- 2人~6人
- 30分前後
- 8歳~
- 2020年~
キング・オブ・トーキョー:ダークエディション白州さんのレビュー
7/10
マジックザギャザリングを生んだデザイナーによるダイスバトルゲーム「キング・オブ・トーキョー」のリニューアル限定バージョン。箱絵にタイトルがないのが非常にカッコいい。
旧版のキング・オブ・トーキョーが発売された2011年頃に遊んだとき、「なんだ、この運ゲーは・・・」と全然楽しくなかった印象があった(当時は、ダイスアンチ[運ゲーアンチ]だったことも影響していると思うが)。
その後、BGAに新版が導入され、久々に遊ぶと、わりと面白いことに気づき、何回か遊ぶが、それでも評価は6。
※そのときの評価→新・キング・オブ・トーキョーレビュー
そこから再販なしの限定ダークバージョンが2020年に発売され、2016年に新版も出たし、BGAにも登録されたし、限定バージョン出るなら、久々にオフライン遊んでみても面白いんじゃないかと思って入手。
という理由もありながら、結局は3年ぐらい熟成させていたわけだが、やっとこのゲームをプレイする機会に恵まれたので、プレイ。ちなみにGeekによると、ベスト人数は5人らしいので、5人でプレイした。
すると、普段は極度なノンリプレイヤー(1年に同じゲームを遊ぶ数が多分、片手で数える数もないw)の自分が「これ、もう1回遊ぼう」と言ってしまうくらい、面白い作品だった。メンツがよかったというのもあると思うが。
そう感じた理由だが、一番大きいのが「異形」ルールの拡張だろう。ぶっちゃけ、これがなければ、また「結局運ゲーじゃねぇかw」とか言ってた可能性さえある(笑)
キング・オブ・トーキョーの基本ルールは「20得点稼ぐ」か「自分以外の怪獣を倒す」のどちらかの達成を目指すというものなのだが、得点を稼ぐ方法は基本的にダイスで「1」「2」「3」のどれかの目を3つ以上出す必要がある。
となると、当然「3」が一番得点が高いので、これを狙うのが必然であり、1や2を揃えても3に比べれば、旨味はない。多分、前に遊んだ時、この部分が運ゲーじゃねぇかと思っていた(すごろくで6をたくさん出したやつが先にゴールするみたいな意味の運ゲー)んだと思う。
しかし、ダークエディションでは、この部分が「異形」によって素晴らしいバランスになって解決されている。
今まで残念な目でしかなかった「1」や「2」を揃えると、異形レベルというものが上がり(ちなみに、1を3つ揃えると2レベル、2を3つ揃えると1レベルあがる。3は3つ揃えても上がらない!)、3,6,10レベルに到達すると、各レベルの3〜4枚あるうちの異形能力タイルのから好きなものを1枚選んでノーコストでもらえるのである。
※ちなみにパワーアップという拡張にこれに似たルールがあったようだが、各モンスター固有の追加能力のため、これも最初に選ぶキャラ次第だった。こちらは早いもの勝ちなので、キャラ差もなくてよい。
この異形能力がアメゲーらしく「俺ツエー!」と言えるものから、トリッキーなものまで様々。ちなみに強い能力の例をあげると、通常はコスト7で購入できる「ダイス+1」がレベル3で無料で手に入ったりするw→レベル3はダイス+1ではなく、ダイスロール+1でした!ご指摘いただき、ありがとうございます!というか、最初レベル3のタイルの日本語訳だけみたら、勘違いすると思うのだが・・・。)
※ちなみに個人的にはレベル3でこれが手に入るのは強すぎる気もするが、裏面に別能力もあるので、調整可能なのも素晴らしい!どっちもやってみたが、どちらも面白い!ただ、レベル3のダイス+1は強すぎな気もする(実質、それとったやつが勝った)ので、こいつだけは裏面の能力にしておいたほうがよいかも。→ダイス+1ではなく、ダイスロール+1ということだったので、バランスの悪さは勘違いでした!日本語訳がちょい気にはなりますが、結果、バランスが素晴らしかったということで満足!
これのおかげで、今までが「怪獣強化(エネルギーためてカード購入)」or「とにかく攻撃してトーキョーに入って得点も得る」or「ダイスで安全に得点稼ぎ(ただし、1や2はハズレw)」だったのに「1や2を積極的にそろえて、異形強化」という戦略が増えた。
これによって、1や2の価値が「残念な目」→「選ぶ価値のある目(むしろ、強い目)」になったのは、とてもでかい。
キング・オブ・トーキョーには旧版、新版、ニューヨークverなど、いろんなバージョンがあるが、異形があるのは、限定版であるダークエディションのみ(具体的にいえば、同梱されてるのはダークエディションのみ。独立拡張としては2022年に邪悪覚醒という拡張が存在している)。非常によくできた拡張要素で、個人的にはキング・オブ・トーキョー遊ぶなら、これ入れないと遊べないレベルと感じてしまうほど。
※「異形」のルール拡張が入った「キング・オブ・トーキョー:邪悪覚醒」を手に入れてもプレイできるが、ダークエディションのように裏面もあって2種類プレイができるかは不明(製品の写真見る限り、ワンチャンなさそう)なのと、「1の購入カードが異常に強くなる」というバランス崩壊が起きてしまう可能性があります。
ちなみにダークエディションでは、異形拡張がスタンダードルールとしてカードバランス調整がされているため、まさに限定版にふさわしいといえるでしょう(これは遊んでからわかったことだけど)。
あと、ダークエディションは、箱がカッコいいのはもちろん、メインボードも怪獣ボードも、ぶっちぎりでかっこいいし、エネルギーも雷マークになって、もちろんこれもカッコいいので、個人的には過去最高のキング・オブ・トーキョーですね!
ただ1つだけ弱点があって、異形タイルがどの怪獣のタイルかが若干わかりづらい!
※異形の拡張セットでは、怪獣の顔のマークがあってわかりやすかったのだが、チープさがあり、ダークエディションでは持ちごたえのあるコマになったが、怪獣の手?がモチーフになっていてぱっと見、どれがどの怪獣かわからないし、ゲーム中、レベルアップする自分の怪獣を間違えたw
一応、色分けはされているのだが、ダークエディションなので、怪獣も全部が暗い絵になっているので、余計わかりづらいのである(泣)。とはいえ、これ以外には全く欠点は見当たらない完成度なのは間違いない。
あと、このゲーム、最初5人で遊ぶと、他の怪獣全滅が大変なので、最初は得点稼ぎになるゲームの流れがお約束なのだが、そこで1や2に異形強化をもたせて、展開を早くさせているのにも展開が早くなるし、各プレイヤーの個性も出て、戦略方針が固まるのでいいね。
そして、少しずつ怪獣が倒れていくと、今度はトーキョーに入ると、自分の手番が回ってくるのが早いので、攻撃特化でも稼ぎやすくなり、得点で勝つのか、全滅で勝つのかの選択を迫られる、キング・オブ・トーキョーの面白い部分がより、ドラマ性をおびやすくしていると思う。(通常版なら、異形がないので、3出したやつが有利みたいになるのだが、異形があることで、1や2も人気になり、どの目を出しても、戦略があるので、不条理感がなくなる)
※あと、2011年に最初に遊んだとき、3人で遊んだのだが、これだと中入って得点もガンガン稼げるので、基本バトルゲーになり、カードを購入するためのエネルギーを集めるまでもなく、結局ダイスを振るバトルゲーになってしまってたのがよくなかったんだと思う。やっぱり、このゲームは5人でスタートしたほうが、どのやり方で勝ちに行くか・・・みたいな感じの最初の読み合い感がいいし、その睨み合いの間にいろいろ強化して、最後に大決戦みたいな流れが素晴らしいんじゃないかと。
というわけで、バランス調整により、劇的に面白くなっている作品なので、キング・オブ・トーキョーって運ゲーじゃんと思ってしまった旧版を遊んだ人や新版出ても、ほとんど内容変わらんし、相変わらず1や2って出したらハズレじゃんと思っていた人は、ぜひともダークエディション(というか、異形の拡張を入れたキング・オブ・トーキョー)をやってほしい。全く面白さが違うよ!
ただ、殴り合うゲームではあるので、知らない人とあそぶのにはちょっと気が引けると思うし、こういうゲームは、バチバチ殴り合うのもOKなリア友みたいなメンバーで遊ぶのが一番盛り上がると思う。
普段、ボードゲームやらない層にも非常にわかりやすいルールなので、個人的にはそちらを推奨。実際、ダークエディション遊んだときもそういうメンツだったし、それが多分よかったと思う。
ただ、前にもいったとおり、読み合いや戦略方針決めをして、少しずつパワーアップをして、最後に大決戦!という流れのある5人で遊んだほうがよい。運ゲーでもいいなら、少人数で殴り合いでも良い気はするが、個人的にはぜひとも5人でやりたいゲームだ。
最後に、あまりにもいろんなバージョンが出すぎたせいか、わりと売れ残っている感があったダークエディションだが、いつのまにか、絶版(限定版で、再販しないので、当然いつかは絶版になるだろうが)っぽくなっており、異形ルールが入っている完全版ともいえるキング・オブ・トーキョーはダークエディションのみ(異形だけの拡張セット「邪悪覚醒」もありますので厳密には違いますが、この異形を基本導入した前提でのバランス調整をされているので、やはりダークエディションがベストだと個人的に思う)なので、気づいたら、入手が難しくなっている可能性も全然あるので、興味ある人は、まだ中古で気軽に手に入る今のうちにゲットしたほうがよいかもしれない・・・。
何にせよ、登場から10年近く経って出た拡張に感動したボードゲームは初めてかも!
今まで拡張買うくらいなら、他のゲーム買った方がいい派だったが、やはり名作の拡張はチェックしておくべきかもと改めて感じた作品だった。
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そうだったのですね!
一応、調べたつもりでいましたが、見逃してました!ありがとうございます!
レベル3の異形能力タイル「ダイス+1」ですが、正しくは「ダイスロール+1」かと思われます。ダイスの数が増えるわけではなく、ダイスを振る回数が各ターン一回増えるということかと。レベル6のタイルに「ダイス+1」が既にありますし、調べてみると英語版では「Gain 1 extra die roll each turn」という表現でした。
ちなみに、
レベル3:非道→毎ターン、あなたは追加で1回ダイスを振るレベル6:サイバー脳→あなたは追加でダイスを1個得る
となってますが、これ、レベル3だけ見た場合、サイコロ1個追加と勘違いしちゃいますよね・・・。
ダイスロール+1とかの方がずっとわかりやすかったのですが・・・(泣)
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