- 1人~5人
- 90分~120分
- 12歳~
- 2019年~
タペストリーハナさんのレビュー
賛否分かれる中重量級ゲーム!
私は好きだったのでレビューします。
タペストリーはストーンマイヤー社のボードゲーム。作者のジェイミー・ステグマイアー氏は「サイズ」や「ワイナリーの四季」のデザイナーでもあり、このタペストリーもコンポーネントやゲーム全体の雰囲気から名作のオーラが漂っています。
ただ、このゲームは上記2つと比較してかなり否定的な感想が多い印象です(このサイトに限らず)。
【なぜ否定的な感想が多いのか?】
理由は色々あると思いますが、個人的には「見た目や雰囲気の期待値と、実際のゲーム性のギャップが大きいから」というのが一番の原因かなと思います。
・人類黎明から宇宙開発まで、文明の発展という壮大なテーマ。
・ストーンマイヤー社の美しいコンポーネントと写真映えする建物フィギュア(塗装済み!)。
・ゲームデザイナーのネームバリュー。
・探検、技術、科学、軍事という、いわゆる「4X」のストラテジーゲームっぽい進歩トラック。
・2時間超のプレイ時間。
これらのことから自然と「緻密な戦略を要する重厚で壮大なストラテジーゲーム」というイメージが出来上がってしまいます。
しかし、蓋を開けてみれば、とんでも能力が飛び交うものすごい大味なゲームです。
実際に私がプレイしたゲームでも、「条件を満たせば勝利点40点貰えるぶっ飛んだ初期文明で40点の条件を満たした上に、早取りマイルストーンの10点を2つも獲得したのに、1位に70点差をつけられて最下位になった」とか、「ゲーム終了時の収入フェイズで111点取って、80点差を一気に逆転した」とかそんな感じでした。しかもこれが、「探検で土地タイルを配置すると1~6点」等のコツコツ積み上げる基礎点の上方を飛び交うせいで、余計に雑さが際立ってしまいます。
とにかく初期文明と、ラウンド毎に使える「錦旗カード」、各トラックで早取りできる「世界遺産」フィギュアが露骨に強いです。どれもこれも明らかにバランスを壊すようなとんでも効果ばかりですが、全員がバランスブレイカーなら一周回ってバランス取れるよねっ、という感じです。
正直、繊細さはまったくないゲーム性ですし、テーマ再現性もかなり雑だと私も思います(数学を知らずに恒星間を航行したり、言葉を知らずにナノテクノロジーを産み出したり。そこも面白いところなのですが)。壮大で緻密な戦略ゲームだと思って2時間級のヘビーゲームをプレイした結果、錦旗カードの大雑把なパワーで50点差つけられて負けた、みたいなことになると、嫌いになるのも頷けます。
【タペストリーの魅力】
とにかく最初からそういうゲームだと分かっていて、それが許容できるのなら本当に楽しいゲームだと思います。
初期文明は何か、探検、技術、科学、軍事のどこを重視するか、どんな錦旗カードを引けるのか、それらの組み合わせでまったくプレイ感が変わるためリプレイ性は非常に高いですし、各々の効果が派手な分、上手く使いこなせたりシナジーを発揮できたときの爽快感がめちゃくちゃ大きいです。強力な錦旗カードをプレイする瞬間が、このゲームの一番の醍醐味だと思います。
また、見た目の重さに反してルールが非常に簡単で分かりやすいのも良いですね。慣れればかなりテンポよく進められるので、そこまでプレイ感も重く感じないでしょう。
運要素がかなり強いため運ゲーという批判も分かります、が、それでもプレイングや戦略、戦術が勝敗を分けることは間違いなくあります。慣れれば慣れるほどしっかり上達できるゲームだと思います。その上で、時々初心者が経験者を負かすこともある、それを面白いと感じるか、理不尽と感じるかですね。
総じて振れ幅が大きいハチャメチャなゲームなのは間違いないですが、だからこその面白さ、中毒性があると感じました。
【まとめ】
はっきりと好き嫌いは分かれると思います。緻密な戦略ゲームや1点を競り合うゲームが好きな人はまったく合わないと思います。対して、豪華なコンポーネントでド派手な効果をぶつけ合い、がっつり2時間プレイして50点差で負けても楽しめるカジュアルなプレイヤーにはしっかりハマる可能性があります。
ガチめな雰囲気に騙されず、そういうゲームだと理解した上でプレイするのが大切だと思いました。この振れ幅、私は大好きでした。
(海外のレビューで「タペストリーの100点は他のゲームの10点くらい。タペストリーで20~30点差ならかなりの僅差」みたいに書いてありました。納得です。)
【補足】
あまりにバランスがカジュアルすぎて公式が文明の調整を頻繁にしているので、常にチェックしないといけないのはちょっとマイナスですね笑。
拡張の「陰謀と策略」も修正パッチみたいな拡張なので、個人的には必須だと思います。
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