- 2人~5人
- 30分前後
- 10歳~
- 2014年~
スラヴィカBluebearさんのレビュー
ポーランド製の珍しい幻想ファンタジーの世界をモチーフとした戦略カードゲーム。タイトルがSLAVIKAだから、イメージはおそらく東ヨーロッパからロシア圏のスラブ語系民族の伝承あたりをモチーフにしたものと推察されます。
■雰囲気抜群の設定ストーリー
なかなか魅力的なストーリーがあって、雰囲気を盛り上げてくれますので、ゲーム開始時にはしっかり読み上げるといいですよ。やっぱり臨調感というかひたり具合が全然違います。
概略だけ書くと…、国王が亡くなったスラヴィカの国に若き王女が即位するのだが、国を守る護符の力を継承するには何回か月が満ちるのを待たねばならないという。その間を縫って各地で跳梁をはじめる魔物たちを押さえるため、各氏族から選りすぐりの英雄たちが派遣される。無事にスラヴィカ国を守り切ったとき、最も貢献した氏族の息子だけが王女と結婚する名誉を得るのだ。
という感じです。
ね、いい感じでしょう?
■独特の雰囲気を持つイラスト群
イラストも、リアルなヨーロッパ風?で、日本人のイラストに慣れた目で見ると、王女が地味すぎて可愛くないとか、英雄たちがむさくるしいおっさんばかり(ごく少数に女性キャラもいますが美人かと言われると…)だとか、登場するモンスターたちのイメージが怪しすぎるとか、イラストイメージからも東ヨーロッパっぽさ(?)満載で、変わった雰囲気でゲームが進みます。(日本のアニメ・ゲームで描かれる歴戦の英雄は、カッコいい少年少女ばっかりなので、たまにこういう本場イラストに接すると、そのイメージの差を思い知らされますね。ちなみに私は断然こっちのリアル調派です。)
各氏族は、6人の英雄グループを派遣するのですが(能力的には全員共通です。)、それぞれ異なる濃いイラストが描いてあり、それぞれちゃんと名前も書いてあるという念の入れよう。(この名前については、ポーランド語?のため発音が分からず、ぜんぜん読めないのが難点です。今度Google翻訳に入れて発音させてみよう。)
モンスターも独特で、「老婆の姿をした災難の化身リッコ」とか「怪しいおっさん風で溺死した胎児から生まれた水の悪魔ウトプイェッツ」とか、極め付きは「稲妻を吐く白い巨大な最強の竜?ズミィ」とか、我々日本人にはなじみのない奴がいっぱいいます。(ただの狼ヴィルクとか、ただの蛮族のゲルマン人とかもいますが)
このズミィ…好きだなあ♪(全然強そうに見えないところが…笑)
■けっこうガチで考える戦略性の高いルール
場の中央に、スラヴィカの各地方である「森」「島」「山岳」「海岸」などを表すカードを並べるのですが、そこには右側に「英雄カードを何枚まで防衛配置できるか」と、左側に「モンスターカードが何枚並んだら襲って来るか」と、中央に「戦闘で勝利したら得られる財宝カードを何枚置くか」が記されているのです。
ここに手番ごとにカードを配置していきます。
各自の手番には3アクションあって、以下のようになっています。
手札に英雄カードがあれば、どこかに配置。無ければパス。
手札に英雄カードがあれば、どこかに配置。無ければモンスターを選んで配置。
手札からモンスターカードをどこかに配置。
ただし、同じ手番に同一の地域にカードを置くことができないので、どこに何を配置するか、けっこう考えどころは多いです。
モンスターは規定枚数たまると襲って来るので「戦闘」が発生し、モンスター軍団と英雄チームの合計戦力を比べて、モンスター戦力以上なら英雄の勝利です。
そして「もっとも戦力で貢献した氏族」が伏せてある財宝カードをもらっていきます。
しかし悩むのが、戦闘が解決しないと基本的に英雄カードは手元に帰ってこない!
また、英雄の戦闘力の合計が同じだったら、より先に置いた方が上位とみなされるルール!
モンスターカードは常に5枚保有するので、結局じりじりモンスターがたまり、襲撃してくるタイミングを計らねばならない!
とうぜん自分の氏族がいる地域には弱いモンスターを、他の氏族が守っている地域には強いモンスターを置いてしまえ!ってな事になるわけで。(でも2位3位まで勝利点がもらえたりするので、ちょっといろいろ狙いたくなるんですよね)
さらにさらに、そこにカードごとの特殊効果が加わるので、さらに考える要素が増えることになり、けっこう脳ミソはフル回転。必然的に各自が長考気味になるのが避けられないので、カードゲームだけどそういうじっくり系だと思っていただければいいと思います。
例えば英雄側なら、モンスターの戦力を最大4にしてしまう「射手」とか、他の英雄カードと入れ替えができる「野伏」とか、財宝カードを奪ってしまう「盗賊」とかがいます。
モンスター側なら、英雄を1枚選んで手札に戻してしまう水の女精霊ルサウカとか、戦闘解決後に最も強い英雄の戦力を0として貢献度計算をしてしまう森の男妖精レジとか、人間の英雄のふりをして右側に置かれ戦力ゼロとなる裏切者ズドライツァとかですね。
ね、聞いただけでけっこう混沌とするでしょう!?
おかげでパッケージには30分と書いてありますが、5人でやったら軽く90分以上かかりました。(初回でカード効果に慣れていないせいもあるでしょうが、それでも1時間を切る気は全くしません。)
30分と書いてあるのを信じて、最後にちょっと余った時間に「これやってみる?」と出したものの、思いのほか時間がかかってしまったので、気を付けた方がいいでしょう。
とはいえ、雰囲気に浸りながらじっくり脳みそを振り絞る戦略性の高いゲームとして、こういうのが好みの方にはぜひ勧めてみたいゲームでした。(個人的には大好きです!)
- 14興味あり
- 12経験あり
- 3お気に入り
- 35持ってる
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