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  • 2人~4人
  • 45分前後
  • 14歳~
  • 2017年~

デッドラインBluebearさんのレビュー

728名
4名
0
4年以上前

1938年のニューヨークを舞台にした、全12シナリオからなる渋いハードボイルド推理ゲーム。

古き良きアメリカのハードボイルド探偵の物語がテーマなので、このムードが好きなオッサンゲーマーにはぐっと来る設定。

情に流されない主人公と、乾いた文体を《ハードボイルド(固茹で玉子》に例えたことで有名な小説群。ニヒルで孤独な探偵の生きざまを描いた作家として有名どころと言えば、レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメット、ロス・マクドナルド、ミッキー・スピレーンなど、蒼々たる顔ぶれが懐かしいですね。

イラストも、陰影が深く荒いタッチの渋いものに統一し、当時の白黒写真も多用してムードを盛り上げます。

さすがにこのテーマの協力タイプの《推理ゲーム》とくれば、買わないわけにはいきませんでした。

■ゲーム本体は2部構成で、第1部は絵合わせカードゲーム。

前半はカードゲームとしてプレイする《情報収集》パート。

最初から場に出ている《手がかりカード》数枚のうち、親(探偵長ってところかな笑)がどこを調査するか宣言します。(『殺害現場の酒場』とか『地元の新聞社』とかですね。)

手札となる《調査カード》を順番に場に出し、その絵柄を組み合わせて、重要な情報が書かれている《手がかりカード》に指定されている絵柄をすべてそろえる必要があります。

手札が尽きる前にこれに成功すれば、事件の情報が書かれているその《手がかりカード》の裏面を見ることができ、事件について断片的な情報が手に入る、という仕掛けです。(これに3回失敗すると、重要な手がかりが失われてしまいます。)

どこかの手がかりを調査できると、また新たな調査場所の手がかりカード(『容疑者と思われる女性の自宅』や『事件を捜査している地元警察署』など)が場に出てきます。

こうして少しずつ調査が進んで、事件の断片がわかってくる仕掛けですね。

お互いの手札を見せ合うことはできないので、誰がどんなカードを出せるのか、わやわや相談しながら場札を組み合わせていきます。

ここについては、まああんまり悩むような高度な仕掛けはないかなあ。推理要素は全然なく、ごく普通のカードゲームっぽいのがやや拍子抜けですね。(悪くはないんですが、やや冗長かな)

手札は限られているし、とにかくうまく絵柄が合うように組み合わせを考えて出していくしかありませんので、機械的な作業にしてしまうとあんまり盛り上がらないかもしれません。

そこで我々は特に意識して雰囲気重視でプレイしました!!(結局はどんなゲームも要はやりようですよね♪)

『拳銃マーク出せるよ』『タバコマークある?』とかいう会話をすると味気ないので、できるだけ役になり切って『俺が繁華街を回るぜ。《腕っぷし》と《張り込み》は任せな』『じゃあアタシは《情報屋》をあたるわ』といった感じです。

意識してインスト時に話し合い、勝手にできるだけ探偵っぽく(それっぽく勝手に決めました。笑)

《拳銃マーク》→《腕っぷし》または《暴力沙汰》

《グラスマーク》→《聞き込み》

《帽子マーク》→《尾行》

《タバコマーク》→《張り込み》

《札束マーク》→《賄賂》または《情報屋》

という感じです。

こうすると結構ノリノリで楽しく進みました。

■第2部はお待ちかね《推理タイム》!

全部で12あるシナリオごとに、専用の《手がかりカード》のセットが用意されており、カードプレイを繰り返していくと次第に事件の情報が断片的に判明してくる仕掛けです。(あらかじめ断っておきますが、カードプレイが全部終わってから推理タイム、というように厳密に2部に分かれているわけではありません。念のため。)

このストーリーがけっこうよくできていて(まだシナリオ1しかプレイしていませんが)、途中でみんなで顔を寄せ合って手がかりを読み比べ、あーでもないこーでもないと推理を繰り広げます。(ネタバレは避けますが、全部の手がかりが手に入れば、真相はそんなに難しいものではないです。)この推理タイムがたまらなく楽しい。だんだん情報が集まってきて、「ああ、そういう事なんだ~」と霧が晴れる瞬間がたまらない。(この感覚は謎解きゲームならではですよね)

真相がわかったと思ったら、別冊の【質問帳】を広げると、いくつか重要な質問が書かれていて、それにすべて答えていきます。その後【解答編】を開いて、ドキドキの答え合わせです。簡単なシナリオ1なので、我々は1発正解でした♪

今回は4人でインスト含めて90分はかかってないくらいですね。(慣れればもう少しスムーズに進むと思います。)

■味のある探偵たち

ゲームの最初には、個性的な8人の探偵が用意されており、各自が好きな探偵になり切ってプレイします。古きアメリカのタフガイだけではなく、カッコいい女性キャラも半分混じっているので、2人の女性プレイヤーも楽しそうでした。(若手にはネタが通じないと心配しましたが、本人たちはイメージ優先で問題ない感じでした。ちょっと安心)他にもそれぞれに《特殊能力》があるので、イメージだけでなくここも大事です。

思わずニヤリとしてしまうのは、どこかで聞いた名前が混じっていることですね。『ダッシュ・ハメット』とか『レイ・チャンドラー』とか(笑)。他のキャラクターも、どこかの登場人物をもじったものかもしれないのですが、あいにくハードボイルドを読みまくったのははるか昔…。今のところ他に思いつく人物はおりません。(知っていたら誰か教えて下さい!)

こんな感じのゲームなので、テーマ的にも好みが分かれるところなので、あんまり乗れない人に無理強いはやめときましょう。でも馴染みのメンツで《わかって》やるなら、結構楽しかったですよ。


◎追記1

もし前半の情報収集パートがもたつくようなら、提案です。(我々も、2ラウンド目から、もう少しサクサクいこうよ。ということで相談して勝手に変更しました。ごめんなさい)

各自が持つ調査カードは配り運に左右され、これが限られているために、展開にあまりバリエーションを生じません。そろわないときは全然そろいませんでした。結局ラウンドを改めてやり直す羽目になるのですが、あんまりそろわなすぎるとさすがに少し面倒になってきます。(手札を出せなくなると、アクシデントのカードをくらったり、一時的に脱落したりするのです。これは痛い…)

かと言って、そろっていないのに手がかりをオープンしちゃうのも、お情けやインチキっぽくてやりたくなかったのです。

そこで!最初の手札を規定より1枚ずつ多く配りました!(本来は4人プレイなら3枚ずつなのですが、これはさすがにつらかった!)

これによって手札の選択肢が増え、出せそうなカードが増えるため、少しは展開が早くなったかな、という印象です。(気になる人はぜひお試しを!)


◎追記2

このゲームにも(泣)エラッタがあります。ルールブックの手札枚数の項目に、「3人プレイなら4枚、4人プレイなら3枚、5人プレイなら2枚」と書いてあるじゃありませんか!こりゃ実は5人プレイもできるのか!と喜んでしまいましたよ。(最近多い4人までゲームは、出番がないのであまり買わなくなりました。泣)

しかし残念ながらエラッタで、「2人プレイの時は5枚」の間違いでした。変だと思いましたよ。

まあ、無理やり5人でもできなくはないですが…まあ止めときましょう。

追記3

やっぱりこの少しづつ真相を明らかにしてゆくシステム好きです。

ぜひぜひ『クトゥルフ版』の追加シナリオを出してくれないかな(°▽°)

ぴったりだと思うんだけどなあ…

◆《ちょっと付け足し》

どうも巷でこのゲームの評判があまりよろしく無いようで、投げ売り価格で売られているのを見ていると、なんか寂しい思いです。(ToT)

その論拠の殆どが《探偵もの》なのに《推理要素》があまりなく、ひたすら手札のカードプレイによって手がかりを得ていきます。そこが推理っぽく無いといく事でしょう。

しかし、この時代のハードボイルドをよく分かっている人は気付くのですが、ハメットやチャンドラーに代表される古き良きハードボイルドの主人公たる探偵たちは《頭脳でキレのある推理を披露する頭脳派》なのではなく、《足》と《腕っぷし》《行動力》《プライド》で事件に当たっていきます。肉体派探偵ですね。

つまり、わざと(推測ではありますが)カードアクションで手がかりを追うような形式にデザインしたものと思われます。(純粋に事件の推理だけを行うのであれば、それはもはやハードボイルドではありませんからね。デザイナーはそれを良く理解しているようです。)

そういう意味では、個人的にはとても正しいデザイン方向だと私は感じました。ちょっと弁護してみました。皆さんはどうお感じでしょうね?

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