- 2人~5人
- 20分前後
- 10歳~
- 2019年~
翡翠の商人山の川さんのレビュー
これめっちゃ面白くないですか?箱のサイズ、コンポーネントのシンプルさと面白さの比でいったら自分の経験した中では5指に入ると思ってます。絶版になっているようで価格が上がっているのに、購入してしまったほど好きです。3人戦を5回、4戦を2回行なった時点での感想です。
<概要>
場に8枚のカードを並べ、それをそれぞれにプレイヤーに分配する、ということを7ラウンド繰り返し、獲得したカードによって得点を得て、合計が最も高かった人の勝ちです。(場に8枚並べるので、4人だと2枚ずつが安定すぎる気がしていて、9枚×4、10枚×2の6ラウンドにしてやってます。)こう書くとピザだかケーキだかを切り分けるゲームみたいですが、分配する方法が独特で、一応下げ競りの一種になっています。
<手番でできること>
まず、スタートプレイヤーは、場のカードのうち取りたい枚数を宣言します。それ以降のプレイヤーは、パスするか、それより少ない数を宣言します。最終的に他の全員がパスすれば、最も少ない数を提示していたプレイヤーがその枚数だけ場から好きなカードを獲得できます。
そのプレイヤーはこのラウンドから抜け、残りのカードについて、残りのプレイヤーで同様の競りを行う、というのを繰り返し、徐々に競りに参加する人数と場のカードが減っていきます。最後の1人になり、残ったカードを全部受け取ったら、次のラウンドのファーストプレイヤーとなります。総じて、序盤に取る=質、終盤にとる=量、という感じになります。
2ラウンド目からは、2.5など、0.5刻みの入札が可能になります。例えば、2.5だと「場から3枚のカードを獲得し、自分が所有しているカードのうち一つを場に戻す」、という意味になります。この際、偽金という種類のカードだけは戻すことが出来ません。
<勝利点>
これが秀逸。作者の方はボードゲームの勝利点の獲得の法則について、以下の五つに大別できるとしているのですが、その全てがこのゲームには組み込まれています。
直線型:獲得物と成果が線形に対応する
閾値型:獲得物がある値を超えると急激に良くなったり悪くなったりする
曲線型:収穫逓増または収穫逓減の曲線を描く
順位型:他のプレイヤーとの相対量で成果が決まる
組合せ型:特定のものを組み合わせると成果が急激に良くなる
5種類のカードがあり、それぞれに勝利点の計算方法が違います。
・金貨:直線型。書いてある数がそのまま勝利点になります。一枚で8点とか普通に強い上、以下で説明する偽金を活かせるようになることからも強いです。
・偽金:閾値型。書いてある数がそのまま勝利点になりますが、自分の持っている偽金の価値の合計が、金貨の価値の合計を超えている場合0点になってしまいます。一度取ったら場に戻すことはできません。
・翡翠:曲線型。集めるほどパワーが増します。これを独占できたらほぼ勝てます。他のプレイヤーは妨害のために取らないといけないのですが、翡翠って3,4枚程度だと全然弱いので、集めてないプレイヤーが取るメリットがなく、意外と独走できたりします。翡翠の商人の名の通り、翡翠の分配はこのゲームの非常に重要な要素です。
・香辛料:順位型。香辛料の価値の合計で順位点がつきます。香辛料の1とかは、2.5などの宣言をした時に場に戻したいカードナンバーワンです。
・書籍:組合せ型。いわゆるセットコレクションって感じです。妨害は簡単なんですが、1、2個で持っていても自分にメリットがないので、これまた意外と見逃されたりします。
<感想>
ゲームとして面白いのもそうなんですが、芸術点が高い(イラストとかの話ではなくて)。このルールブックの簡潔さ、使うのは56枚のカードだけで、この面白さ、やばくないですか。モダンアートは競りの方法で多様性を出していましたが、翡翠の商人は競りをした結果の得点ルールで多様性を出し、しかもそのバランスをしっかり成立させています。
自分は競りゲーってセンスを問われるのがちょっと苦手だったんですけど、このゲームは競りの値がざっくりしているし、「それはないわぁ」、って思われるようなプレイも起こりにくいので、僕みたいな小心者、初心者でも安心してできるじゃないかと思います。
私はナショエコでボドゲにはまったので、同じ作者ということで贔屓目もあるかもしれないんですが、ボドゲカフェにあったら一回やってみてほしいです。多分面白いので。
- 195興味あり
- 1060経験あり
- 210お気に入り
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