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  • 2人用
  • 180分~200分
  • 12歳~
  • 2011年~

関ヶ原 日本統一maroさんのレビュー

351名
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約4年前

大名、将軍、忍者などは、いかにも外人受けのしそうなワードであり、実際、日本の戦国時代もののボードゲームはいくつもでている。

しかしなんといってもこの関ヶ原がそれらの中でも本丸といえるだろう。

BGGランキング150位、レーティング8.1、また、BGGのウォーゲームランキングでは5位をマークしているのは伊達ではない。

2人専用のカードドリブン型ウォーゲームという体裁。

関ヶ原の合戦というと日本人であればヘクスのマップ内でわちゃわちゃする戦術級のゲームを想像してしまうところであるが、このゲームは日本の近畿~北関東あたりを舞台とした、戦略重視気味のユーロゲームといっても良い。

関ヶ原の「合戦」が主題ではなく、1600年周辺の戦国時代の動向を扱っている。といっても経済的な観念はばっさりカットされ、スタックが可能な各ユニット(各大名の紋章が1-3の戦力とともに記載)をカードを用いて移動、戦闘させるのがメインだ。ターンごと、あるいはラウンドごとに手札、ユニットは補充することができるが、ユニットの補充はかなり制限されている。

マップ上の都市と都市を道路がつなぎ、部隊はこれに沿って移動する。移動の際は手札を消費しないと1スタック分、1枚消費で3スタック分、2枚消費で全スタック分の移動ができる。ただし、後で述べるように手札は最重要なリソースであり、無駄遣いは禁物である。

都市で部隊同士が鉢合わせになると戦闘が起きる。そして、この関ヶ原では戦闘の解決に特徴がある。

よくあるユーロの陣取りで多いのが、ユニット同士が同数相殺されるもの。あるいは、ウォーゲーム寄りのものではダイスを使用して結果を判定する手法が見受けられる。

このゲームでは各ユニットは軍人将棋のように相手に対し秘匿情報となっている。戦闘時は手札からユニットの紋章(これが大名の家紋となっている)に合致するカードをプレイすることでこれを活性化する。つまり自軍に対峙している敵の部隊が強力な部隊なのか、特殊能力を持つ部隊なのか、そうでないのか、分からない。さらに、手札にその部隊に合ったカードがないと、同じ都市にいても戦闘には参加できないわけである。

相手のユニットに応じた移動と、戦闘と、ユニットや手札のマネジメントの重要性は言うまでもないが、よくいわれる、勝敗は時の運、とか、人事を尽くして天命を待つ、という事柄も絶妙な形で表現した傑作である。

ルールの骨子はシンプルだが、極めるのは難しい。2人でのガチな戦いであるが、秘匿要素がうまく作用しているおかげか、そこまで険悪な雰囲気になることもないと思える。

ただし一般的なユーロゲームと比較してしまうとゲームの流れはやや一本調子で、途中、新規ユニットの追加(増援)などがあるものの、全体的には淡々とした進行と感じても無理はない。いわゆる有名な武将が登場するわけでもないし、歴史マニアを唸らせるような知見とも無縁で、そのあたりはユーロ系ウォーゲームそのものである。内容も、細かなアドバンテージを重ねつつ、相手を押し切っていく綱引きのような味わいでもある。

このシステムであれば関ヶ原というテーマでなくても充分に楽しめるものであるが、私たち日本人にとってなじみの土地、なじみの戦国大名のもとにこのようなゲームを堪能できるのは本当に素晴らしいと感じられる、そんな作品である。


評価9/10  重さ5/10


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