「人を褒める」というのは、案外難しいものです。照れくさかったり、語彙が足りなかったりして、ついつい「すごいね」の一言で済ませてしまうことも多いのではないでしょうか。 今回ご紹介する『ほめじょーず』は、そんな「褒めたいけれど言葉が出てこない」という壁を、ゲームの力で楽しく、かつ鮮やかに取り払ってくれる作品です。
構成とルール
ルールはいたってシンプル。誰でもすぐに「褒め上手」への第一歩を踏み出せます。
役割: 褒められる人(親)と、その左隣の「褒める人」に分かれます。
お題の決定: 褒める人はサイコロを振り、出た目の数だけ「ほめ単語カード」を引きます。
褒める: 手元のカードに書かれた「誠実」「足」「さすが」といった単語を組み合わせて、親を具体的に褒めちぎります。
お礼: 褒められた人は「お礼カード」で、素直な感謝や照れを返します。 これを一周繰り返すだけで、場には驚くほど温かくてポジティブな空気が充満します。
魅力の深掘り
このゲームの真髄は、カードという「制約」が表現力を引き出してくれる点にあります。 例えば「誠実」と「足」という、一見結びつかないワードを渡されたとき、脳はフル回転します。「足がスラっとして誠実そう」という直感から、「足しげく通って誠実に向き合ってくれる」という比喩表現まで、制限があるからこそ普段使わない語彙の引き出しが開くのです。 単なる「褒め合い」に留まらず、言葉を紡ぐプレゼン能力や、相手の美点を見つけ出す「観察眼」が自然と養われていくのが本作の大きな魅力です。
悩みどころ
あえて課題を挙げるなら、日本人の多くが抱える「褒められ慣れていない」という心理的ハードルです。 初対面の場や、緊張感のある関係性でいきなり始めると、褒める側も褒められる側も「むず痒さ」に耐えられなくなる可能性があります。また、ワードの引きによっては、褒めているつもりが「こじつけ」が過ぎて、意図せず失礼な表現(あるいは爆笑を誘う大喜利)になってしまうリスクも孕んでいます。 このゲームを最高の体験にするには、まずは「お礼カード」をしっかり活用して「褒め言葉を正しく受け取る」という土壌を全員で共有することが、最も重要なテクニックと言えるでしょう。
結び
『ほめじょーず』は、単に勝敗を競うゲームではありません。遊び終わった後、参加者全員の自己肯定感が少しだけ高まり、お互いの距離がぐっと縮まっていることに気づくはずです。
「言葉」という最高のプレゼントを贈り合うこのゲームは、ご家庭や友人同士はもちろん、チームビルディングが必要な職場など、あらゆるコミュニティの潤滑油になってくれます。照れくささを笑いに変えて、心からの「ありがとう」を交わす。そんな温かな時間を、ぜひ皆さんの手で作り上げてみてください。