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  • 1人~4人
  • 90分~150分
  • 14歳~
  • 2021年~

アーク・ノヴァSato39さんのレビュー

4030名
29名
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約2年前

<動物たちの楽園を創造せよ!>

昨年のエッセンシュピール:スカウトアクション1位となり話題のアーク・ノヴァを早速プレイして、気になる点はあるものの素晴らしい作品だったのでレビューします。


【128枚の動物カードはまさに動物図鑑】

2021年10月、スカウトアクション1位という報告と共に、初めて見たこの作品の印象は「え!?これが?」という感じでした。というのもクマ牧場以来、「動物園ゲーム」=「子供と一緒に遊ぶゲーム」という図式があった私には、このリアルな写真の動物カードは可愛くないんですよね。「これはないわ。」このとき私は密かに思いました。

しかしアーク・ノヴァの発売が近づき、海外でも絶賛されているという話題性に負けてポチってしまったのですが、想像していたよりも動物カードたちはとても素敵でした。それこそ動物園に行って見ているような動物達の自然な姿は、ずっと眺めていても飽きないほど魅力的なものですね。個人的には高知県の「のいち動物公園」に子供と一緒に通っていたため、ハシビロコウのカードがとても嬉しかったです。

ハシビロコウは、生息数が5000〜8000羽程度と報告されている絶滅危惧種。世界中の動物園で飼育されている数は40〜50羽ほどで、そのうちの13羽が日本の動物園で飼育されています。高知県立のいち動物公園にはこのうちの2羽が飼育されており、「動かない鳥」として異彩を放っています。(参考:るるぶKids「ハシビロコウに会える動物園は6つ!全国13羽の名前や性格は?なぜ動かない?」

128枚の動物カードは全てユニークカードとなっているため、あたかも動物図鑑の様相を呈しており、思わぬ動物が肉食動物だったり、毒を持っていたりしてゲーム中にも意外な発見があります。このためカードを引く時のワクワク感は想像以上でした。

また今回収録されている動物には多くの絶滅危惧種が含まれています。絶滅危惧種とは、絶滅のおそれが生じている野生生物のことを指し、野生生物に関する国際的な知見をたばねる国際自然保護連合IUCN: International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)では、絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」を作成しています。 

本邦でも環境省がこのリストをもとに独自のレッドリストを作成しており、一般的に絶滅危惧種と言われるものを、絶滅危惧IA類CR: Critically Endangered、非常に危険)、絶滅危惧IB類EN: Endangered、危険)、絶滅危惧II類VU:  Vulnerable、やや危険)に分類しています。(参考:WWF JAPAN 絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」について

推測ですが、タイトルの「ARK NOVA -新たなる方舟-」には、最新の科学的な動物園を建設することにより絶滅の危機に瀕している多くの動物たちを救いたい、というデザイナーの思いが込められているように思います。そう思うと、ただの動物園建設ゲームではなく、動物たちの楽園を創造する崇高な事業に思えてきますね。


【システムは既存ゲームの良いとこ取り】

日本語版の販売元テンデイズゲームズのブログ「【ゲームプレビュー】アーク・ノヴァ-新たなる方舟-」で紹介されているように、アーク・ノヴァは既存の名作ゲームの良いシステムを上手く融合することで、より高い次元のシステム構築に成功していると思います。システム的なことを書こうと思いましたが、タナカマさんが全て的確に書かれているので私はその特徴をもとに考察したいと思います。

BGGより引用


【テラフォーミングマーズ的なカードプレイ】

動物園カードは、動物カード128枚、後援者カード64枚、保全計画カード20枚の合計212枚これが1つの山札を形成しており、カードアクションにより山札からカードを引く瞬間のドキドキは、テラフォーミングマーズ異世界ギルドマスターズに代表される大量のユニークカードゲームの楽しさそのものです。また獲得した手札カードをどのようにプレイしていくのか戦略を練るのは至高の時間と言えますね。

また200枚を超える大量のカードはすべてユニークであるため、リプレイ性が高いことは想像に難くないでしょう。おそらく何度プレイしても同じ展開になることはまず考えられないため、長く楽しめるゲームになるはずです。

逆に戦略の良し悪しはカードの引き運に左右されるとも言えます。1ゲーム内で使用するカードは4人プレイでも100枚に届かなかったため、期待するタグを持ったカードが場に現れない可能性も十分にあります。このカード運を面白いと感じるかどうかで、かなりこのゲームの評価は変わるでしょう。しかし、テラフォーミングマーズを好きな方は、この点に関しては特に問題ないと思います。


【シヴィライゼーション:新たな夜明け的な動的アクション選択】

個人ボード下段には5つのカードスロットがあり、アクションを行うスロットの場所によりアクションの強さが変わります。いつも最強の5番目のスロットでアクションが出来れば良いですが、連続してアクションを行いたい時もあり、アクション選択が非常に悩ましいです。

またアクションカードには表面裏面があり、改良して裏面にすることでさらに強いアクションを行うことが出来るようになります。これはとても気持ち良く、強くなったアクションに痺れますね。またいつ、どのアクションの改良から行なっていくのかも悩ましく楽しい要素となっています。

しかし、特に終盤において十分な資金やワーカーを得ているにも関わらず、連続して強いアクションが出来ない歯痒さが気になります。このためにゲーム終盤での進行がやや緩慢で収束性が悪く、多人数プレイ時に長時間ゲームに感じてしまう印象があります。


【ブルゴーニュの城的タイル配置パズル】

個人ボード中央の動物園エリアは、さまざまな形、大きさの囲い地と呼ばれるタイルを配置していきます。マップ上には水域マスもあり、これに接しているかどうかで収容できる動物も変わります。このため囲い地の大きさや隣接条件を常に気を付けて配置するパズル要素となっており、これはタイル配置パズルの好きな方にはかなり刺さると思います。

またマップ上にはマスを覆うことで獲得できるボーナスがあります。カードの改良や職員の獲得など、魅力的なボーナスがあちこちに散らばっており、どこから建設を進めていくのか考えるのも悩ましく楽しいです。マップが10種類ほど用意されているのも嬉しいですね。

しかし、テラフォーミングマーズや蟻の国などのような全プレイヤー共通のボードではなく、個人ボード上でのタイル配置のためソロプレイ感を強く感じる結果となっています。つまり、このタイル配置パズルに夢中になればなるほど他プレイヤーとのインタラクションは弱く感じてしまう気がします。

協会ボードによる早取り要素などもありますが休憩フェイズ後には回復するため、あまり関係ないでしょう。また特定の動物が持っている毒による攻撃要素などは、はっきり言って蛇足に感じます。


【テラミスティカ的開放システム】

個人ボードにはいくつもの能力開放ボーナスが仕込まれており、主に協会アクションを行うことで開放することができます。これらによりアクションカードが改良されたり、協会職員が追加されるためシンプルにアクションが強化され非常に気持ちが良いですね。


【ガンジスの藩王的得点システム】

ゲームボードには2種類の得点トラックがあります。1つは訴求点トラックと呼ばれる左回りのトラックで、主に動物カードをプレイして新しい動物が来園したときに上がる動物園の人気点ですね。もう1つは保全点トラックと呼ばれる右回りのトラックで、動物たちを保護することを目的とした保全活動への貢献点です。

楽しい動物園を作るだけではなく、動物保護の観点でもしっかり保全活動を行う必要があるということは、テーマとの親和性もよく、うまく考えられた得点システムと感じます。しかし、この保全計画をしっかり達成していかないと、いつまでもゲームが終わらないということは意識しておいた方が良いでしょう。


【動物の野生復帰システム】

ゲーム終盤になると個人ボードの動物園は囲い地タイルで一杯になり、特に大型動物の収容が限界を迎えます。これを打破するための施策として、動物の野生復帰というシステムが用いられており、収容していた動物を野生に返すことで囲い地を空の状態にして新たな動物を迎えることが出来るようになります。

動物カードをプレイ出来ない状況を解決するための他の作品ではあまり見られない、テーマに沿った上手い方法だと思いますが、手札に運よくその動物にあった保全計画カードが来ないと実行できません。カード運に依存しているところが残念ですね。

ゲーム終了前の個人ボード。動物を収容できる囲い地は3以下の小さいものしか残っておらず、大型動物の収容は不可能となった。あとは小動物の訴求点か、保全点を上げるしか無いが、動物の野生復帰が出来ればまだ可能性はある。

【4人プレイの収束性が悪い】

おそらくこのゲームの最大の欠点はこれです。上記のようにメインシステムは非常に良く出来ていてソロモードは最高の動物園建設ゲームなのですが、4人での多人数プレイは収束性が悪く長時間ゲームに感じました。5つのアクションカードを選ぶだけなのでダウンタイムはそれほど長くはなく、実際のプレイ時間も2時間15分(初回推奨デッキ使用) だったので一般的な重ゲーの時間内に終わっているのですが、とにかく終盤が長く感じましたね。

気になってBGGでのベストプレイ人数を調べたところ、2人ベストとなっており、4人プレイは推奨されていませんでした(2022/3/11現在)。時間が長く感じた原因として考えられることは、

<保全計画を再度実行するために、協会アクションカードが再び5番目のスロットに来るまで待たなければならない>

ゲーム終盤になると訴求点が頭打ちになってくるので、どうしても保全点を上げていく必要があります。しかし、保全計画を実行するために5番スロットの協会アクションを行うと、アクションカードは1番スロットまで戻ってしまいます。X-トークンがいくつかあれば良いのですが、もう1回保全計画を実行するためには他のアクションを4回も行う必要があり、無駄に感じました。

<休憩トークンが進まない>

今回、ボードゲームに非常に慣れた方々と4人プレイをさせてもらいましたが、気になったのは休憩トークンが一向に進まないことでした。休憩フェイズになると収入を獲得できるのですが、手札枚数は3枚が上限であるため出来るだけ手札を消費してから休憩フェイズに入りたいところです。しかも自分が休憩トークンを進めると、ワーカーを戻しお金をたくさん獲得した次のプレイヤーからの手番となり、明らかに自分が不利となるため我慢してしまいがちです。

つまりひたすら我慢して、休憩トークンが進むカードアクションや後援者アクションを行わないようにするため、お金もカードも無くなり手詰まり感を感じやすく、緩慢な印象となったのかもしれません。これはボードゲームに慣れたプレイヤーほど休憩トークンを進めずに陥ってしまう罠かもしれませんね。


【ソロモードは最高!】

一方、これがソロモードになると話は変わります。ソロモードはラウンドの概念があり、1ラウンド目は7手番、2ラウンド目は6手番と徐々に減少していくため、合計7+6+5+4+3+2=27手番しかありません。この手番数で訴求点と保全点がクロスすればプレイヤーの勝利です。しかも終盤は4手番、3手番後などとすぐに休憩フェイズがやってくるため、贅沢な資金を使って非常に収束性の良いキレのあるゲームが楽しめます。

もともとインタラクションの弱いゲームであるため、ソロモードで遊んでもプレイ体験はさほど変わらず、ソロプレイ主体の方は非常に楽しめるのではないでしょうか。またBGGでは、2人プレイベストとなっているので2〜3人プレイでは他プレイヤーとの競争感を感じながら収束性の良い動物園を作る楽しみがあるのかもしれません。もっとリプレイして試してみたいですね。


【おすすめ初期デッキ】

慣れると選択するアクションは5つしかないシンプルなゲームだと理解できますが、おそらくインストを聞いた直後は要素が多すぎて全体の見通しが悪く、何をしたら良いか分かりにくいと思います。

そのため、エッセン会場で実際に使用されたという公式のおすすめ初期デッキというものが存在し、それを日本語訳したものをdubdubさんが、「アークノヴァの初回おすすめデッキ」で公開してくださっています。私も実際にオープン会で使用してみましたが、シナジーの強いカードセットと最初の数手番の指針が示されており、とても役に立ちました。初めての方はご使用をおすすめします。


<良いところ>

  • 自然な動物たちのカードに癒されながら、ハイレベルな動物園を作る箱庭パズル感が楽しい。
  • 大量のユニークカードによるワクワク感と高いリプレイ性
  • 改良することにより強化されていく動的アクション選択の気持ち良さ。

<悪いところ>

  • 大量のユニークカードシステムによりカード運の依存度が高い。
  • 4人プレイ時に感じる収束性の悪さ

<説明書&対象>

説明書:20ページ。小辞典:8ページ。カード解説用に小辞典が付属しており親切ですね。
インスト:40分。プレイ時間:2時間15分(4人プレイ、初期デッキ使用)
BGG weight: 3.74(2022/3/11現在)。標準的な重量級

おすすめの対象は、「テラフォーミングマーズの好きな方」さらに「重ゲーも可能でソロゲームの好きな方」でしょうか。逆に他プレイヤーとの強めのインタラクションが好きな方や、大量のユニークカードによるカード運の強いゲームが苦手な方は、あまり好みではないかもしれませんね。

※今回のレビューにあたりホームページ、説明書より画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

色々と書きましたが、総合的には抜群に面白い作品だと思います。上記の通り、様々な名作のシステムを高いレベルで組み合わせており、ソロモードは非常に楽しくプレイできました。それだけに残念なのは4人プレイでの収束性の悪さですね。どんどんアクションが改良されて気持ち良くなり、動物園もほぼ完成しきった後に、まだ終了フラグが立たずダラダラとプレイが続いてしまったのは本当に残念でした。

もっと「カードアクション」を積極的に行って、手札のカード枚数を増やし、休憩トークンを前に進めて休憩フェイズを増やすプレイングをしたほうが、全プレイヤーにとって気持ちよくゲームが進んだのかもしれません。今後、さらにリプレイして研究したい課題ですね。また拡張セットでこの辺りの改善が行われることも期待したいです。

BGG重量は3.74。テラフォーミングマーズの3.25と比較するとさらに重たく、細かいルールがやや多いです。そのため遊ぶハードルがやや高くなっていますが、2022年を代表する作品であることは間違いなさそうですね。おすすめです。

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