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  • 2人~4人
  • 60分~90分
  • 14歳~
  • 2017年~

ロンドン(第二版)大吉さんさんのレビュー

380名
5名
0
3年以上前

★★Nice!

プレイの仕方はイノベーションとよく似ていますが、ロンドンは流れも軽快でカードの効果も覚えやすく、とても楽しくプレイできました!

お金、名声点、貧困トークンの3要素しかありませんし、できるアクションも4つしかないにも関わらず、選択の幅が広く、考えられることが多いです。

やることといえば、手札のカードを自分の場に出すか、出したカードの効果を使うか、自治区カードを買うか、カードを3枚引くか。この4つの中から1つのアクションを選択します。

カードの効果はお金がもらえたり、名声点が入ったり、貧困トークンを返したりできます。カードの効果はないけど、出すことで終了時に名声点が入るものもあります。最終的に名声点が多い人が勝ちです!

お金はカードを出すコスト、カード効果を使うコストで必要な場合があります。自治区カードを買うにも必要です。

自分の場にカードは何枚でも出してよく、カードの効果も出した分だけ全部使えます。

ですが、カードの効果を使った場合に、出したカードの数と手札の枚数を足した分だけ、貧困トークンを受け取らないといけません。

例えば、自分の場にカードを4枚出して、手札を6枚持ってたとします。カード効果を使うアクションをして、4枚のカード効果を使ってお金や名声点を得た後、10個の貧困トークンを受け取ります。

この貧困トークンがクセ者で、数が多くなると終了時にマイナス点を食らう可能性が大です!

そのために、自分の場に出すカードは3~5枚くらいになりやすいです。基本的にカードは効果を使うと裏返しになり、使えなくなります。一度きりの効果です。(一部、永続効果のものもあります)

使えなくなって裏返しになったカードの上に、重ねてカードを出せます。重ねたカードは1枚としてカウントするので、自分の場に出すカードの枚数を少ない数でコントロールできます。

自治区カードは何枚でも持つことができて、購入時にカードをドローできたり、名声点が入ったり、貧困トークンを返せたりと恩恵を受けられます。

さらには、永続的に特殊効果を受けられるカードも多く、けっこう強いです!自治区カードを新しく購入したら上に重ねられて、以前の効果はなくなり、一番上のカードの効果が発動します。

ロンドンをプレイしてみて面白く感じたところが2つあります。

1つ目は、手札のコントロール。カードの効果を使ってお金を得ながらも、そのお金をコストして支払うことで名声点にかえていきます。これは、サンクトペテルブルグにも似た面白さがあります。

さらには、貧困トークンの管理もしないといけないので、なかなか悩ましい!

手札を出す時は、追加コストとしてお金がかかる場合、かからない場合がありますが、それとは別に同じ種類のカードを捨て札置き場に出さなければいけません。

カードをドローする場合は、山札以外に捨て札置き場のカードを取ることもできます。相手が捨てたカードを拾うことができるので、ちょっとしたインタラクションがあります。

お金をやりくりしながら、コツコツと名声点をかせいでいくのが、地味だけど面白い!カードの効果を使うときは効率よくしないと、無駄に貧困がたまってきます。

貧困の関係でカードを場に出せる枚数にも制限があるし、カードを出すにも、もう1枚同じ種類のカードを捨てないといけない。手札の上限も9枚まで。

しかも、貧民カードというものがあり、なかなか捨てることができず、手札を圧迫してくる。

いろんな制限があるおかげで、やりたいことがスムーズにできない!だからこそ、このゲームは面白い!どういう風にプレイしたら上手くいくかを考えるのが楽しいので。

2つ目は貧困トークンの存在。これがなくては面白さも半減します。

貧困トークンはゲーム終了に、持っている数を他のプレイヤーと比べます。貧困トークンが一番少ないプレイヤーと比べて、自分の方が多ければ、その差分のマイナス点を食らいます。けっこうデカいマイナス点!

貧困トークンは他のプレイヤーと相対的に数を比べるので、ここでインタラクションをつけています。

これがなければ、ほぼソリティアのゲームになりますが、うまく味付けをしています!ほどよい縛りがあって、相手の動向を気にするようになります。

同じように自分の場にカードを並べて、カードの効果を使って点数をかせぐゲームに、レース・フォー・ザ・ギャラクシーとイノベーションがあります。

どちらも面白いゲームだと思いますが、レース・フォー・ザ・ギャラクシーはカードをやりくりする楽しさはありますが、インタラクションは薄く、一人で自分の世界を大きくしている感じがします。

イノベーションは重ねたカードをずらしてアイコンを増やすシステムは秀一ですが、インタラクションはカードの効果をド派手にしてインパクトをつけています。それはそれで面白いんですが、テキスト量も多く、インタラクションのつけかたとしては単純な気がします。

インタラクションという所だけ切り取ってみると、ロンドンの貧困システムはよく考えられた方法だと思います。貧困トークン一つで相手との関わりを持たせ、プレイを程よく難しくしています。

他にも、場に出したカードには終了時の点数が書かれたものがあります。そういったカードを重ねていくと、重ねたカードの下で点数がたまっていきます。目には見えないけれど、密かに点数が増えている感じがいいですね!

終了時の最終計算のときに加算される点数なので、最後に自分のたまった点数を計算するのは楽しいです!逆転もあり得るので。

貧困トークンの存在による、場に出せるカード枚数の心理的制約。同じ種類のカードをコストとした、カードを出すための制限。貧困トークンの相対的な数によるインタラクション。貧民カードによる手札の圧迫。重ねたカードの下で増えていく名声点。

これだけの要素がつまっていたら、複雑になりそうなもんですが、なんでこんなにシンプルなんでしょう?

カードテキストもありますがアイコンがメインのゲームですし、そのアイコンも覚える量が少ないので、プレイのしやすさにつながっています。

最初プレイしたときはお金が足らなかったり、貧困トークンがたまりまくって苦労しましたが、回数を重ねると勘所もわかってきますし、自治区カードに目を向けると貧困トークンもコントロールできて、プレイもしやすいと思います。

大量にある山札が無くなればゲームが終了します。2人プレイしかしていないですが、引けるカードも多くコントロールしやすかったですが、実力差もけっこう出るかも。

3人、4人プレイでも使用する山札の枚数が同じなので、2人プレイよりは手番数も少なくお金の入手も難しくなり、より一手の重いシビアなゲームになりそうです。

いろんなアイデアが詰まったゲームで、ジワジワくる面白さがあります!

しかし、ロンドンの街を再建すればするほど貧困がたまっていくというのは、人間社会の本質を表現していて秀逸なシステムですね。

金持ちがいれば、その裏では必ず貧乏な人が出てくる。光があれば影が出来る。人間社会と、その発展を風刺したロンドンは違う意味でも面白い。

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