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  • 2人~4人
  • 45分~55分
  • 8歳~
  • 2013年~

サンスーシ荏原町将棋センターさんのレビュー

391名
4名
0
3年以上前

ボードゲームの世界に没入する理由の一つは、現実逃避するためですが、それには美しいボードが必要で、特に庭園造り物は心躍ります。

このゲームの個人ボードは、サンスーシ宮殿を表していて、庭師として、宮殿の庭に美しい装飾を施さなければなりません。そして、宮殿から9人の貴族が優雅にお散歩します。気分を良くさせ、名声を得るのは誰か。

庭園に装飾するゲームは、綺麗で清々しくなりますね!タングガーデン、ダイヤモンドクラブなど、ハマりテーマの一つです。

また、サンスーシは、キースリングお得意のマトリックス配置システムで、このサンスーシの他に、ミヤビ、ヴァイキング等があります。特に、後発のミヤビは、いろんな意味で、サンスーシの立体版と言いきっていいと思います。

一方で、この中で一番インタラクションが薄いのもサンスーシで、なぜなら個人ボード内で「あみだくじ」をしているからです。この移動方法は画期的でした。


各プレイヤー、カード18枚のセットを持ってスタート。そのうち手札に2枚持ち、1枚使って、場に公開されている庭園アイテムを取ります。迷宮、銅像、東屋、植栽、階段、噴水、アーチ、螺旋花壇、農園の9種の庭園アイテムタイルがあります。中央第5列目は階段なのですが、これがよく見ると、本物のサンスーシ宮殿と同じ位置。周りのアイテムも実際にある物で、没入感はパワーアップ。

18枚のカードは、そのうち9枚が、各アイテムの絵が書いてあり、このカードを使うと、場に公開されている10枚の中から、同じアイテムのタイルを取ります。この時、取ったアイテムと同じ縦列で、かつ、取った場所の色(横列)のクロスする地点、(つまり一箇所しかない)、に置かないといけません。

公開の場10箇所は、2箇所ずつ5色に色分けされており、これは、個人ボードの横列(宮殿から近い方から、白、黒、オレンジ、紫、青)と対応しています。

↑ 共通ボード。庭園アイテムの山が無くなった最終18ラウンド。赤プレイヤーの最後の1枚は、噴水。しかし、噴水アイテムタイルは場の10枚の中に一枚も無い。この場合、好きなアイテムが取れる。このように「切り札」となるように工夫しながらコントロールしていくのが楽しい。今、紫の階段を取った。配置は自由では無い。階段の縦列と紫の横列に当たる場所に置く。


残りの9枚のカードのうち8枚は、2色の色指定。「白又は黒」、「紫又は青」など。残り1枚はオールマイティ(切り札)です。

例えば、「紫または青」というカードを使えば、紫2枚青2枚公開中なので、選択肢は4枚になります。この色指定カードが2枚とも手札ならば、手番中に取れるタイルの選択は、(色が被っていなければ)8択ということになります。

庭園タイルの補充も、手札の補充も、それぞれ、山から捲って補充していくので、「捲り運」です。タングガーデンのレビューでも書きましたが、捲り運ゲームは面白くありません。ただ、サンスーシのように公開の選択肢が異常に多ければ、運の要素は薄まれ、自分で選ぶという「戦略」です。

手札の補充は、捲り運ということになりますが、さすがにこれも選択だとしたら…選ぶのに疲れます。範囲が狭まってくれることで、アイテム選択のジレンマを楽しめるわけで……


ここからが、サンスーシの真髄です。

こうして長考し演繹的に選んだアイテムを配置した後、貴族を一人だけ動かします。配置したタイルとは全く関係なく、9人のうち一人の貴族を、今居る場所から、下にある同じアイテムの縦列に移動させます。そして、その色のVPを得ます。動ける範囲は、タイルさえ繋がっていれば自由で、一旦横に行っても上に上がっても構いません。最後の到着地点が、今いる場所より下で、同じ縦列にいればよいのです。

↑ 個人ボード。今、左から3列目の「東屋の紫」を取ることができた。これによって、東屋の一番上(宮殿)から一歩も動いていなかった貴族を動かせるようになった。(正確に言うと、灰色の1VPにはいつでも動かせた)。この貴族は、左端の「迷宮」タイルの道を通って、紫まで下り、銅像を通って横に移動し、無事、東屋のオレンジまで移動できた。4VPを得る。


なぜ、紫の東屋でストップして5VPを取らなかったのでしょうか?

これは、戦略で、次以降の手番に5VPを取れるように用意していたのです。

つまり、合計で9VP取れることになります。もちろん、一手番損をしますが、二手番で9VP(一手番4.5)は大きいのです。

サンスーシに関しては、将棋で言う棋風のような感覚がプレイヤーによって分かれると思われます。

例えば、私だったら、

灰色1VPと白2VPが両方空いている場合…白2VPまで行く

白2VPと黒3VPが両方空いている場合…黒3VPまで行く

黒3VPとオレンジ4VPが両方空いている場合…黒3VPに行く

ことにしています。(原則として)

写真の場合、迷宮、銅像、階段、噴水は、一番下のタイルまで降り切っています。つまり次手番、都合の良いタイルが配置できなければ、アーチの白2VPか、(見切れていますが)螺旋花壇の灰1VPにしか移動できません。だったら、東屋をわざとオレンジの4VPにしておいたほうが得です。特に終盤は、うまく配置できず、どの貴族も下に降り切ってしまい、0VPということがよく起こります。これを未然に防止している意味もあるのです。

なので、この0VP防止に注力しようとするプレイヤーであれば、先程の棋風では、例えば白と黒が空いていれば、白2VPに行くでしょう。

全体の流れ、アイテムタイルの捲り具合にも影響されますので、このあたりの戦略やセオリーは作れないと思います。

↑ 最終盤。「噴水の青」を取ることができて、今オレンジ噴水にいる貴族を(ぐるっと回って)青まで移動させることができる。6VP!なお、右にある2枚のカードは手札ではなく、スタート時各プレイヤーに2枚ずつ配られている目的カード。ゲーム終了時このアイテムの最終位置のVPがさらに追加される。つまり今噴水が6まで行ったので、さらに6VPだ。


■配置時の戦略の一つとして、「すでに置かれているタイルの場所のタイルを取ると、その場所の縦又は横列の好きなところに、庭師として置ける」というルールがある。庭師タイルには、貴族が止まることはできないが、好位置に置け、通過に使えるので、あみだくじの作成に非常に便利だ。

■前述した、カード獲得時の切り札を作る、配置時の庭師を作る。この2つの技が完成するようにカードマネジメントしたい。

■一応、インタラクションもあり、相手プレイヤーにいろんな種類のアイテムを公開場に残さないようにする。同じアイテムばかり残されると選択肢が減り、困るはずだ。

■初手は、4VP以上は不可能なので、黒のアイテムを取り、何かしらの3VPへのあみだくじを構築しておきたい。

■最後の写真のように、横一列タイルを敷き詰めると、終了時ボーナスが入る。縦列も同じで、全て敷き詰めるとボーナスが入る。


途中のVPの入り方や終了時のVPは、後発のアズールに引き継がれました。

アズールも綺麗で好きですが、没入感で優るサンスーシやミヤビのほうを稼働してしまいがちです……

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ぽんた
OS
つっちー
yururirarii
荏原町将棋センター
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