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  • 2人~4人
  • 60分~120分
  • 13歳~
  • 2012年~

蟻の国Sato39さんのレビュー

511名
6名
0
3年以上前

《食糧不足と陣地の取り合いが苦しくも楽しい蟻の世界》

発売年が2012年と古いゲームですが、蟻がテーマのボードゲームは他になく蟻好きの息子のために購入しました。英語版で苦労しましたが何とか遊べるようになり、面白かったのでレビューします。

【リアルで美しい蟻の世界】

蟻がテーマのボードゲームも珍しいと思いますが、それも非常にクオリティの高いアートワークで表現されていて圧倒されます。蟻のフィギュアは細部に至るまでリアルで、虫の苦手な妻には「うぇ〜、蜘蛛みたい…」と嫌がられましたが、蟻好きの息子は非常に喜んでいましたw


【システムはタイル配置+エリアマジョリティ+ワーカープレイスメントで分かりやすい】

メインボードはヘクスで区切られた美しい外の世界が表現されており、フェロモンタイルを置くことによるタイル配置パズルとエリアマジョリティとなっています。個人ボードは蟻の巣で各部屋に育児蟻駒を置くワーカープレイスメントになっており、言語依存はなく説明書さえ読解できれば他言語版でも問題ないです。

【ゲーム概要】

1年は4つの季節(春・夏・秋・冬)に分かれ、1季節は6フェイズで構成されます。3年でゲーム終了となり、その時に最も勝利点の高いプレイヤーの勝利です。

春・夏・秋は以下の6つのフェイズを実行します。

  • 1:イベントフェイズ- 季節ダイスによるボーナスの決定。幼虫により調整可。
  • 2:育児蟻フェイズ- 蟻の巣の各部屋へ育児蟻を配置し、アクションを計画します。
  • 3:働き蟻フェイズ- 働き蟻をコロニーへ送ったり、外の世界を探索します。
  • 4:収穫フェイズ- フェロモンタイルに乗っている資源を収穫します。
  • 5:工房フェイズ- コロニー深度を上げたり、育児蟻を増やしたりします。
  • 6:季節の終了

は特殊で、各年に決められた食料を支払わなければなりません。この支払いが出来ないと勝利点を減点されてしまいますが、かなり厳しい支払いとなっています。


【蟻の巣はワーカープレイスメント】

個人ボードには緻密な蟻の巣が描かれており、各部屋にはいくつかの八角形のマスがあります。ここに育児蟻駒(正八角柱の駒)を置くことでアクションを行います。懐胎室(かいたいしつ)では幼虫が生まれ、兵隊蟻部屋では兵隊蟻が、働き蟻部屋では働き蟻が生まれます。しかし働き蟻は外の世界に出ていくと帰ってこれないため、常に増やして数を維持していく必要があります。

また工房ではトンネルを増設したり、育児蟻を増やしたり、コロニー深度を上げることで蟻の巣をレベルアップすることが出来ますが、土や石といった資源が必要でいつもカツカツで苦しいです。

【外の世界はフェロモンタイル配置+エリアマジョリティ】

働き蟻フェイズでは、働き蟻で外の世界を探検することが出来ます。最初は3マスしか移動できずに巣の出口から離れた場所には移動できませんが、フェロモンタイルを配置していくことで繋がったタイルは1マスとして数えるため、かなり遠くまで移動できるようになります。

さらにフェロモンタイルを配置することで食料、土、石といった貴重な資源を生み出すことが出来ます。このため常にタイル配置を行なっていきたいのですが、マップが狭くすぐに他プレイヤーのタイルと衝突してしまいます。後半になれば5マスや6マスといった大きなタイルを配置することができ勝利点も高いのですが、スペースがないため他プレイヤーのタイルを除去する必要があり、後半はエリアマジョリティというかヘクスの取り合いが熱くなります。
【目的の達成】

育児蟻が工房にいくと、新たなトンネルの掘削、コロニー深度の発展、新たな育児蟻の誕生、目的の達成など4つのアクションを行うことができ、これらにより蟻の巣を発展させていきます。

どれも大事なアクションですが、とりわけ目的の達成は大量の勝利点を獲得できるため重要です。厳しい条件とワーカーである育児蟻1匹が必要なため終盤になるまで獲得は難しいのですが、他プレイヤーよりも早く達成するとボーナスがもらえるため、苦しいながらも早く達成する必要があります。


<良いところ>

  • 珍しい蟻テーマのゲームが堪能できる。
  • ワカプレ+タイル配置が基本だが、ヘクスの取り合いなどインタラクションも十分でルールも分かりやすい。
  • インタラクションは適度で、資源のカツカツ具合が楽しいw

<悪いところ>

  • 手番は3季節×3年=9回しかなく一手番が重いため、失敗すると挽回が難しい。
  • 冬の食料支払いが厳しく、計画的に資源を貯めていかないと運用が難しい。
  • 人数による盤面の使用不可部位が分かりにくい。

<対象、説明書>

説明書12ページ。インスト:30分、プレイ時間:1時間30分(3人)
BGG Weight: 3.45。重めの中量級。
対象はやはり、蟻好きな人でしょうw。蟻の巣を作る唯一無二のテーマにより、これに惹かれた方はぜひ遊んでみて欲しいですね。逆にリアルな蟻フィギュアが苦手な方はやめておいた方が良いかも。


【感想】

息子が蟻好きのため、ぜひとも一緒にプレイしたいと考えました。しかし2012年発表された古いゲームで日本語版は出版されておらず、以前にホビージャパンさんから和訳付き英語版が販売されただけのようです。このため中古市場ではプレミア化しており、仕方なく英語版を入手しました。

幸い言語依存はなかったので説明書の日本語訳さえ入手できればプレイ出来ると考えネットで探しましたが、どこにも和訳はなく非常に苦労しました。幸運なことに親切な方に助けていただき、サマリーを作成して今回プレイが可能となりました。この場を借りて感謝を申し上げたいと思います。

肝心のゲーム内容は、申し分なく蟻の世界にどっぷりと浸かり、女王蟻の気分でとても面白かったです。ワカプレによる蟻の巣を成長させるソロ感と、タイル配置によるヘクスの奪い合いというインタラクションが適度であり、先取り要素が強く、常に他プレイヤーよりも一手早くアクションしていくことが必要な感じですね。

ただ手番は9手番しかなく一手がかなり重いです。このため悪手があると挽回が難しく、ある程度点差がついてしまうと逆転は難しいかもしれません。この辺りは古いゲームなので仕方ないかもしれませんね。

気になる点はいくつかありましたがリプレイすることにより上記欠点は克服できると考えられますし、システムはよく作り込まれていて同時処理も多いのでダウンタイムも少なく、アートワークは非常に美しく蟻の世界を堪能できるこの作品は、唯一無二な存在として大事にされるべき素晴らしい作品だと思いました。

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