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  • 2人~4人
  • 75分前後
  • 14歳~
  • 2021年~
1134名
16名
0
2年以上前

二人プレイ時の感想を書きます。

コーラ:ライズ・オブ・アン・エンパイアは、古代ギリシャの時代に実在した都市国家の領主となり、経済・文化・軍事力を高めながら他の都市より繁栄することを目指す拡大再生産のゲームです。

まず始めに、本作が「とても遊びやすく、地味な見た目ながら思ったよりずっと楽しいゲーム」であったことを申し上げておきます。コンポーネントが渋くて小難しそうに見えるんですけどそうでもなくて、初心者から上級者まで気軽に始められて、ボードゲームらしい悩みどころをしっかり備えた良作と思います。

プレイヤーは7つある都市からランダムに(とルールブックに書かれていますが、他のプレイヤーの合意があれば各自好きな都市を選んでもいいと思います)自分の都市を選択します。

ラウンドは大まかに

aラウンド毎イベントの告示

bダイスロール

cダイス目を見ながらアクションの選択

d選択したアクションの実行

e発展アクションの実行

fラウンド毎イベントの解決

g共通目標の達成チェック

といった流れを9ラウンド繰り返してゲーム終了となります。

本ゲームの特徴の一つは、ラウンド毎に振られるダイスでしょう。

二つ(ゲームの進め方によって途中から三つ)の自軍ダイスをラウンドの始めに各自で振って、出た目を見ながら、手元の「アクションタイル」を伏せて配置します。

アクションは0〜6の数字がある7枚で、出目より低いタイルは無料で解決できます。出目より高い場合、数字の不足数に関わらず「市民」というリソースを2つ消費すれば解決できるようになります。

極端に言えば毎回6が出ればかなり有利になりますが、足りない場合もペナルティは大きくないので、アクション不可になるというよりは、足りない時に備えておけばいい程度の運試しです。(分かる人には「ロレンツォみたいにカツカツにならないよ」みたいな感じ)

伏せられたアクションタイルを表にして、数字の低いアクションから全プレイヤーが順番に解決していきます。

アクションは主に「カードを引く」「収入を得る」「軍事力を使って植民する」「手札のカードをプレイする」「都市レベルを上げる」などがあります。

難しそうな選択に見えますが、最初に選んだ都市には「軍事力を鍛えやすいですよ」とか「経済を回しやすいですよ」みたいな長所となるスキルがあって、だいたい見通しが立ったうえでゲームが始まるので、悩みすぎることはありません。軍事力が上げやすいからこのカード出しとこうとか、文化レベル上げたいからお金持っておこうとか、かなりコントロールはし易い部類に入ると思います。

こうしてカードを出したり、植民して栄誉トークンを得たり、お金を払って各パラメータを上げたり新たなスキルを解放したりして、得意分野を伸ばすリソースマネジメントをしながらゲームが進んでいくわけです。

ここまで説明すると、「やることが決まってるなら変化がなくてつまらないのでは?」と思われる方もいるかも知れません。

こうした単調な展開を避けるために、いくつかランダム要素があります。

まずイベント。ゲーム毎に7/9枚がランダムなので、イベントで貰いたいボーナス/受けたくないペナルティのために戦略を変更する場面が多々あります。

前述したダイスの目も、手に入るカードもランダムなので、臨機応変な対応が楽しめます。

そしてマイルストーンと呼ばれる早い者勝ちの目標があり、これのボーナスが大きいのでかなり他人の状況を意識するインタラクションが生まれます。アクションタイルは伏せて出すので、相手がマイルストーンを達成できるか否かは一斉に開示されるまで分からず、無駄に焦るなんて場面も。

すごく凝った特殊なシステムとかじゃなく、全て単純な工夫で生まれるジレンマなんですけど、これが上手い具合に相互作用をもたらしていて、その場その場で色々と考えを巡らせて楽しめるので全然退屈しません。「そんなに難しくないはずなのに不思議なやり応えがあるな…」って感じの面白さです。

ゲーム毎に都市を変えたり、ランダム要素があるだけでも、かなりリプレイ性が高いです。「ちょっと他の都市でもう一回やりたいな」となる遊びやすさと攻略の角度の幅があるので、意外なほど始めやすいです。また90%くらいが同時に行えるフェイズで構成されているので、ダウンタイムもほぼありません。この辺りも重さを意識させず、遊びやすくするのにひと役かっています。

こうして最終ラウンドに差し掛かり、各々が最初に何となくイメージしてた状態に持っていくまでマネジメントをやり切ります。二人だと50分程度なので、けっこう悩んだ割に軽いなと思うような爽快感があります。

ちょっと期待してた以上に面白くて、驚きました。「それなりに考え所のあるゲームがしたいけど、重たいものは時間的に難しそう」みたいな場面があると思うんですが、例えば寝る前とかに、気軽に始めて軽快に終わるのでなかなか貴重なゲームと言えます。私の場合、妻と二人で多種多様な中〜重量級をやることが多いのですが、お互い積極的に遊びたいゲームという認識で一致しました。

コンポーネントは個人ボードがダブルレイヤーになっていたり、木駒に独特の形状や細かいプリントとかも入っていてこだわりが強いです。

ブリスターで仕切られているので、スッキリ収納なのもグッド。

しかし単純な物量で言うと「少し割高かな?」とも思いますが、ゲーム内容を理解した後なら、遊ぶ頻度は高くなりそうだし面白いしで、もう気にならなくなりました。

都市ボードを個人ボードに嵌め込む形式も斬新でカッコいいし、裏側にはその都市の歴史的な解説も載ってたりで、細かい所の情報量にも気配りがあって贅沢な気分になります。


二人プレイだと少しバランスの悪いカードもありますが、全体的には非常に完成度の高い中量級ゲームだと思います。日本産インディーズゲームの海外版の逆輸入完全日本語版とあって、評価された時期と発売時期がズレてたり、こんなに遊びやすいのにコンポーネントが渋くて割高だったりなど、あまり話題にならなかったのが本当にもったいないです。

一回遊ぶと次もやりたくなる作品なので、連戦を計画したり、思い切って購入してもいいゲームだと感じました。とても親しみやすく、好感が持てる良作です。

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