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  • 2人~4人
  • 60分~120分
  • 12歳~
  • 2015年~
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4名
0
約4年前

ルチアーニ氏の手がけるBGG上位ゲームの一角。


調べてみて驚きましたが、ツォルキン、マルコポーロ、ロレンツォ、バラージ、そしてこのオーストリアホテルとBGGのウェイトは3点台にずらり並んでいます。

オーストリアホテルは約3.2とこの5作品の中では低いほうでロレンツォ、マルコポーロと同程度のところに位置します。しかもこれらは3つともダイスドラフト。オーストリアホテルもロレンツォと同じく全プレイヤー共通のダイスリソースを使用するため、不公平感が少ないです。少なくとも、「あそこで○○がでたから勝った/負けた」というのは起こりにくいでしょう。

ダイス運としてはロレンツォ<オーストリア<マルコの順で影響が強くなると感じます。後でも述べますが、この微妙なダイスの揺らぎも、この作品の要点だと思います。

また、BGGウェイトがほぼ同点のこの3つの中では、オーストリアが実際のプレイ感としてはもっとも軽く感じます。

他の有名ゲームで同じくらいなのは、テラフォーミングマーズ、プエルトリコ、コンコルディア、オルレアン、村の人生、エルグランデ・・・などなど。この辺りと比べたって、軽い感じがします。あくまでルール的には、ってことですが。


概要としてはオーストリアのホテルの支配人として、たくさんの客を引き込んで繁盛させよう、というものですが、やらなければならないことは、大まかにいうと、

①レストランに来た客(カード)に示された食べ物等(リソース)を用意して、

②3種類の客層(3色に色分けされている)に合った部屋(やはり3種類ある)も準備

③リソース(食事)を与えて満足した客を部屋に引き込む(勝利点とボーナスが得られる)

と、基本的にこれです。

なぜか皇帝トラックというのがあって、暇をみて皇帝に忖度しておかないと3、5、7ラウンドの終了時にペナルティを食らいます。トラックを上げておけばボーナスが付きます。


実質的に5つしかないアクションはダイスピックで選択するため、行いたいアクションにダイスが残っていない!ということはしばしばあります。もちろん相手の動向を読んでそれとなく邪魔することも可能。4種ある食べ物、また、特にお金は結構かつかつで、きちんと計画立てないと計画がどんづまってきます。

そもそもこのホテル、金を客に払って訪れてもらい、さらにもてなした上に宿泊させてなお代金を頂かない(その代わり客は特技を披露したり、勝利点を残しますが)というトンデモ経営ですから。客はみんなVIP扱いというわけでしょうか。

さて、各種の能力をもつスタッフカードは、初期手札としても持っていますが、ゲーム中は裏向きの山札からひくのでランダム性が強いです。このスタッフカードなんかは、アグリコラの職業カードと似たような位置づけなのですが、効果は割とシンプルです。他のワカプレにおけるカードとは少し違い、ゲームの持つ基本要素やアクションそのものを補完するようなのが多く、汎用性は高い分プレイするカードの選択に悩まされることが多い気がします。


その他、特定の条件を満たすとボーナスが入る方針カードや、客を泊める部屋の位置に関するエリア管理などもあって、まあまあ盛りだくさんなのですが、あくまで客の腹を満たして部屋に泊める、という主軸がきっちりしているため、思ったほどの複雑さは感じないというのが個人的な印象です。

マニュアルなんてセットアップ、カードの説明などを除けば実質ゆるゆるで5-6ページ程度。セットアップにしてもこのクラスのゲームにしては相当楽ですし、プレイスペースもそれほどとりません。

ですが内容は顧客の選択からリソース管理、スタッフのカードマネージ、用意する部屋の選択に皇帝の扱いなど、考え所はたっぷり用意されています。基本的に特定の戦略に頼るというより、顧客カード、方針タイル、皇帝カード、手札のスタッフなど、その場、そのゲームの状況に応じて適切に行動を選ぶことになる作品です。その意味ではかなり丸いイメージ・プレイ感を与えられると感じます。

先ほど述べたダイスとカード関連の揺らぎの要素に丸いプレイ感、この組み合わせの妙がこのグランドオーストリアホテルを形成しているといえると思います。


冒頭で述べた作品群より明らかに直観的に理解しやすいルール、そして見通しの良さを持ちながら、思考性も決して劣らない、傑作といえるでしょう。


欠点としては、スタッフカード回りのランダム性・強度のばらつき、4人プレイでのダウンタイムとわちゃわちゃ感、基本的に非言語依存だがアイコンだけでは理解しずらいカードがあるところなどでしょうか。

また、ツォルキンやマルコポーロのように初期の盤面である程度ゲームの道筋を決めたり、特化したりということが好きな方には少し違和感を感じるかもしれません。

マニュアルもシンプルなのですが、時々、ん??という疑問が生じるところもあります。このあたりはBGGのフォーラムでもかなり議論されているため、参考にするとよいでしょう。

バリアントもいろいろ考察されていますが、その点でも融通のききやすいゲームといえるのではないかと思います。

このゲームは不思議と輸入に頼らざるを得ない状態が続いています。非常に惜しいと思いますが、2020年10月現在では米アマゾンでは9000円程度で購入できます。


評価7/10  重さ6/10

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