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  • 2人~5人
  • 30分~45分
  • 8歳~
  • 2017年~

カルタヘナ:新版Bluebearさんのレビュー

325名
6名
0
2年以上前

2002年オランダでゲーム賞を受賞した他、ドイツを始めいくつもゲーム賞にノミネート対象とされている軽量級として評価の高いゲーム。
初心者も含めて5人まで、手軽にプレイし盛り上がれる好ゲームです。

オリジナル版は2000年の発表、完全日本語版は2017年に新版としてアークライトから発売されました。

カルタヘナはカリブ海に面したコロンビアに昔実在したスペインの城塞都市で、そこで1972年に実際に起きた海賊たちの大脱走がテーマとなっているそうです。

■組み合わせが多彩な洞窟を脱出しろ!

プレイヤーはこの要塞に捕らえられた海賊の一団となり、洞窟をたどって脱出し、自分たちの手下全員がいち早くボートに乗り込み脱出することを目指します。
要するに本質はレースゲームですね。

まとまった大きなゲームボードがあるわけではなく、洞窟を表す8枚のタイルを組み合わせてルートを作ります。

タイルには「ランプ」「フック」「ピストル」「オウム」など、いかにも海賊っぽいアイコンが描かれており、この配置が大きな意味を持ちます。つなげ方は膨大な組み合わせがあるので、同じ洞窟になることはほぼないのが嬉しいですね。

ここを、自分の海賊コマ6個が移動して脱出ボートを目指すことになるわけです。

裏面を使うと、屋外のジャングルを脱走する雰囲気にもできます。

■独特な移動方法

この海賊コマの進め方が独特で、このゲームの最大の売りとなっています。(類似のゲームがちょっと思いつきません。)

102枚あるカードには、洞窟に記されている「ランプ」「フック」などと同じアイコンが1つずつ描かれており、これを一定数手札として持ちます。

すごろくみたいにサイコロではなく、このカードを使ってコマを進めます。

特徴は以下の2点。

特徴①前進

前進したいときはこのカードを1枚選んで公開して出すことで『そこに描かれているアイコン』のマスまで、好きな海賊コマを1個進める事ができます。

このとき誰かがそのマスに止まっていたら(自分でも他プレイヤーでも)、何とそのマスはすっ飛ばしてさらに先のアイコンまで一気に進むことができます。

3アクションを使ってどの海賊を進めてもOK.
カードのアイコンに誰かが止まっていればいくらでも飛ばすことができるので、気が付くとあっという間にものすごい数進んでしまう海賊コマが出たりして気が抜けません。

特徴②後退

このゲームもう一つ重要な仕掛けがあり、何とカードプレイが主体なのに「ドローフェイズ(カードを引く手番)」が無いんですよ!

じゃあどうやってカードを補充するかと言うと、せっかく進めた自分の海賊コマを《後戻り》させるのです!

自分のコマから見て、後ろのマスに海賊コマが1個または2個しかないマスがあったら、そこまで自分のコマを戻します。1つのマスには最大3個までしか入れないので、すでに3個コマがいるマスは飛ばします。

そうやってコマを後退させたら、そのとき入ったマスにすでにいた海賊コマの数ぶんだけカードが引ける仕掛けです。同じ後退アクションでも、海賊が1個しかないマスへ後退すると1枚しかカードが引けませんが、海賊コマが2個あるマスを狙って後退すれば2枚のカードが引けるわけです。

自分の手札を補充するためには、この後退アクション以外に方法が無いので、必然的にこのアクションをどこかのタイミングで盛り込んでいく事になるであろう事は想像がつくと思います。

この上記のアクションを、ひとり合計3アクションまでやったら次の人の手番になり…を繰り返していき、先に6人の海賊コマ全員を船に乗せれば勝ち!となるわけです。(自分の海賊が全員乗ったら無情にも船は出港してしまうのですねえ~。海賊の世界は非常なのです。笑)

■簡単なようでけっこう考えるゲーム

コンポーネントには一切言語依存は無く、別に完全日本語版である必要を感じないくらいの内容で、ルールも上記の特徴を押さえておけば説明に5分くらいしかかからないシンプルな内容です。

しかしこのゲーム、手番にやることが簡単だからと言っても、簡単に勝てるゲームではありません。(こういう所がユーロゲームの優秀なところで、いつも感動するツボです。)

各自が進むコマの配置状況によって刻々と変わる盤面。
ちょっと気を抜くとあっという間にゴボウ抜きで変わる順位。

どこで手札の補充を狙うかの決断。

相当スリリングに展開するデッドヒートになります。

そのため「適当にプレイしたら、あら運よく勝っちゃった~!」とはなりません。

カード主体の構造なので、もちろん引き運の良し悪しはありますが、しっかり考えてアクションをおこなっていかないとなかなか勝てないというゲーム構造は個人的に大好きです。

ただし、そのぶん
パーティゲームのノリでワーワーギャーギャー盛り上がる内容ではありません。

また箱にはプレイ時間30~45分と書いてありますが、とてもそんな時間では終わりません。

最近また経験の浅い別グループ5人に紹介してプレイする機会がありましたが、実プレイ時間で80分程かかってしまいました。

刻々と変化する状況のため、どうしてもみんな自分の手番に考え込んでしまいます。みんな変化する盤面と手札を見て悩んでいるので、特にダウンタイムでダレる様子はありませんでした。(例によって私は説明&案内役に徹したのですが、所々実況風に盛り上げ役になることも忘れないようにしました。)

おかげで大絶賛で終われたのは良かったです。(「ドイツのゲームってすごいですね」って言わせましたよ♪このセリフが出たら紹介者として勝ちですね♪)


「う~どうしよう。うまく進めるカードがない。」

「そういう時は後退してカード引いとくしかないんじゃない?」

「でも今おいしくないのよねぇ~。でも仕方ないか。そうする。」

「よしっ!2個の場所ができた!俺はそこへ戻って2枚引くぜ」

「ほらやっぱりそう来たじゃない!!だから迷ってたのよっ!」

「あはは、それは仕方ないねえ~(笑)」

「じゃあ次は私ね。今ランプを出すと…ここまで一気に進みますよね」

「おお!ホントだその手があったか!」

「…で、さらにランプを出すと、ここまで進んでいいんですよね?」

「…うー、そうなるね(笑)」

「…で、またまたランプを出すと…ほらボート♥。これで4人目ね!」

「うわ、やられた!すげえな!ごぼう抜きじゃん!」

「うう~一気にビリグループか!やばいかな。」

「このゲーム、単独で取り残されるとかなりキツイから気を付けて…って言ったじゃん!」

「くうう、そうでした…。でも頑張ります!」

…といった感じでした。


■補足:バリエーションルールが豊富

このゲームはもともと評価が高く、いくつものバージョンが発売されているため、いくつものバリエーションルールが存在します。

今回のアークライト版は「新版」をうたってあるだけあって、それらのバリエーションルールがあらかじめ複数含まれているので、その意味でもお得なパッケージと言えるでしょう。

我々は基本のゲームが好きなので、特に新版ルールの導入はまだ試しておりませんが、2つだけ我々の個人的なおススメバリエーションを紹介しましょう。

①『無法者ルール』黒カードが出ると手札制限!

このゲームには特に保持する手札に実は上限がありません。

そのためひたすら手札を溜め込みまくり、他の海賊をあえて先に進ませ、終盤一気にすべての海賊をジャンプさせ一気にゴールする、という戦略が成立します。

極端な話、同じアイコンが全部埋まっていれば、そのカードを出すだけですべて一気に船までジャンプしまくる事ができるので、怒涛の大逆転が可能です。

これはたぶんやった側は気分爽快でしょうが。負けた側は唖然呆然でしょうね。(決して戦略として悪くは無いし、常にこのリスクを考えて行動すべきなんですが)

そこでこの無法者ルール!

誰かが背景の黒いカード(内容は同じ)をプレイしたら、手札が7枚を超えているプレイヤーは7枚に収まるように余分なカードを捨てなければならない、というルールです。

これによって、ちょっと溜め込み戦略ができなくなりました。

②山札公開ルール

これ、なぜか旧版にあったルールらしいのですが、なぜか新版には掲載されておりません。(理由は不明)

やり方は単純で、あらかじめ山札から12枚のカードを公開して並べておき、順番に手札を補充してゆくだけです。12枚すべてが無くなったらあらたにまた12枚を公開します。

もらえるカードの内容がすべてあらかじめ分かるので、各自が欲しいカードをにらみながらカードを引くタイミングをうまく狙わなければならなくなり、ちょっとだけ戦略性が増します。

どちらも我々グループで実際に好評だったので紹介しました。

このように好みに合わせてセッティングできるというのも、アナログゲームの良い点ですよね。

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