- 2人~4人
- 45分前後
- 9歳~
- 1994年~
ライナー・クニツィアのキングダムBluebearさんのレビュー
久しぶりに奥歯を噛み締めるような思考対決で、クニツィア式ジレンマをたっぷり堪能しました!
このゲームのデザイナーであるライナー・クニツィア氏は、本格的な数学理論から《考える》ゲームを次々に打ち出す事で有名な方で、私が最も尊敬する一人です。
『ラー』『モダンアート 』『ハイソサエティ 』『ケルト』などが有名ですね。(理論先行でちょっとテーマ性が薄いのが玉に傷ですが…)
今回は、ファンタジー領土内に城を建てて自分の王国を作っていく、基本はシンプルなタイル配置ゲームです。
元々はドイツで1994年に発売された『Auf Heller und Pfennig』という、市場にお店を配置してお金を稼ぐゲームでした。
これが、2002年にイラストを一新し、重厚なイメージで王国建設となったのが、この『Kingdoms』です。(ちなみに本当は「キングダムズ」が正しい)
◾️基本はタイル配置のみ
ボードには美しく、縦5×横6マスのスペースがあり、基本的には手番で引いたタイルをどこかに配置するか、自分の城をどこかに配置するか、2択です。(あらかじめ1枚だけ隠し持っていて良く、タイミングを考えてそれを使うこともできます。この100%運じゃないよ、というルール好きだなあ…笑)
タイルには、収入が増える青いものが+6〜+1まで12枚。収入が減ってしまう赤いものが+6〜+1まで6枚。他にも、置かれた縦横の列の青いプラスを全部ゼロにしてしまう凶悪なドラゴン、縦横の列のプラスもマイナスも(!)2倍にしてしまう金鉱、領地を区切ってしまう山脈などがあり、一筋縄ではいきません。(この辺の特殊タイルがかなりいいアクセントになっていて、デザイナーの腕の良さが際立っています)
ちなみに拡張の魔法使いタイルが最初から加わっており、隣接する城のレベルを1段階上げる効果があります。
ここに自分の城を建てて、城の縦横の列のプラスマイナスをそれぞれもらって累計していく仕組みです。
ただし、通常の1レベル城以外にも2〜4レベルの城があり、そのまま収入を2〜4倍にしてくれます。(赤色の損失も2〜4倍にしてしまうところが悩むところなんですね!)
マスが全部埋まると決算で、全収支を計算し、これを3時代やって総計での勝負となります。
初心者でも5分ほどで理解できるので、かなりシンプルなゲームと言えましょう。
◾️勝つのはかなり難しい
確かにルールはシンプルなのですが、これかなり頭を使います!
縦横の構成を同時に考える必要があるだけでなく、とにかく城を置かないと収入そのものが無いので、早めにいい場所を取りたいのですが、全員が同じことを考えていますし、また早く城を置き過ぎると、その列にマイナスタイルを置かれて、大きな損失を喰らいます。
さらにレベル2以上の城は、一度使うと次の時代以降戻って来ません。使いどころをよく考える必要があるのですね。
この、他のプレイヤーの動向を見てのギリギリのタイミングを計るプレイが非常に気持ちいい♪。(疲れるけど)
「よし+5来た〜!それはここだな」
「あ、私も縦にお城があるから、そこありがたいわ」
「くそ、まずいな」
「じゃあ私はここに3レベルの城を置いて…」
「やべー、それだけでも3倍だから15点じゃん!」
「う、やっぱりそう来るよね」
「じゃあねー、次私ね♪ここにドラゴンちゃんを置きまーす」
「げげっ!そんなもんを隠し持っていたのか!」
「でもそっちもここゼロになっちゃうよ。いいの?」
「いいのよ。私は2点がなくなるけど、そっちの方がだいぶ痛いはずよ」
「くっそお〜、厳しいなぁ。置くところがないぞー!」
「わはは、がんばれー(笑)」
◾️得点計算は面倒くさい
ルールがシンプルで良くできたゲームなのですが、一つ欠点を挙げるとすれば、得点計算がものすごく面倒くさい!
縦横それぞれ別に足したり引いたりしなければならないのです。(さらにお城で掛け算まで加わる)
得点(金額)チップも総数が少な目のため、頻繁に両替を繰り返さねばならず、かなり手間がかかる。
女性陣の一人は完全に放棄して、「わかんないから計算して〜♪」とエラそうに投げっぱなし。
ここはアナログの厳しいところですが、まあ我慢して下さいね。
◾️ゲームはとてもコンパクト
ゲーム時間は説明込みでも1時間程度。慣れればそれ以下で終わります。
いやー、やっぱりクニツィアゲームは面白いですよ。
ただし、面白いのは保証ですが、前述のように結構脳みそが疲れるので、あんまり繰り返しで連続プレイは難しい印象です。
ガチで1回勝負がいいと思います。時々出してプレイしたくなりますよ。
◾️補足①
このゲームは、珍しくパッケージに宣伝コピーが印刷してあります。(表っていうのは、ありそうで実はあまり例がない)
『そこはオレの領地だ!おいしい土地を確保し、隣国の土地は荒らしてしまえ!』とはっきり書いてある。
う〜ん、まさにそんなゲームですね。
補足②
このゲームは、2002年日本ボードゲーム大賞の海外初心者向けゲーム部門にノミネートされました。(ちなみに受賞は『トランスアメリカ』)
アークライトの日本語版が2012年なので、その前にはすでに高評価を受けていたという事ですね。
- 140興味あり
- 526経験あり
- 85お気に入り
- 416持ってる
Bluebearさんの投稿
- レビューNORAD3:米ソ戦略核戦争おそらく僕が知る限り最も簡単に熱い対戦が楽しめる《戦略核戦争》ゲームで...約1ヶ月前の投稿
- レビューまじかる☆ベーカリー〜わたしが店長っ!〜最近は絶滅寸前かと思うほど珍しい、直球の《殴り合い》《どつき合い》満載...3ヶ月前の投稿
- レビュー10 デイズ・イン・ザ・USA『チケットtoライド』『エルフェンランド』等が有名なアラン・ムーン氏が...3ヶ月前の投稿
- レビューたたらばと森大阪の『たなごころ』というゲームサークルがデザインした、森との共存をテ...4ヶ月前の投稿
- レビューエルグランデ中世スペインの領主となって勢力争いをするテーマの古典的名作。1995年...4ヶ月前の投稿
- レビュースターシップ・サムライ今作はなんと《サムライ》をモチーフにしたスーパーロボット兵器(笑)を駆...4ヶ月前の投稿
- レビューウィッチャー・ザ・ボードゲームポーランドのベストセラーファンタジー小説をボードゲーム化した作品。原作...5ヶ月前の投稿
- レビュー翡翠の商人『ナショナル・エコノミー』で有名なゲーム工房スパ帝国がリリースした競り...5ヶ月前の投稿
- レビューコズミック・エンカウンター簡単に言えば、もう何でもありのメチャクチャな大宇宙戦争ゲームですね。い...5ヶ月前の投稿
- レビューレッド・ライジングピアース・ブラウンのベストセラーSF『レッド・ライジング/火星の簒奪者...8ヶ月前の投稿
- レビューレベル・プリンセススペイン発のユニークな《トリックテイキング?方式》と言われるカードゲー...8ヶ月前の投稿
- レビュー銀河英雄伝説/アスターテ・アムリッツァ会戦田中芳樹氏の人気SF長編小説(アニメ版も人気)である『銀河英雄伝説』に...9ヶ月前の投稿
会員の新しい投稿
- レビューゲイツレビュー 評価:7/10ミント缶に入ったタワーディフェンス&デッキ構...27分前by ミーマ
- レビューモンスター大戦新ゲームシステム搭載ウォーゲームのシリーズ4作品目にして万人向けで集大...約8時間前by あんちっく
- レビュークーフシュタイン世界に浸れる感 ☆☆★★★楽しさ ☆☆☆☆★アートワーク ☆☆☆☆★農...約17時間前by DKnewyork
- レビューパッチワーク:10周年記念バージョンウヴェ様の2人用名作タイル配置ゲーム。別バージョン(冬の贈り物等複数)...約19時間前by じむや
- レビュー神のツルハシダイスを振って鉱石を掘り、掘った鉱石を売ってお金にし、お金でアイテムや...約19時間前by みなりん
- レビューファド:デュエット・アンド・ディスガイジス星7ボドゲ300種を所有し、軽〜中量級を中心にプレイするゲーマーの感想...約19時間前by おとん
- レビューレイズ星9ボドゲ300種を所有し、軽〜中量級を中心にプレイするゲーマーの感想...約20時間前by おとん
- レビューダンブレ【ゲーム概要】どれだけダンジョンの奥まで進める勇気あるプレイヤーかを競...約24時間前by せんと
- ルール/インストエスペライゼーションドラム中島槙之介さん はじめまして!よろしく。。。1日前by 中島槙之介
- レビュー静寂または音楽タイトル同様ちょっと癖強ぃゴーアウト【カード構成】1〜15:各4枚の合...1日前by たつきち
- レビューゲートレビュー 評価:7/10ミント缶に入ったタワーディフェンス&デッキ構...1日前by ミーマ
- レビューメメントオンラインうーん無念🧐1日前by ビバピョートル