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  • 2人用
  • 15分~20分
  • 8歳~
  • 2015年~

時の潮流 / タイズ・オブ・タイムきままんさんの戦略やコツ

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2年以上前

「雲を頂く高い塔、きらびやかな宮殿、厳しい伽藍、この地球そのものも、そこにあった全ての物と共に、やがては溶けて消える。」

                                 シェイクスピア 『テンペスト』

謎のルールで魔力の地を巡って戦う神々のゲームみたいな物への普遍的な憧れはいったいどこから来るのでしょう?

…それはともかく「時の潮流」(Tides of Time)ははまさにそういう感じの、魔力を持つ土地や建造物が描かれた18枚のカードを手札ドラフトしながら自分の前に配置してゆき、それらのコンビネーションで得点し、3つの時代(3ラウンド)の合計点を競う、15分程度で終わる2人用ドラフトゲームです。

このゲームは短時間でできてなおかつ奥が深い2人プレイゲームの佳作なのですが、戦略的に考慮すべきことがカード内容と戦い方がわかってる前提の脳内空中戦すぎて、最初はわけがわからないままカードを選んで勝った負けたになりかねません。

それではちょっともったいないので、プレイヤーがこのゲームを何回かプレイしているとそのうち自然に見えてくるであろう、基本的な考え方やヒントを解説してみたいと思います。


システム概略

全部で18枚のカードには魔力のある建造物や土地が描かれており、プレイヤーたちはその支配で得点を競います。と言っても特に戦闘などがあるわけではなく5枚の手札からカードを出して前に置くことで支配となり、場に1枚出したら残りの手札を交換(ドラフト)して、その交換した手札から1枚出し…という手順を繰り返して手札が出尽くした時点で1ラウンドが終了、得点計算となります。1ラウンド目の得点計算が終了したら、自分の前のカードたちがそのまま初期手札になり、そのうち1枚を自分の”遺産”としてマーカーを置いて場に残し、1枚をゲーム除外カードとして密かに捨て札し、残った3枚に山札からカード2枚補充して手札5枚にして第2ラウンドに入ります。1ラウンドと同じように手順を繰り返し5枚のカードを置き終わると、2ラウンド終了時には5枚+遺産1枚の6枚で得点計算することになります。以下、3ラウンド目はやはり新たな遺産1枚(計2)と除外1枚に2枚を加えて手札5枚でスタートし、5枚+遺産2枚の7枚で得点計算をし、1~3ラウンドの合計点で勝敗を決めます。3ラウンド目は7+7+除外4となるので、最終的に18枚のカードすべてがゲーム中に一度は使用されることになります。


手札を配られたら考えること

ではゲームを始めて配られた自分の手札の5枚をみて何から考え始めればいいのでしょう?

①まずはこのラウンドに存在するカードのスートを考える

このゲームのカードは宮殿、図書館、庭園、寺院、城塞の5スートが各3枚ずつ(とスートなし3枚)の計18枚で構成されているので、最初の手札として双方に5枚ずつ計10枚が配られた1ラウンド目の時点では全体の半分程度のカードしかアクティブになりません。各スートは3枚しかないので3枚入っていることは稀で、たいていは1枚、2枚、あるいは0であることが多いでしょう。このゲームの基本的な得点源はカード同士の相互参照で「スート1枚ごとに3点」と「スートを相手より多く持ってれば7点」の2つですので、互いのコンビネーション得点となる組み合わせがこのラウンドに「ある」か「ない」かは 最初のドラフトした時点でだいたいわかります。ソースになるスートが1枚しか存在しないなら「より多く」の条件はその1枚とセットで取れば確定しますし、2枚なら分散することで得点にならないかもしれません。まずは、各スートの有無と対応する得点カードの組み合わせがこのラウンドにまず「ある」か「ない」かを考えるのが大きな作戦を考える上での最初のとっかかりになるでしょう。

②ドラフトシステム上のしくみ

相互に手札を交換するドラフトシステムの特徴であなたはラウンド最初の手札5枚のうち3枚を自陣に、相手の初期手札のうち2枚の計5枚を自陣に配置することになります。つまり最初の5枚のうち2枚は相手が持って行き、逆に相手の初期手札のうち2枚を自分が取るということです。「手札A」「手札B」のように、交互に手札が移動しながら減っていく様子を少し脳内あるいはカードでシミュレーションしてみると、手札が交換されてゆくことであと何回どのカードを選べるのかが理解し易くなるでしょう。手札5枚3枚1枚時が初期自手札、4枚2枚時が初期相手手札になります。

③ラウンド終了時と開始時の仕込み

このゲームではラウンドが終了して得点を計算した後、1枚を遺産として自陣に残し、1枚をBANカードとしてゲームから除外し、残った3枚に2枚の新しいカードを加えた5枚を次ラウンドの最初の手札とします。つまり2ラウンド目からは「前ラウンドに自分の前に出ていたカード」をベースにした手札でラウンドを始めるということです。また最初の1枚(1手)は自分の手札から出ますので、これはつまり「遺産」として置いてあるカードと1枚目でいきなりコンビネーションを組めるということです。これによりスートと対応する優勢セットで最初から7点を組んだり、いくつかのカードが必要なコンビネーションを最初から仕込んだりできます。前のラウンドに自分が得点を挙げているコンビネーションがあるならその一部の組み合わせをうまく次の世代へ持ち越せるかもしれません。

この3つが「時の潮流」のゲームシステムから来る基本的な作戦的考慮ポイントです。この3点に留意するだけで5~10戦分ぐらいのプレイ経験をショートカットできるでしょう。

そして、これら基礎的なスート優勢による得点群とは別に各スートの1枚ずつとスート無しの3枚の合計8枚がゲームを揺るがす特殊な得点カードとなります。


特殊得点カード個別

コントロールし難い追加得点「サファイアの港」と「もぐら丘」

「サファイアの港」はラウンド終了時に相手より価値の高い施設を持っていれば8勝利点を与えるカードです。上手く先が読めない最初のうちは乱戦の中で相手が自分より高得点の施設の建設に成功して、そこに「サファイアの港」+8点となると大差につながりやすく注意が必要です。

「もぐら丘」も1枚だけしか持ってないスート種類が相手より多い場合8点と「あれっ?」と虚を突く感じで大きめの得点が入り、この2つは特に初期のラウンドでは互いに扱いに気を付けなければいけません。

もし自分に有利に御しきれない、相手に有利に働きそうだと感じたらラウンド間でBANしてしまうのもありかもしれません。


自らのプレイの方向性を決める「世界の屋根」と「王の巣」

「世界の屋根」は自分が置いてる中でもっとも枚数の多いスートを「2倍」にするカードです。通常では「スート1枚ごとに3点」のカード1枚が×2=6点、2枚6点が×2で12点と乗算で獲得得点が上がったり、”もっとも多いスート”がすべて1枚ずつの時はそのすべてが倍、あるいは2枚の時は2枚のカードがすべて倍と、セット倍化が乗るコンビネーションもブーストする一方の重要カードです。

「王の巣」はスートの優勢を決める時に同数でも勝つようにするカードです。「相手より多ければ7点」系列がソーススート1枚あれば相手は1枚では打ち消せず2枚必要になるため、事実上1枚を取るだけで優勢の7点が確定していく強力なカードです。

「王の巣」の弱点

いくつかのレビューで「王の巣」は取ればスート1枚で優勢7点がほぼ確定するため「強力すぎる壊れカード」と評されていることがあります。しかし、デザイナーや熟練プレイヤーの評によるとどうやらそうではなさそうです。実は「王の巣」を取った場合の優先戦略は「相手より多ければ7点」系列のコンビネーションを集めることで、それ以外の行動はすべて「王の巣」にとって無駄かマイナスに働くからです。優勢7点は「世界の屋根」の倍化も乗りませんし、相手を邪魔するために3点系列や他のなにかを取ればそれだけ自分の足が遅れます。それに対して王の巣側が7点を集めている間に相手はいくつかある他のコンビネーションのどれかを組み上げることで、より多くの得点を挙げられる可能性の方が高いのです。むろん、王の巣を拾った側が優勢7点系にこだわらず他で戦うこともできますが、…すると「王の巣」を取った意味は?となってしまいます。


2枚3枚4枚コンビネーションと無いスート毎に3点

「天の柱」は特定の2スートセットごとに5点入るカードです。

「マナの井戸」はまた別の3スートのセットごとに9点入るカードです。

「忌まわしき迷宮」は5スートセットで13点入るカードです。(自身にスートがあるので実質4スートを集めれば得点となります。)

表記の違いで上の2つは「世界の屋根」の倍化が乗り、「忌まわしき迷宮」は倍化が乗らず13点止まりだと考えられています。どれも初期に組むのは難しいですが、ソースとして持っておき展開に応じてコンビネーションを完成させると強力な得点源となります。

一方「北の眼」は無いスートごとに3点と偏りに対して高得点が得られるカードなので1ラウンド目にカードの偏りがでている時などに思わぬ得点が稼げたりします。


このゲームをプレイする上での基本的な戦略的スタンス

どうしてもドラフトの時に相手を邪魔をしてやろう!邪魔をしなければ!と考えるのはゲーマーの常です。実際邪魔はしなければいけないのですが、自分の手を伸ばすのを潰してまで邪魔をしても自分の得点にはつながりません。むしろ、このゲームは自分の得点や手筋の広さを最優先に考えて、時に最低限の動きで相手のコンビネーションを潰すようにした方が最終的な得点を稼いでより勝ちやすいように思われます。自分が有利になって相手が不利になる手>自分が有利になる手>相手が不利になる手という優先順位で戦うべきでしょう。


以上、なんか書きかけのまま放置していたら、どんどんゲームの方がそんなゲームもあったなぁ…という感じに歴史に埋もれて行って誰の役に立つのだろう?という感じになってしまいましたが、「時の潮流」自体はなかなか良いゲームなので、もしどこかのゲーム会の隙間時間やゲームカフェ等でプレイする機会があれば、これが簡単なプレイ指標になれば幸いと思います。


おまけ

時の潮流の得点計算について

時の潮流の得点計算は条件の相互参照が多くて最初は計算に戸惑うと思うので考え方のポイントを。

基本的には1枚ずつ条件を見てそのカードが何点得点しているかを順番に数えて行けばいいのですが、「王の巣」と「世界の屋根」は持っていることで計算条件が変わるのでそこを注意しましょう。

「王の巣」は相手と同率の場合勝率するカードなので「優勢7点」系のカードと「もぐら丘」に関係してきます。相手との兼ね合いがあるカードなので互いに「優勢取れてるね?」と、効果がどこに効いているかを確認して行きましょう。

「世界の屋根」は“最も多いスート”を倍と数えるカードなので、どのスートが倍になっているのかを相手と確認しましょう。最も多いスートが複数ある場合はその全てが2倍になっていることに注意してください。こちらは「〜ごとに3点」や「セットごとに〜点」と関係してきます。(セットの一部のスートが2枚あったり2倍になっても他が1枚しかなければただ1セットだけとして計算されることに注意してください。)

「北の眼」は他と関係なく計算できるカードです。

「サファイヤの港」は上記の他の場所すべてが計算終わった最後に、所有している側の施設のどれかが相手の最大施設より高得点だった場合に8点を与えます。(通常は最大施設が同点の場合は得点されないのですが「王の巣」を同時に持っている場合は得点になります。「サファイヤの港」を持っていない側のプレイヤーが得点することはありません。)

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