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  • 2人用
  • 15分~20分
  • 12歳~
  • 2018年~

パンツァー・ヴァッフェBluebearさんのレビュー

201名
1名
0
3年以上前

a-game(国際通信社)とレキシモンゲームズが打ち出した戦車戦をテーマにしたカードゲームシリーズです。

テーマは、第2次世界大戦における1944年当時の東部戦線での、ドイツ軍対ソ連軍の戦車部隊の激突を再現したもので、2人用の対戦ゲームとなっています。

コンポーネントは非常に小さく、縦10cm×横7cm程度の小箱にカードのみが60枚入っており、寸法的にはかなり窮屈な感じです。(取り出すのがちょっと大変)

パッケージはオレンジ色を背景に戦車のシルエットがデザインされており、古参のオジサンゲーマーが見ると、どこからどう見ても『PanzerBlitz』(アバロンヒル社が1970年代に出した戦術級ウォーゲームの歴史的傑作)にしか見えず、テーマも同じ《東部戦線》ということもあり意図的に狙っている感がありありですね、笑。(個人的に言うと、このパッケージだけ見て中身をよく確認せずに購入してしまいました。よく見ると違うんですけどね。)

さっそく古くからのウォーゲーム相手の1人、陸戦&東部戦線ファンを呼び出して対戦しました。

■自軍のデッキを組んでからやっと対戦が始まる

このゲームで特筆すべきは《デッキ構築》方式なのですが、最近はやりのデッキ構築そのものをゲーム進行に組み入れたスタイルではなく、あくまでも《自軍のデッキ編成》をゲームに先立って組み立ててから勝負に入るというスタイルです。そのためお互いに、あーでもない、こーでもない、いや待てよ、こっちに変えよう、とやっていると結構時間がかかり、いざインストしてから最初は優に10~20分くらいはゲームが始まりません。

含まれているカードは総枚数60枚ですが、30枚ずつ《ドイツ軍》と《ソ連軍》に分かれており、それぞれのカードを全て手に取ったら、中身を見比べて編成を考えていきます。(それぞれの軍の特徴の違いで、もともと含まれているカード構成が全く違っているのが面白いところ。)

カードにはそれぞれ《編成ポイント》が決まっていて、当然強い戦車はポイントが高く、弱めの戦車はポイントが安くなっています。そのため、強力な戦車で少数精鋭の部隊を作ることもできるし、安めの戦車を大量に編成して物量で攻めることもできます。(戦車好きにはもしかしたらプレイ本体よりもこっちのほうが楽しいかも?)

これによって自分の思い描くスタイルの戦車部隊を自由に指揮できるので、個人的には評価の高いシステムです。(弱いのわかっていても、どうしても入れてみたい戦車とか…あるじゃないですか、笑)

ただし、あまり戦車や東部戦線に詳しくないビギナーとかにやらせると《どうしていいのかさっぱり分からない》という状況に陥りがちなので気を付けましょう。(代表的な編成のサンプル例とかがあっても良かったかなと思います。)

■判定はカードの比較のみ

戦車戦闘ゲームの常として、砲の火力(貫通力)と、防御力(装甲厚)の比較が判定のメインとなるわけですが、たいていのゲームの場合、ここにサイコロ等の不確定要素を組み込むのでしょうが、このゲームはあくまでもシンプルに徹し、このパッケージだけでゲームが成立することを前提にデザインされているので、単純にカードの数値の比較のみです。

サイコロや筆記用具などは一切必要ありませんが、個人的にはちょっとだけ物足りないかな…(できれば命中判定で、よしっ!命中!とかやりたかった…)

戦場(カードを出せる場)は、左翼、中央、右翼と3つあり、必然的に戦力を分散させることになるので、部隊展開について腹の読み合いが緊迫感を呼びます。(もちろん読み切れないので、最後は勘ですね)

攻撃側と目標のカードを表にし、《攻撃力》が《防御力》と同じか上回れば相手は撃破となります。当然強力な戦車は強いです。ただし、同伴戦車がいると連携攻撃をしてその数だけ攻撃力にプラスをすることができます。また様々な戦術カードによって効果が上昇したりするので、強力な重戦車だからといって安心ばかりできないような設計になっています。

さすがに虎の子の切り札が撃破されたときの絶望感はハンパないですよね(ウォーゲームではいつものことだけど。もちろん逆の場合の高揚感もたまらないですよね。笑)

■戦術や地形もすべてカード編成で進行

カードには《戦車》以外にも、《戦術カード》や《地形カード》などが含まれており、これも互いの編成ポイントでデッキに組み入れていきます。

このため戦車の編成だけでなく、指揮官の戦術方針も好みで選択することができます。

ただしそのぶん、お互いの編成したカードしか出てこないわけですから、突発的な《アクシデント》は起こりえません。シンプルに互いの戦術のタイミングの読み合いになるわけですね。(このへんのゲーム感覚がいかにもカードゲームっぽいとも言える。)

面白いのは各軍ごとにコスト0で導入できる《イベントカード》という強力なものがそれぞれ数枚ずつあり、使えば永続的に場を有利にできるのですが、何と!場には1枚しか残らない!つまりせっかく出したイベントで意気揚々としていると、あっさり相手のイベントカードで上書きされてしまい、効果消滅!なんてことにもなりかねません。なのでどのタイミングでどのイベントを発動させるかも、腹の読み合いが生じるという、一風変わったルールもあります。

ドイツ軍なら『マンシュタインのバックハンドブロウ』(次から2回アクションができるようになる!)とか、ソ連軍なら『バグラチオン作戦』(ソ連軍のみ地形の修正を受けなくなる)など、有名どころが揃っており、これでいかにも東部戦線の雰囲気を出しています。(しかし私が狙ったイベントは案の定相棒にことごとく破られるのは…なぜだぁっ!泣)

■先にデッキが尽きたら負け!

勝負は、単体での戦車戦に勝ったかどうかではなく(もちろんそれが戦況を大きく左右するのはもちろんですが)、互いの手元にある山札(デッキ)が《司令部》を表していて、戦場で勝った戦車部隊は相手陣地に《突破》することができます。

突破した部隊は相手《司令部》に攻撃をすることができて、そのダメージはデッキから損害分のカードを《中身を見ないで》除去することで表します。

これによってカードが尽きて、自分の手番にひくカードが無くなったら《敗北》なのです。(パスはできないルールです。)

そうなんですよ、もうお気づきですね!強力な戦力で少数部隊を編成するとデッキの総枚数が少なくなるので、司令部が損害に対してもろくなる仕組みなのですね。

良くできています。

■ポケットに入る小型サイズだけど…

あまりのコンパクトさに、持ち運びは非常に楽ちん。

ですが、前述のように事前編成に時間がかかったり、2人対戦オンリーのガチ勝負だったりするので、いつものボードゲーム会でちょっと出してみる…というわけにはいかないので、出番は限られそうです。(ウチの女子チームは絶対関心ないでしょうし)

老練の相棒の評価もまあまあ良かったのはいいのですが(ちょっと軽すぎた?)、これやると意外に時間がかかり、肝心のウォーゲームの時間が押してしまうのが難点でしょうか。(今回はインストで10分、編成で10~15分、実ゲームで15~20分といった感じでした。)


ゲーム自体は完成度も高く好評らしく、お決まりの《西部戦線》版の続編が出ているので、さっそく買いに行きました。次はこっちをやってみよう♪(異なる軍のカードを混ぜ混ぜにした混成軍も作れますが…ギャグになりそうであんまりやりたくはないですねぇ)

周りにミリタリーや戦車に興味のある友人がいたら試してみて下さい。ウォーゲームのとっかかりにはいいかもしれません♪

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