- 2人~6人
- 15分~20分
- 10歳~
- 2020年~
スパイシーwinterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
スパイシーは、1から10の数字と三種のスパイス(チリ、コショウ、ワサビ)が書かれたカードを規則に従って手札から出していく、ブラフゲームです。
手番はシンプルで、最初のプレイヤーは1〜3の数字とスパイスを宣言してカードを裏向きで場に出す。
その上に次のプレイヤーが、場に出た数字より大きくて、スパイスの種類が同じカードを裏向きで場に出します。
10まで出たら、スパイスの種類は変えずに1〜3の数字に戻ります。
あるいは、パスを宣言して一枚引く。
もちろん初期手札6枚の中に数字とスパイスが合うカードが都合よくあるわけではないので、プレイヤーは嘘をついてカードを出しても良いのです。
そこで各プレイヤーは、場に出たカードについて「チャレンジ」をする事が出来ます。
チャレンジしたプレイヤーは「数字」か「スパイス」のどちらで嘘をついているか宣言します。
チャレンジが当たれば、それまでに重なったカードを全て取り得点となり、敗者はカードを二枚引いてまた1〜3の数字とスパイスを宣言して初めに戻ります。
いわゆるトランプの「ダウト」に、ちょっとした"色のスパイス"を加えただけのゲームなのですが、それだけでこんなに面白くなるの!?と驚くほどのゲーム性があります。
手札を無くすと高得点となるため、残りが2枚くらいになるとどう考えても嘘をついてるだろ、という場面が出てきます。
しかし数字かスパイスのどちらかでしかチャレンジ出来ないので、手札が少なくても、1/3のスパイスが合うカードを持っている可能性は高く、油断できません。
例えば「8のチリ」が場に出ている状態で、出せるカードは9か10のチリのみ。ここで相手が「9のチリ」を場に出して宣言したのでチャレンジをするものの、「そんなに都合よく9を持ってるか?でも持ってたとしたらスパイスでウソついてんだろうなぁ…どっちだこれ…」みたいな悩みが発生します。出す側も、手札が減っても必ず片方が合っているカードを残すプレイがしやすい仕組みになっているので、チャンスです。
この「全てに嘘をついているわけではない」という状況がたびたび訪れ、プレイヤーたちはゲーム中に何度も勝負どころを迎えることとなります。
更に、数字は1〜10のどれとしても扱えるワイルドだがスパイスで常に嘘をつかなければならない「数字のワイルド」と、その逆の「スパイスのワイルド」カードも存在するため、プレイヤーは手札が減った勝負どころでまんまとそのカードを使い、騙すことが出来るわけです。
たまに残り1枚の手札で全く嘘をつかなくてよい場面もあり、そんな時はニヤニヤが止まりません。
こんな風に、「嘘をつく側がほんのちょっと有利なゲーム」にするだけで、ここまで悩ましくした作家のアイデアには脱帽です。
嘘をつくのが苦手という人でも、片方が合っているカードを出すなら緊張感も薄れるので、普通のブラフゲームよりかなり気楽に遊ぶことができてとっつきやすいです(私のことです)。というか「嘘が苦手でも相手を騙す爽快感が味わえる」という、プレイヤーを選ばない珍しいブラフゲームなのが特徴で、唯一無二の魅力を放っています。
チャレンジが当たっても外れても、つい「よっしゃ!」とか「まじかよ!」と声を上げたくなってしまい、賑やかな雰囲気になると思います。
こうして一人が二回、あるいは三人が一回ずつ手札を出し切るか、決まった枚数のカードが山札から引かれるとゲームは即座に終了します。二回出し切ると即勝利ですが、そうでない場合はチャレンジで獲得したカードと、一回出し切ると貰える「トロフィーカード」の点数、残りの手札枚数を計算して勝利点を競います。
二人でも全然盛り上がるバランスなのが嬉しいのと、複数のバリアントルールにより更なるスパイスを追加できるのも魅力。ハッキリ言って、「ブラフゲームの新定番」と呼んで差し支えないと個人的には思っています。よりたくさんの人に知って欲しいゲームです。
ちなみにルール自体は小学校低学年でも覚えられる軽さですが、相手が負っているリスクの予想が難しいので、推奨年齢10歳は妥当なところだと思います。
コンポーネントは全てカードのみとなっていますが、個性的な虎とスパイスの絵柄が可愛くて親しみやすいです。そして常にカードを裏にして出すため、裏面を金ピカゴージャスにして景気良くやろうぜみたいな粋も感じるデザインには惚れ惚れします。
どこで出しても恥ずかしくない、誰と遊んでも夢中にさせられる自信が持てる、そんなゲームに仕上がっているのではないでしょうか。
- 214興味あり
- 1177経験あり
- 246お気に入り
- 763持ってる
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