネントは好感が持てる。

場の建物タイルを1枚取って並べていく、というシンプルなルールは9歳の息子でも初見で十分楽しめるもので、ファミリーゲームとしてちゃんと考えられたゲームだと思う。また友人との3人プレイもサクサクと進行して、とても楽しいものだった。非常に幅広い層で楽しめる作品だと感じる。

もちろんタイルの捲り運はあるし、建物タイルのアクションはシンプルなのでゲーマーズゲームではなく、やり込むほどの奥深さはないかもしれない。だが、ラウンド初めの手番順を決める入札システムではしっかりとインタラクションを楽しめるし、建物タイルを自分の橋へ並べる特殊な箱庭感と拡大再生産はとても気持ちいい。

ゲームの目標となる得点タイルを導入すると全く違ったゲーム展開を毎回楽しめるのでリプレイ性も高く、末永く遊べそうだ。インストからプレイ終了まで1時間程度で終わり、つい「もう1回!」と言ってしまう新しくて古き良きユーロゲーム。機会があったらぜひ試してみて欲しい。

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