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  • 2人~4人
  • 120分~180分
  • 14歳~
  • 2016年~

ルーンバウンド(第三版)Bluebearさんのレビュー

619名
8名
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2年以上前

ファンタジー世界での王道ストーリーを、ボードゲーム の手法で濃密に再現する『ルーンバウンド』シリーズが新しくなった第3版。

日本なら『ドラゴンクエスト』に代表されるような、延べ数十時間に及ぶ壮大なRPGを、わずか半日でやり切ってしまおうという試みです。

前作の第2版はアークライトから日本語版も作られて、一部でかなりの人気を博しました。(かく言う私もハマりまくった一人であります。)

デザイナーの一人は、『ブラス』『蒸気の時代』でも有名な、マーティン・ワレス氏で、そのためかかなりかなり重いゲームでありました。

これがさすがに重すぎたのか、現代風のアレンジを加えて改訂したものがこの第3版となります。

今回はデザイナーにワレス氏が関与しておらず、代わりに『アンドロイド:ネットランナー』で、リチャード・ガーフィールドと共同でデザインに当たったルーカス・リッツシンガー氏がメインデザインを行なっております。

そのため、よく似ていますがだいぶルールの異なる別ゲームになっているので気をつけましょう。(大ヒット映画のシリーズ第3作で監督が変わった…みたいな感じですね。)

ちなみに現在のBGG(世界最大のアナログゲームサイトBord Game Geekのこと)ランクは、この第3版の方がかなり上ですね。(個人的には第2版好きなんですけど…)

◾️世界観は共通

舞台は架空のファンタジー世界テリノス。プレイヤーはそこでの冒険者の1人となって、命をかけて世界の危機を救う英雄となる物語です。(ちなみに実は『ディセント』シリーズや『ルーンエイジ』とも背景世界は共通です。)

今回は大きなシナリオが2本含まれており『マーガスの再来』と『死者の王』です。

それぞれ使用する専用アドベンチャーカードが別に用意されています。(一般アドベンチャーカードに混ぜて使用します。)

マーガスとは第2版のラスボス、伝説の赤竜の事ですね。

後の時代設定なので、復活する赤竜を阻止するという、いかにも続編という設定ですね。

このシナリオは、一度やったらネタバレで2度できないわけではなく、使用するカードも全てではないので、同じシナリオを何度でも楽しむ事が可能です。

ちなみに原作追加のシナリオセットがあと2つ発売されており、どちらもアークライトから日本語版としてリリースされています。

◾️多彩なアドベンチャーの連続

セットされているキャラクターは多様な6人。(日本製ではないのでイラストはかなり洋風で濃いです。美少女キャラクターとかはいませんので悪しからず。笑)

マップ上に散らばっているアドベンチャートークンを順番に解決する事でキャラクターを強化していきます。

前作ではイベントの《内容》に区別はなく、代わりに《難易度》のランクに区別がありました。

これに対し今作は《難易度》の差は特になく、内容が《交流》《探索》《戦闘》の3つに色分けされました。

これにより自分の得意分野を選んで対応することができるようになりました。(戦闘が苦手なキャラクターが、たまたま戦闘イベントばかりを引いて詰んでしまう…というような事態が少なくなりました。たまに違うのが混ざってるけど、笑)

RPGでよくある遭遇戦闘や、探索イベントなどがそれぞれカード1枚ずつにまとめてあるイメージですね。内容を読んで、自分の対応を選んだり、指定の場所に移動したり、遭遇した敵と戦ったりするわけです。

これをクリアしてゆくことで、レベルアップとお金を得ていきます。

お金が貯まれば性能の良い武器やアイテムを購入して強化されてゆく流れですね。

ただし、キャラクターのレベルアップは、経験値を貯めて《レベル》を上げる、というRPGスタンダードな方法(D&Dなど)ではなく、特定の《特殊スキル》を得てゆく事で能力が上がるという比較的最近のRPG系のルール(日本だとFEAR系?)に変更になりました。

バリエーションが多彩になったぶん、慣れないとちょっと複雑です。(いちいちスキルカードを読み比べる必要があるので)

◾️特殊な戦闘ルール

各キャラクターは、丸い厚紙の専用トークンを3枚ずつ持ち、これをバラバラと投げ、表に出た面の効果を解決してゆく…というかなり変則的な手法を導入しています。(概念的には2面のダイスという事ですね。)

ここに【物理攻撃】【魔法攻撃】【防御】【波動(エネルギーを発動し特殊な固有の効果を得る)】などがあり、それぞれが特定のトークンを消費して戦います。(もうちょっと複雑ですが長くなるので割愛)

あまり馴染みのない方法なので、確率計算などがちょっとやりにくい印象ですね。

特殊な武器を手に入れたりすると、別に用意されている専用のトークンも手に入れて、一緒に振ることができるようになります。これによってキャラクターの戦闘力が強化される仕掛けです。

◾️あまりに壮大で個人的には大好き。

やはり冒険を積み重ねて自分のキャラクターが強くなってゆくというのはやっていて楽しい♪

お金を稼いで都市へ行き、あれこれと新しいアイテムを買い物するのも楽しい♪

復活するドラゴンと対決し、世界を救う英雄譚も、やっていてすごく楽しい♪

やっぱりファンタジーはこうでなくちゃ、という個人的感想。

ただし断っておきますが難易度は高いです。(ヘタなウォーゲームよりよっぽど難しい)

同じファンタジーでも、決して日本の《ライトノベル》ではなく、有名どころで言うと《指輪物語》《ウィッチャー》《氷と炎の歌》《時の車輪》など全数巻に及ぶ大河小説のイメージが近いでしょう。

我々チームでも概ね好評でしたが、とにかく時間がかかるので気をつけて下さい。(第2版はそれこそ7時間近くかかっていましたが、改訂されたとは言え、4人で5時間以上かかりました。)

◾️ちょっと残念なところをまとめてみます。

①仲間がいない

旅の途中で仲間と出会い、一緒に戦う感じが好きだったのに、この要素は無くなってしまいました。

アイテムの一環として入手できる『仲間』カード自体が存在しません。

そのためどこまで行っても冒険は一人きりです。やっぱりこの手のファンタジーは《パーティ》を組みたいじゃないですか。

じゃあ他プレイヤーと協力してパーティ行動を取ろうと思っても、そんなルールはないんですよ。(そもそも協力ゲームじゃない)

これがやっぱりちょっと寂しい。

やっぱり6面ダイスの方が燃える

メンコのようなトークンのキャストはやっぱり燃えない。

所詮確率的にバリエーションがないんですよねー。2面ですから。

これも極端にサイコロ運の良し悪しで展開が崩れるのを防ぐ目的でしょうね。

出目の振り幅が小さいので意外な結果になりにくく、「どうやっても負けない」という事態も起こります。

また、何か新しいアイテムを得ると使えるトークンが増えたりするのですが、そのアイテムに対応する専用のトークンを探して取り出すのにけっこう手間がかかるのも難点です。

③戦闘で手加減できる

敵と出会うと、その敵の戦闘判定は右側に座るプレイヤーがやります。

出せるトークンの面は運ですが、使用する目の順番をコントロールできるので、簡単に手加減ができます。(明らかに《波動》で特殊アクションを繰り出した方が次ラウンドに有利なのに、あえて使わずに《普通の物理攻撃》で殴る…とかですね。)

わざとヘボな攻撃をすることが可能なので、ここもちょっと微妙なところ。

微妙という言い方をしたのは、今回のように不慣れな初心者がいたような場合、良かった部分もあったからです。(露骨に判定を覆したわけではないので、手加減を気づかれにくいです。)

④ソロプレイ感が強く、他プレイヤーと絡みがない。

各自がそれぞれ別々にボード上を旅します。そのため同じゲームボード上で同じゲームを別々にやってるような感じがずっと付きまとうのです。

「ああっ!先を越された!」「しまった阻止された!」「ちくしょう、やりやがったな!」という感覚がほとんどないのです。(都市で売ってるアイテムに欲しいものがあって、先に買われた!。くらいでしょうか?)

だからゲームに慣れてくると、他の人がめくったアドベンチャーカードの中身に関心が薄くなるんですよね。

なので後半になると、クエストやイベントが出ても自分だけ読んで、ふーんってなって勝手に処理しておしまい。何が起きてるのかよく分からないまま。こうなると展開がだいぶ味気なく感じるのは私だけでしょうか?

確かにゆっくり読み上げて説明して…ってやってるとすごい時間がかかるんですが、その物語感も醍醐味だと思っているので悩みます。(我々のグループでは、なるべくしっかり音読して、状況を説明しよう、と促しています。)

⑤死の恐怖がない

第2版はライフがゼロになったら死亡、装備や金を失いボロボロになって復活しました。(経験は失わないけど)

これはこれで、死んだら逆転負けするのはかなり難しいという問題を生じます。逆にそれが分かってるメンツとやると、死ぬことの恐怖感があるので、戦闘にかなり緊張感が生じるのです。

また前作は都市での回復にかなりの治療費がかかったので、傷を負うこともかなりのリスクだったのですが、今作はそもそも死なない。ダイスでライフが1以上に回復すれば普通に行動できる。また都市に入って回復を宣言すれば即座に無料で全回復できる。

だいぶヌルい調整になっているのですね。(たぶん今のプレイヤーさんは、自分のキャラが死ぬのを嫌がるのでしょう。ましてや治療費がかさんだり、周回遅れで勝ち目が無くなるのも嫌なんでしょうか。)

でも個人的にはそれがストーリーゲームの《物語》であり、醍醐味だと思っています。

この変更は好みがハッキリ分かれそうです。

⑥片付けがめんどくさい

シナリオごとな混ぜた専用イベントカードや、異なるグループに区分されたアイテムカードなどを、終わったら全部元通りに仕分けし直さなくてはなりません。(実は拡張を入れるともっともっと面倒くさい!)

これかなり手間です。さすがに私は翌日ゆっくりやりました。


こんな感じで、少しマイナス点も書きましたが、楽しいのは間違いないので、好きな人だけを招集して覚悟を持って望みましょう。

ぜひファンタジー世界に没入して冒険の旅を楽しんで下さい♪

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