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  • 60分前後
  • 14歳~
  • 2016年~

イーオンズ・エンドBluebearさんのレビュー

736名
12名
0
1年以上前

Aeonとはラテン語源で『永遠』の意味。従ってタイトルは『永遠の終わり』となります。

またNemesisとは『宿敵』を表します。

《名も無きものネメシス》という宿敵の侵入によって人類の平和な時代が終わりを告げることを表しています。

デザイナーはアメリカ人のケヴィン・ライリー氏。ビデオゲームのプロゲーマーでもある若手デザイナーだそうです。

◾️今度は完全協力ゲーム

今までの『ドミニオン』スタイルでは、各自がどのくらい相手より効果的にデッキを回す事ができるかを競い、そのため早く条件を満たした者が勝利という、ある意味分かりやすいスタイルが一般的でした。

ところが今作は他プレイヤーと競いません

強力な敵を連携して倒すのが目的です。

これは新しい感覚でしたね。

「いかにして相手より有利なデッキにするか」ではなく、自分のデッキの組み合わせを、いかに相手と連携させるかを考えなければならないわけです。このためゲームの方向性自体が大きく異なるのです。

これは特に気心の知れたゲーム仲間とやると非常に心地よい。特に互いの方針が一致して、効果的な展開に持って行けた時になど特にそう感じましたねー。(お互いに息の合った感じです。)素晴らしいデザインです。

◾️捨て札をシャッフルしない

「ここが一番今までと違う!」と、あちこちで言われているようです。(私は上記の項が最も違うと感じた点であり、こちらは、まあそれもありかな、というレベルです。)

使った手札は、《任意の順番》で捨て山に置き、それをそのままひっくり返して山札にします。

つまり、デッキから出てくるカードの順番は、運ではなく《自分で置いた順番》なのです。

ここの運を排除する事で、手札運用の計画性が一段高まりました。

他プレイヤーとの連携を密にする必要があるわけですから、そのためにはこの要素が不可欠だったわけです。(つまり、アイデアとして《シャッフルしない》が先にあったわけではなく、《協力・連携ゲーム》である事がデザイン意図として先にあったであろう事が、分かる人には分かるわけです。)

◾️敵は強力なモンスター!

プレイヤーどうしが密に連携する事を目的としたゲームですから、それをうまくやらないと勝てない状況にするのは必然です。

そのため意図的に敵は強力な存在になります。その結果、今作のような凶悪な敵《ネメシス》が設定されたわけです。

ただし、このゲームをプレイする人が全てうまく連携できるとは限りません。あまり弱い敵にしてしまうと、連携の得意なベテランは物足りなくなり、あまり強すぎると今度はビギナーでは歯が立たなくなってしまいます。

そこで今作が取った方法は、プレイヤーの熟練度に応じて、異なる段階のモンスターを複数設定しておく、というものでした。

これも必然だったわけですね。

なかなかしっかり考えられています。

◾️デッキの組み方は基本同じスタイル

『ドミニオン』のお金に相当する通貨役が、今作では魔法のエネルギー源である《エーテル》です。(友人の一人はドミニオンのやり過ぎで、プレイ時にずっと『1金払って』『2金もらって』という言い方をしてました。まあ、いいんだけどね。気持ちは分かるよ、笑)

この《エーテル》を貯めてプレイを回していく流れは従来と基本同じ。(ここが同じだから、感覚的に分かりやすいと感じました。)

ただし、実は今作はもっと大変だったのです!

《エーテル》を貯めて、上位カードを購入するだけでなく(ここは変わらない)、各キャラクターが持つ固有の必殺技?を発動させるためのパワーチャージにも使わなければならず、さらには各自の攻撃技を投射する砲塔?に当たる《破孔》のタイルを回して準備を強化する必要があるのです。

これは難しかった!(使い道が多すぎて必要なエーテル量が絶対的に足りない)

ぼんやり適当にプレイすると絶対に効率が悪くなるので、仲間の状況をよく見て、的確に判断する事を要求されます。

うん、デッキカードゲームでこんなに頭を使ったのは始めてかもしれません。

とてもいい感じです。

◾️運の要素は別のところに

デッキのカード順に計画性を入れた事で、かなり運の要素が減り、ガチなプレイとなりそうなのを、あえて食い止めて、運の要素を適度に加えるために今作が取った方法は、何と《手番の順をランダムにする》というものでした。

これも新しかった!

ガチの仕組みだけでゲームを作ってしまうと、運による意外な展開が無くなり、展開に起伏が無くなり、平坦な結果になってしまいます。

そのため、プレイ順カードをランダムにする事で、複数の展開の可能性を模索して手を考える必要が出て来ました。

これもうまい処理だと感心します。

これによって緊張感が一気にアップし、いいアクセントになっています。

デッキはシャッフルしないのに、手番順カードだけ、繰り返しやたらとシャッフルする、という妙な感覚のゲームになりました。

◾️ちょいと設定不足

上記のように、新しい視点でよくできたゲームなのですが、不満が無いわけでもありません。

その最大のものが《設定不足》です。

なぜ、宝石からエーテルパワーが出るのか?

これをどう呪文として変換しているのか?

そもそも《破孔》とは、何?
どんなプロセス、原理で作り出すもので、どんな効果で攻撃しているのか?
そこに呪文を《セットする》とは、どういう事なのか?

つまりは、いわゆる《魔法体系》《世界設定》がよく分からないのです。

複数の《破孔》を開いてネメシスを攻撃する、というシーンの映像がうまくイメージできないのです。(カードイラストはありますが、これだけでは理屈が伝わらない)

ゲーム内の展開について、その《情景》や《絵》が浮かぶかどうかを私は非常に気にするので…(だからアブストラクトが苦手)

友人の一人は、「ドクター◯トレンジ」がやってる、ぐるぐる回すと光の穴が開く、みたいなもんか?」と言って勝手に納得してました。うん、そんな感じなのかなあ…。

各キャラクターシートの裏には、細かい生い立ちが詳細に語られていたりするのですが、それよりもこの魔法体系や、グレイブホールドにおける人々の暮らしぶり、などについてもっと情報が欲しかったと思いました。(守るべき砦のグレイブホールドも、単に数字だけで表現されており、どう損害が出たかはあいまいにイメージで補完するしかないのです。)

↑人類最後の砦グレイブホールドの情景は、なぜかこのダイヤルにしか描かれていない。

このへんが悪い意味で《ゲーム》っぽく、物語性を薄めてしまっている、と感じたのが私たちだけだったらごめんなさい。

◾️今回は古参メンバー限定で堪能

上記の理由から、このゲームについては、古くから一緒にウォーゲーム、ボードゲーム を嗜んでいる気心の知れたメンバーだけを限定で呼んでプレイしました。(もちろんノーマルモード)

やはり互いの戦略と連携が自然にハマり、一人を全力でアタッカーにする戦法で《レイジボーン》は余裕で倒すことに成功!(もう少し手こずると思っていたので少し意外)

ならばチャレンジで一気に《歪んだ仮面》にランダムサプライで挑む事に。なかなか際どい勝負でしたが、後半だんだんと勝機が見えて来て、「よし!あと一撃!」となった次に『ネメシス』ターンの2連発を喰らい、「うっそー!マジか⁈」という声が上がるほどの悔しい敗北で終わりました。

負けましたがなかなか善戦の、良い戦いでしたので、全員不満はありません♪

皆さんも、ぜひ慣れた友人どうしだからこその、息を合わせて連携して戦う楽しさを堪能して下さいね。

【追記】

本日、全くの別メンバーとプレイ。

デッキ構成も、術師も違うと、一度倒したはずの敵でも戦略が全く異なり、かなりの苦戦を強いられました。なかなか新鮮で楽しかったです。

こういうのが『リプレイ性が高い』っていう事なんだと改めて実感しました。やはりこのゲーム、優れてますね♪

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