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  • 3人~6人
  • 45分前後
  • 10歳~
  • 1986年~

ウィザード18toyaさんのレビュー

552名
6名
0
約2年前

シンプルにして王道のトリックテイキング

【評価8/10】

ウィザードは非トランプのトリックテイキングゲームとしては草分け的存在で「王道」とも評されるようです。本作の歴史は古く、1986年にカナダで発売され、本レビューを書いている2022年の時点で既にリリース後36年もの時を経ている訳ですが、未だに世界で遊ばれ続けており、私も大好きなゲームです。

しかし、歴史が長く世界にも広く普及しているゲームの割には本作のレビューが少ないように感じたので、このゲームの特徴を中心にレビューを書いてみたいと思いました。購入検討などでレビューを求めていた方の助けになれば幸いです。

なお、「トリックテイキングとは何か」と言う説明はここでは行いませんので悪しからずご了承ください。


【基本はビッド式トリックテイキング】

ウィザードは比較的シンプルな構成、及びルールとなっています。

コンポーネントは4色のスート(マーク)ごとに1~13までに数字で構成される通常のカード、及びウィザード4枚、ジェスター4枚の計60枚から構成されています。


ゲームの流れは

1)カードシャッフル&配り(ディール)

2)自分の勝ち数予測(ビッド)

3)カードを奪い合う(トリックテイク)

4)ラウンドの終了。ラウンド中の点数の清算

を繰り返していきます。


【4) 点数の精算 〜 高得点を狙うには欲張るよりビッドを当てること】

さて、プレイの方針を決めるためには得点周りを知ることが重要です。

ウィザードではラウンド終了時にビッドした通りのトリック数を取れたか否かで得点が変わってきます。

「ビッドが当たっていれば」まず20点をもらえ、更に取ったトリック数×10点を得ることができます。なお、本作と似た作品としてスカルキングがありますが、スカルキングで存在する「0ビッドルール」(1トリックも取らないと宣言し、これを当てるとラウンド数×10点が得られる)はありません。

一方、「ビッドを外してしまった場合」ビッドとトリックの数字の差×10点が減点となります。例えばビッドで5トリック取ると宣言したが実際には3トリックしか取れなかった場合、そのラウンドは-20点ということになります。


スカルキングと異なりハイリスクハイリターンな0ビッド等の大きな点数が動く要素は無く、ビッド的中を着実に積み上げたプレイヤーが勝利に近づく得点システムです。トリックを沢山取れば点数を伸ばせますが、その前提として自分の予想を当てるのがまずは重要で、ビッド以上のトリック取りすぎもビッドに達しないのも同じくらい困る事になります。



【1) ディール】

さて、点数方法が分かったところでゲームの流れに沿って説明します。

まずはディール。ディーラー(親)は60枚の全カードをシャッフルし、ラウンド数と同じ枚数を各プレイヤーに配ります。その後、山札が残っている場合は1枚をめくり切り札とします。

山札が残っている場合、と言ったのは、ウィザードの大きな特徴の一つとして最後のラウンドは全カードがプレイヤーに「配り切られる」からです。従って最終ラウンドは必ず切り札無しとなります。

最初の数ラウンドは手札枚数が少ないため情報も少なく、トリックを取れるか取れないかは割と運に左右されます。しかし序盤はビッドを当てても外してもそれほど大きな点数は動かないため、手札の数が多くなってきてビッド宣言数が多くなっていく中盤~後半には追いつくチャンスも巡ってきます。序盤で一喜一憂せず、粘り強く点差を離されないことが大事になってきます。

ラウンドが変わるたびに、ディーラーは時計回りで左隣のプレイヤーに移っていきます。


なお、ウィザードでは基本的に最後の60枚配り切りまで遊ぶため、3人で遊ぶと20ラウンド、4人でも15ラウンドかかってしまいます。少し時間がかかりすぎる、長すぎると思う場合はラウンドごとに2枚ずつ配るカードを増やしていく「アミーゴトーナメントルール」を使うといいでしょう。遊ぶラウンド数を半分にできます。


【切り札】

ちなみに切り札についても触れておきます。本作ではディールが終わった後に山札からめくられた1枚で切り札を決めます。めくられたカードが4色スートの通常札だった場合、めくられたカードと同色スートが切り札となります。一方、切り札を決めるカードがウィザードだった場合、ディーラーが切り札色を任意に決めることができます。また、切り札を決めるめくりカードがジェスターだった場合は切り札無しとなります。ウィザードでは最終ラウンドは必ず切り札無しとなりますが、このように切り札がジェスターだった事による「偶発的な切り札無し」も起こります


【2) ビッドの仕方】

さて、手札が配られ内容を確認したら次にビッドです。

何トリック取れるかを宣言する方法ですが、ディーラー(カードをシャッフルし、配った人)の左隣のプレイヤーから時計回りで1人ずつ順に取れると思うトリック数を宣言していきます。

同時ビッドではなく一人ずつビッドしていくとどうなるか。他の人の強気弱気の様子を見ながら相対的に自分の手札は強いのか?弱いのか?と考えながら取れそうなトリック数を宣言することができるため、同時ビッドよりもビッドの戦術性は高くなります

更に本作では、選択ルールではあるのですが「ラウンド中取れるトリック数と、全員のビッド合計が一致するようにビッドすることはできない」という「Even bid rule」と呼ばれるルールがあります(BGAでは「プラス/マイナス1」と表記されています)。このルールは予定調和(全員がビッド通りのトリックを取れる、波乱が起きにくい状態)を防ぎ、トリックの譲り合いまたは奪い合いのどちらかが必ず生じます。このEven bid ruleにより「自分が想定もしていなかったトリックを取らされ」たり、「取れると思っていたトリックを他の人に取られてしまう」などという非喜劇が巻き起こりゲームが盛り上がるので、私は遊ぶ際にこのルールを必ず導入しています。


【3) トリックテイク】

ここの部分は非常に素直でまっすぐな「マストフォローによるトリックテイキング」で特殊なルールはほぼありません。

数少ない特殊ルールとして

1.「ウィザード」は切り札にも勝つ最強のカード。ウィザードが複数出たトリックでは、最初に場に出たウィザードが勝者となりトリックを取る

ドイツ語版だとウィザードはZ。Zauberer(魔術師)の略


2.「ジェスター」は絶対負ける最弱のカード。ただし全員がジェスターを出したトリックでは、最初に場に出たジェスターが勝者となりトリックを取る

ドイツ語版だとジェスターはN。Narr(愚者、道化)の略。
ジェスターは4枚存在するため3・4人プレイだと全員が同じトリックでジェスターを出す可能性はある


と言うものがありますが、特殊なルールはこれくらいです。基本、ウィザードは必勝、ジェスターは必敗。ただし先出しが勝ち。と覚えておくといいでしょう。

切り札については上記の通り最終ラウンド以外は山札めくりでスートが決まり、切り札決めでジェスターが出た場合と最終ラウンドは切り札が無かったりはしますが、トリックテイキングを遊んだことがある人なら問題なく遊べるでしょう。トリックテイキング初心者が遊ぶのにも適していると思われます。


【総評】

さて、総合的にウィザードを見てみたいと思います。

本作はシンプルに仕上げられていながらも他者との駆け引きをしっかりと楽しめるゲームとなっています。一番最初にも書いた通り「ビッド式トリックテイキング」がこのゲームの核心であり、駆け引きは「人と遊ぶ楽しさ」との源泉でもあります。


本作と似た、比較的シンプルなトリテゲームとして「スカルキング」がありますが、

ウィザード  通常札:4スート×13枚=52枚 通常札:8枚(2種×4枚)

スカルキング 通常札:4スート×13枚=52枚 特殊札:14枚(2種×5枚、1種×2枚、2種×1枚)

とスカルキングの方が特殊札の枚数・種類共に多く比率も高くなっています。これらの特殊札によってスカルキングは展開が派手になり、かつ海賊→スカルキング→マーメイドと特殊札の3すくみのような展開も見られ、パーティーゲームとして盛り上がる作りとなっています。


一方で本作は一発でウケを狙うという「パーティータイプの盛り上がり系ゲーム」ではありませんが、通常札の比率がスカルキングよりも高い事から展開予測はスカルキングよりも立てやすく、ビッドを当てる重要性がより増しており、純粋に「トリックテイキング」そのもの、駆け引きを楽しみたいのであれば本作の方が適していると言えるでしょう。

切り札ウィザードによる切り札指定

切り札ジェスターや最終ラウンドの切り札無し

などを切り抜けてビッドを当てるためにはトリックテイキングの基礎的な力が必要となります。最終ラウンドは配り切りのためカウンティングも効きます。

このようにパーティー的な要素無くシンプルに仕立て上げられていることから「予想と、それを的中させるためのトリテの立ち回り」に意識の全てを収束させることができる中で、even bid ruleにより全員が希望通りのトリックを取れない事が明確な状況。刺すか刺されるかの緊張感と、そんな中でビッドを満たせた時の満足感、爽快感はえも言われぬものがあります。世界大会が実施されているのはこうしたゲーム特性によるものでしょうし、気の合う仲間内で定期的にトリテ会を開くとか同じゲームを何度もやり込みたい等のニーズがあるのであれば、本作は有力候補の一つとなるでしょう。

(実際、私も友人達とBGAでトレーニングも含め70戦以上遊んでます^^ いつも盛り上がる鉄板ゲーの一つで、今後も月1ペース程度で遊んでいくでしょう)


以上の特徴から、本作はトリックテイキングが大好きな人のヘビロテ用、または初めてトリックテイキングに触れる人の入門用に適していると思われます。ただし一点だけ注意点。初心者にはフルサイズのゲームは長すぎると思うので、ラウンド数は調節した方が良いと思います。ちなみにBGAには最初の5ラウンドのみ、と言うオプションがあります。初心者にはこれくらいがいいかもしれませんね。


最後になりますが、今国内で本作を遊ぶ上で最も入手性が良いのは執筆時点でGPさん版で、値段も安価です。そのため、お試ししてみたい方はGPさんの版が良いでしょう。

ただ、私はBGAから本作に入った経緯もあり、amigo版のファンタジー・ウィザードこそがウィザードだ!と刷り込まれていることもあってamigo版を購入しました。ウィザードと言う名称にファンタジー調のカードイラストはマッチしており、少しだけ高額にはなるものの、雰囲気も大事と思っている方にはamigo版をお勧めします^^

私的にはこれこそがウィザード!

以上、ウィザードのレビューとなりました。思っていたより長文になってしまいました^^;

最後まで読んでいただけた方、本当にありがとうございます。皆様の良きボドゲライフに少しでも貢献できれば何よりです♪

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