アクワイア面白いゲーム以外は即売り。全部本音レビューさんのレビュー

このボードゲーム、コンポーネントはすごく豪華なんですよ。箱も立派ですし、建物コマもプラスチック、株券もスタイリッシュで素敵で…

ですが、このゲーム、致命的に面白くないです。古くから親しまれているゲームであることは間違いないでしょうし、心理的・戦略的な面白さも多少はあるんでしょうけれど、様々な面白いボードゲームが巷に溢れる今日、このゲームは前時代的で、具体的にいえば「テンポが最悪」です。

手番にやることといえば、①タイル（建物）を1枚置く→②タイルが複数枚繋がったらホテルが誕生（ホテル同士が繋がった場合は買収により合併）→③株券を3枚まで買う→④タイル（建物）を1枚引く　の繰り返しなのですが、③の時点で場のタイルがつながった数に応じた1株あたりの株価を計算し、100ドルやら1,000ドルやらの紙幣を銀行役に渡し、銀行役はお釣りを渡す…というような手間が毎回発生します。

具体的にウンザリする例えをするならば、以下の感じになります。「A社とB社とC社の株を1株ずつ買います」「A社は建物がa枚繋がっているから株価αドル、B社は建物がb枚繋がっているから株価βドル、C社は建物がc枚繋がっているから株価γドルだね」「はいδドル」「お釣りはδ-α-β-γでεドルだよ。はいお釣りεドルとA社とB社とC社の株券」

さらに、前述の買収（複数の建物が繋がったホテル同士がくっつくこと）など発生しようものならもう絶望的にテンポが悪い。買収された側（元々連結していた数が小さい方のホテル）のタイルの枚数で合併される側の企業の配当が決まり、新企業の株価は連結後のタイルの総数で決まります。かつ買収された株券をもつプレイヤーは、株を現在価格で手放すとか、持ったままにするとか、2株を買収をしかけた株1株に変えるとか、さまざまな選択ができるのですが…これを「買収が起こるたびにプレイヤー全員分やる」んです。

さらにさらに、ゲーム終了時には全員分の多岐に渡る種類の株券を全て精算するんです…思い出すだけでどっと疲れます。ゲーム中に家族の笑顔はあったかな…？という感じさえします。

ゲームの流れが頻繁にぶつぶつ途切れ、「算数ドリルでも解きまくってるのかな？」という気になるはずです。金融機関勤務で計算に慣れた私であってもぐったり疲れるくらい。ゲームのテーマが企業買収であるので「華やかなゲーム」を予想される方もいらっしゃるかもしれませんが、それもとんでもない間違いです。このゲームの本質を突き詰めれば、タイルの並びながらそれぞれのプレイヤーがどういう思惑でタイルを繋げていくか予想し、その繋がっていく様子を予想して先回りで株券を買っておくという、「タイル連結の順番あてゲーム」なのです。それでも、このゲームをこよなく愛する人はいますので、私が見えていない面白さがあるのだとは思いますが、「面白ければラッキー」とくらいの期待感でこのゲームに手を出せば絶対に後悔が待っています。軽く１時間半以上の時間がふっとんだあげく、ゲーム中、ゲーム後の盛り上がりもさほどないでしょう。発売当初の値段も7,000円台だったと思いますが、今では5,000円程度で新品が売られたりしていることからも、第一印象だけが先行してしまったゲームだと思います。

小学校中学年の長男は"一発で嫌気が差した"ようで、二度とやりたいということはありませんでした。さほど面白い心理戦も、派手さも盛り上がりも、このゲームにはありません。同梱されている紙幣のようにゲームの中身は大変に薄く…このゲームより面白いゲームは、山のようにあると断言できます。

末筆ではございますが、アークライトさんのボードゲーム「六華」には星10個をつけていることを念の為申し添えます。上記レビューは全て本心、かつ私自身の言葉で語られたものということで、どうかご了承いただけますと幸いです。