フラムルージュハンズさんのレビュー

ボードゲームカフェで出会った日本在住のアメリカ人が持ってきたゲーム。

「1時間程度で終わるゲームなので、閉店間際にちょうどいいと思いますHAHAHA」

とテンプレのようなオススメをされてプレイ。

結果めちゃくちゃ面白いゲームだったので、逆に一回しかプレイできなかったのが悔やまれるほどでした。

いわゆるレースゲームはあまり私の好みではないので敬遠していたのですが、このゲームは違いました。

ゲームとしては皆様が想像する通りの内容で、自転車レースで一位を取る、というシンプルなもの。

進む方法はサイコロではなく数字が書いてあるカード。

使い切りの数字カードを使い、毎回クリーンアップされる手札から1枚を選び進んで行く。

基本はやはり非常にシンプルで、想像を超えるものではありません。

しかし、それを傑作たらしめるのはプレイ方法だと思いました。

まず、レースはツーマンセルのチームなので自身が2キャラクター担当します「スプリンター」と「ルーラー」の2人です。

「弱虫ペダル」などを読んだ、観たことのある方には「スプリンター」は馴染みがある単語だと思います。

「ルーラー」は「オールラウンダー」のことらしく、このゲームの基本は平坦レース場が設定されているため、「クライマー」がおらず代わりに「オールラウンダー」が採用されているそう。

話をプレイ方法に戻すと、まずこの2キャラクターが何マス進むかを各プレイヤーが「同時に」決めます。

ここが1番のミソです。

集団の中でいつスパートを掛けるか、それとも今はあえて後方に控えるのか、これを各プレイヤーが同時に思考しなければならないのです。

「スプリンター」と「ルーラー」のどちらを先に決めるかは各プレイヤーが決めて良いのですが、一度カードをチョイスしてしまうともう変えることはできません。

他のプレイヤーがどうコマを動かしてくるのか、今動くのかそれとも抑えるのか、攻めるキャラクターはどっちで風除けは誰になるのか…

あたかも自分が自転車レースをしているかのような錯覚にとらわれること請け合いです。

それを手番順（ボードで先頭を走っているキャラクター順）に公開してキャラを進め、最後にスリップストリームで1マスだけスペースが空いているコマを全て詰めます。

その後風除け（集団の先頭のキャラクター）は疲労カードを受け取って、再びカードを引いて…と繰り返されます。

スパートカードは当然最後の方に残しておきたいですが、限られた山札から手札を引いて、しかも毎ラウンドこれがクリーンアップされるため必ずしも最後まで残せるとは限りません。

また、疲労カードは2マスしか進めないカードですが、こちらも使い切りなので、スパートカードを使うよりは今使う、使いたい、という選択肢も有りです。

選択肢が多くあり、駆け引きが非常に重要、かつスパートが成功して優勝した時の喜びは思わず両手を上に上げてガッツポーズを取ってしまうほどでした。

日本では未発売なので外国語版のみではありますが、レースゲームを敬遠している人ほど、このゲームをプレイしていただきたいです。

それでは最後に、この言葉を皆様にお送りして締めたいと思います。

ーこの世に生まれたこと。それが最大で最高のチャンスだと思う。

（アイルトン・セナ/ブラジル出身のF-1レーサー）