Q.E.白州さんのレビュー

7/10

2023年ドイツ年間ゲーム大賞の推薦リストに入ったということで、レビューしてみる。

一時期、入札制限がないことで、とても話題になったオークションゲームで、出た当時、マイナーメーカーからの登場だったため、品薄だったが、待望の日本語版が登場しても話題になった。

パッケージもなかなかスタイリッシュでカッコいい。

このゲームは、オークションゲームの常識を変えたゲームともいえる作品で、なんといっても特徴的なのが、「使えるお金に制限がない」ことだろう。

普通、オークションゲームは、使えるお金の額が決まっているのだが、このゲームは無限に使える。

1億とか、１兆とか、本当にいくらでも使えてしまう（笑）

オークションゲームは個人的に好きなのだが、オークションゲームはプレイヤーにバランスが委ねられるシステムでもあるため、不用意な値付けをしてしまうと、そのプレイヤーが勝てないだけでなく、ゲーム全体のバランスが崩れる可能性もある。

しかし、このゲームは、それをいくらでも使ってもOKというルールで、破綻させないようにしているのがすごく、それ以上にゲームの完成度が高いのも素晴らしい。

プレイヤーは国家という設定なので、いくら金を使っても良いという世界観も崩れておらず、一番使いすぎた国家は破綻（負け）というゲーム設定もしっくりきていて面白い。

オークションのやり方も特殊で、1人がオークショナーとして希望購入金額を公開、それを見て他のプレイヤーが入札をして一番高い人だけが落札する。

面白いのが、オークショナー以外の金額は落札されようがされまいが公開されないところ。いくらかが明確にわからないので、「この金額ぶっこんでも買えないの！？」と焦ったりするのはユニークな光景で面白い。

お金を一番使いすぎると負けとはいえ、買わないとそもそも勝者にはなれない。

これはクニツィアの名作「ハイソサエティ」からヒントを得たのは間違いないのだが、あちらは使える額が決まっていてある程度はカウンティングできるものの、こちらは全くカウンティングできないので、全然ゲーム感が違う。どちらかといえば、キレキレ感というよりかは、ざわざわ感が高い作品になっている。

システム的に気になるところはないのだが、強いて言えば、若干値段は高い気がする。豪華なコンポーネントでカッコいいが、さすがに5000円超えは高いと感じる人もいるのでは（このゲームのメーカーがマイナーだからしょうがないのかも）。

もし、値段が3000円以下であれば、新時代をつくるゲームになっていたかもしれないと思うが、ゲームのシステム上、しっかりとしたタイルでつくる必要もあったと思うので、致し方ないかな。これはこれでテンションあがるからいいし。

オークションゲーム好きな自分としてはかなり好みで、オークションゲームの歴史に残るゲームとしては間違いない作品の１つだと思う名作。

オークションゲーム好きはぜひともプレイしておきたい作品だ。