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  • 3人~10人
  • 20分前後
  • 8歳~
  • 2018年~

空手トマトあすか正太@ぽんこつ団さんのレビュー

274名
4名
0
6年弱前

カラテマスターのトマト師匠に師事しながら、勝負を勝ち抜き、トロフィーを12個集めたら勝利を宣言できる(でも負けることもある)というゲーム。


シンプルなトリックテイキング(複数色あるカードから、同じ色のカードを出していき、高い点数を出した者勝ち)なので、同種のゲームの経験者であれば「ああ、アレね」みたいなノリで覚えられます。アレね、というのはボカしているわけではなく、「あんな感じ」「あれかぁ」それぞれの頭にあるのはまったく別のトリックテイキングゲーム。なのにそれでも話が通じちゃうぐらいのありふれ感。


ありふれ、というと「じゃあ遊ばなくてもいいか」みたいな判断に向かいがちなのですが、いやいや、これが面白いのです。


手札勝負に勝つと、勝利ポイントが記されたカードが手に入ります。それがトロフィーです。

あとトマトとナイフも集められます。


ん、ナイフ……?


そうなのです。このゲームにはトロフィーの他に、なぜかナイフ集めというサブ勝利条件があり、この鋭利な刃物も集めておかないと「トロフィーの数がたとえ一番でも、ナイフの所有数が一番少なければ、問答無用で最下位になってしまう」という、わざと日本(トマト師匠、日の丸だし)を勘違いしているとしか思えないような謎ルールがあるのです。なので、全員の持ちナイフの数を常に記憶しておかなければならないメモリー要素もあります(そんなカラテゲーム、聞いたことないよ……)。


でも、そこが面白い。


手札などのクローズド情報は、会話のブレーキになることがあります。


「今の自分の手札、実は5枚とも緑だから、対抗しようとしても無駄だよ」とか「ねえ、手札から、あのカード出してくれないかなぁ」なんてな言葉を、軽く相手に言えちゃう人もいれば、言えない人もいます。

相手を混乱させることを、嫌がらせのように考えてしまったり、

自分の手札につながる情報を漏らしたくないと思ったり。


その点、このゲームは勝敗と関係ないところに話のネタがあるので、会話が盛り上がりやすいのです。


なぜカラテなのか。

なぜ野菜なのか。

なぜナイフなのか。


空手の大会に出てトロフィーを得るのは分かります。普通です。

ついでにトマト(手札を多く手に入れられる効果がついてきます、お得)をもらえることがあるのは、ちょっとイミフですが、まあ、よしとしましょう。

けれど、ナイフ(なんの効果もありません)がついてくるのはなぜなのか?


ナイフがついてくるだけならまだしも、それが勝利条件の一つになっているのは本当になぜなのか!?


さっぱりわからないし、謎というには下らなすぎます。

だからこそ勝負の外側で「空手家たるもの、ナイフの使い方もマスターレベルじゃないとね」「武器もったら、空手じゃないじゃん!」などと、話が弾むのです。


メカニズムとしては、勝利点(トロフィーの数)を集めるだけのゲームだと単純すぎるので、敗北点(?)としてナイフを設定したのだろうと考えられます。

けれど、そこにナイフというモチーフをあてたのが面白い。

そもそもトマトと空手という組み合わせからして、頭のネジが何本か抜けている感があるのだけれど。


勝負そのものはシンプルなトリックテイキングなので、すぐに覚えられるし、脳への負担がありません。

ゲームよりもおしゃべりのほうがメインになってしまっても、ラクラクと遊べてしまうぐらいの低馬力仕様。


スタンダードなものを作るときは、突拍子もないものを混ぜて、受け手の既視感を消すというアプローチがあります。

人は新作にオリジナリティを求めがちな生き物ですが、アナログゲームには、ルールは既存のなにかであればあるほど、実はとっつきやすくてよいという側面があります。覚えやすくて、説明もしやすい。

「空手トマト」は、ルールはありふれているのに、世界観が面白いので、新しいゲームを遊んでいるかのような感覚で慣れ親しんだシステムのゲームに飛び込めるのです。

1stプレイの時にかかる学習コストと楽しさの報酬のコスパがとてもいい。


ありがちなルールに、ユニークな世界観をかぶせることで、新鮮なゲームに変えてしまう魔法。


だからこその、このおかしなテーマなのか。

パッケージのB級感も本当に素晴らしいです。傑作。

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TamTakSpiele
ナシオス7403
sygnas
Nobuaki Katou
皇帝
あすか正太@ぽんこつ団
あすか正太@ぽんこつ団
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