- 1人~5人
- 60分~80分
- 12歳~
- 2018年~
西フランク王国の建築家winterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
西フランク王国の建築家は、スタンダードでちょっと賑やかな遊びやすいワーカープレイスメントゲームです。
プレイヤーは手番になると、20個あるワーカーの1個を幾つかのアクションスペースのひとつに置いてアクションを実行します。
アクションスペースに置かれたワーカーはそのままで、違う手番で同じ場所に置くと既に置かれたワーカーと合計され、その数が多いほど一回のアクションが強化される仕組みになっています。
粘土、石材、木材、金、銀貨の各リソースがワーカーが増えるごとにどんどん貰えるスペースや、後述するワーカー捕獲/回収の効率を上げるスペース、建物カードや追加アクションをもたらす弟子カードを得るスペース、建物カードをプレイするスペースなどがあり、どこにワーカーを集中させて置くかに悩みどころがあります。
勝利点の基盤となるアクションは建物カードのプレイで、プレイヤーは必要な資材コストのためにワーカーを置きまくり、できるだけ早くカードをプレイして勝利点にする競争が起こります。そして建物カードの追加点となる条件を同時に満たしていくのです。
本作の特徴は、これらのワーカーを「捕獲」するアクションが存在することです。
別のプレイヤーのワーカーを、そのスペースに溜まった全員分捕獲して、更に刑務所に送るアクションが存在します。
刑務所に送ったプレイヤーはその人数分の銀貨を得るだけでなく、相手にとってはせっかく溜まったワーカーがリセットされたり、刑務所から釈放するためのアクションが必要になります。
このインタラクションにスリルがあり、各プレイヤーは捕獲されるギリギリまで、強まったアクションを実行して有利になるよう立ち回るのです。
他に善行と悪行を表す美徳メーターがあります。安くリソースが貰える悪行アクションを重ねるとメーターが下がり、更に様々なアクションコストも安くなる反面、ゲーム終了時に失点となるため善行とのバランスをとる必要性もあります。
このように他プレイヤーの次の行動に注視しながら、一定数の建物カードがプレイされた時にゲームは終了に向かいます。建物カードからの勝利点や、美徳メーターからの得失点などを勘定して勝敗が決まります。
基本的には、ワーカーを置いて1アクション、という手番を繰り返しながら進行していく非常にスタンダードなワーカープレイスメントと言えます。
しかしながら、前述したワーカーの蓄積と逮捕のタイミング、美徳メーターの管理、後半になるにつれ数が減るワーカーのマネジメントなど、ゲーム展開が大小様々に変化していく構成は他にないゲーム感となっており、遊びやすく個性的な作品に仕上がっています。
「あと一個ワーカーを置けば欲しい資材が手に入るけど、他のアクションも先にやりたい…!」とかやってるうちに大量に逮捕されてしまったり、何を優先するかの駆け引きがとても悩ましく、初心者から上級者まで楽しめることと思います。ただし運の要素が少ないリソースマネジメントとなるので、実力差は多少出てしまう点には注意が必要です。
普通のワカプレでは、置いたら回収するまでそこにあるだけ、というワーカーの扱いの中に、「相手の置いたワーカーに嫌がらせしてやろう」というインタラクションを仕込み、嫌がらせのタイミングを面白くするために蓄積ルールを用いて悩ませる…こんな感じのコンセプトが上手くハマっている印象です。
キャラクターによって少し固有能力に違いを出すバリアントも存在し、多少プレイ感に違いを出すような工夫はありますが、攻め手が多いわけではないのでリプレイ性はそこまで高くないように感じました。
どちらかと言うと「わちゃわちゃ感のあるパーティー要素を紛れ込ませた渋いワカプレ」みたいなゲームで、ワーカーの行ったり来たりをプレイヤー間で毎回楽しみながら遊ぶ対人要素が強いかと思います。
したがって、二人プレイも十分に楽しめますが、本番は捕獲されるリスクが増える三人以上になると思います。五人まで遊べるうえ、拡張を入れると六人まで行けるので、ごちゃごちゃに入り乱れたアクションスペースで「さて誰を逮捕してやろうか…」みたいなやりとりで他人との関わりが賑わうゲームではないかと。
個人的には、二人で遊んだ時に「気軽な気持ちで遊べる1時間程度の中量級ゲーム」として好きな部類に入ります。
コンポーネントは大きなメインボードの上に、大量のワーカー木駒が行き来し、リソースも木駒が主となる贅沢なもので、カード類も良い質感です。
ボドゲの本質的な価値はコンポーネントだけで計れないにしても、ボリューム感を考えるとかなりコスパが良いな、安いなという気分にはなるので買う派の人にはお得です。箱ちっちゃいのに重いぜヒャッホーみたいな。
先々の事を考えながらじっくり組み立てていくものではなく、いかに自分の欲しい資材を最短で揃えられるかの短距離走を繰り返す感じなので、軽快感があります。
遊べる人の間口が広いゲームなので、捕獲のやりとりで盛り上がったり、資材調達の計画を練ったりを気軽にみんなで楽しめる良いゲームだと思います。
- 335興味あり
- 789経験あり
- 217お気に入り
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