2020年ドイツ年間ゲーム大賞推薦リスト作品です。
王道なゲームが選ばれやすい賞の中、B級テイストなデザインとアジアのデザイナーということで、異彩を放っていました。
動画の方がいいという方はレビュー&説明動画をとりましたので、こちらからどうぞ。
ゲームの中身はかんたんにいえば「ブラフゲーム」です。トランプのダウトとかが一番近いです。
トランプのダウトといえば、ぶっちゃけボードゲーマーからしたら、ほぼやらないタイプのゲームかと思いますが、このゲームは、あのダウトは今のボードゲームデザインにうまくバランスが調整されています。
まず1つ目の魅力的な点として、カードの出し方の選択肢です。
ダウトは、全てのカードが配られて、決まった数字が1から順に出すようになっていきますが、カードがたくさんあるので、嘘を付くのが後半になりやすく、最初はダレがちなのは否めません。
さらに出せるカードが1つずつしか繰り上がらず、誰かがブラフでミスるとやり直しなので、次に出せるカードが読みづらいです。なので、結局、たんたんと出して、たまに嘘をつく程度の作業ゲーになりがちかなと個人的に思っています。
ですが、スパイシーは手札が6枚しかありません。なので、初手で嘘をつく必要もあります(1〜3しか出せないため)。
ちなみに、カードの数字が1〜10しかなく、初手は1〜3のどれか(ダウトだと1のみ)、それ以降はでかい数字であればOKなので、ダウトよりは結構幅広い選択肢があります。
とはいえ、手札が6枚しかないですし、最大の数字が10なので、9の次は10しか出せません(10の次は1〜3でリセット)。
じゃあ、絶対ムリだけど出して嘘がばれるんじゃ・・・と思いきや、なんとパスして手札を増やすこともできます。(後述しますが、手札を全てなくすと勝利につながります)
この選択肢のバランスがダウトにはない新しさを生み出しています。
次に2つ目の魅力がブラフの選択肢です。
このゲーム、3種類のスートがあるのですが、この中から1つを宣言して、それと同じスートでカードを出し続けなければなりません。
なので、より嘘をつかなければならず、ブラフされやすいと思いますが、ブラフを行うときは「スートが違うか」「数字が違うか」のどちらかを選ばなければならないようになっています。例えば、スートが違うといって、表にしてみると、数字はアウトなのにスートがセーフみたいなこともあったりして盛り上がります。
このどっちがアウト?を選ばせるのがほどよいスパイス(スパイシーだけに笑)になっています。
ちなみにブラフを成功させると、勝利に近づくようになっており(ダウトはどちらかといえば妨害)、そこも現代的といえますね。
そして3つ目が、勝利条件をスタイリッシュにしてあることです。
トランプのダウトは、とにかく手札をなくすのがゴールで、嘘がバレると手札が増えて、収束性に難ありのゲームでしたが、スパイシーは、山札の中に終了カードが入っていて、これが引かれると終わります。
そのときに獲得カードが多ければ勝ちなのですが、これは「ブラフを成功させるか」「手札を全て出し切るか」のどちらかでしか得点がとれません。
ブラフは成功させると、今まで出したカードを全てとって1枚1点(ブラフされて負けた人は2枚引きます)、手札を全て出し切ると、なんと10点ボーナスカードをもらえます。
当然、手札が1〜2枚のときに運良く出せるカードは少ないですから、スリルがありますし、難しいならパスすることもできますが、その中であえて、手札をなくしにいくというギャンブルのような駆け引きがいいですね。
ちなみにこの10点カード3枚あるのですが、このうち2枚を1人がとったら、すぐさまその人の勝利になります。それか3枚全てとられても即ゲーム終了です。なので、山札から引かれるよりも早く終わるときもあります。
といった感じで、ブラフゲーム好きなら体験価値ありかなと思います。